労務管理の仕事としておおよそ次ぎのような仕事があります。

雇用管理、作業条件管理 (時間管理、作業環境管理)、賃金管理

労働組織管理(①組織管理 ② 人事考課 ③ 人間関係管理 ④  教育訓練等)

労使関係管理

私は、15年程の社労士の仕事として、上記の分野は、賃金管理を除いて、殆ど

関係する仕事をしています。 特に③のカウンセリング、職場会議に関するコミニュケ-ション

 ④の教育訓練は、企業の各担当者のご要望があれば内容によっては、仕事をさせて

   頂ければ幸いです。 人事考課につきましては、余り口を出したくありませんが、

  参考意見をお求めになれば少しのコメントは、出来るかも知れません。

 

    ◎なお担当者様から会社内にある程度常駐してカウンセリング等による面談の

    ご希望がありましたらお引き受けする方向で対処させて頂きます。

 

  その他職安等を通しての求人活動、雇用保険関係の仕事もご依頼あれば、可能な

  限り動きます。 また、採用しても、会社にとって悩みの種とも言える問題社員の

  扱い方、解雇したい場合のコンプライアンス、リスク対応についてもご依頼あれば

  相談に応じさせて頂きます。

    それから残業のことがよく問題になります。変形労働時間制を採用しますと

    ある週、ある日など特定の時期、時間の労働が法定時間をこえても、予め労使

  協定を結べば例としてある時期2時間の超過があっても、その分は、残業手当は

  発生しません。 6カ月ごとの協定ですと、その間の閑な時を含めて全期間を

  平均して週平均労働時間が40時間以下でないと協定は無効です。  他の期間に

  ついての協定も、3カ月、1年であってもその期間の週の平均労働時間は40時間

  以下が条件になります。

         ▲    派遣労働者に関する法律について

 

       派遣労働者が安心して快適な職場環境のもとで働けるための

       法律があります。

      a   安全衛生に関わる事項

                  定期健康診断  派遣元に義務があります。

      特殊健康診断  深夜労働、有害業務に従事する労働者の診断

                    派遣先に義務があります。

      労災事故防止の安全教育は、派遣先がその義務があります。

       しかし、労災事故に関する休業補償などの申請は、派遣元に

      その義務があります。

       また、派遣労働者のメンタルヘルスに関する責任は、派遣先に

      あります。 関連してセクハラについても派遣先が責任を負い、

      不履行の場合は、派遣元の雇用管理責任者が派遣先の同責任者

      からも事情聴取して止めさせるよう通告します。

      b  その他、派遣先の都合で派遣労働者の業務内容を契約に

       反して一方的に変更した場合          

                  直ちに申し出ないと、不利益な扱いを容認したことになります。

       このようなことを、ある派遣労働者から聞いたことがありますので。

 

                  c   改正派遣法案の成立 (朝日より)   3月28日

                    本日参議院本会議で可決成立の予定とのことです。

       法案の柱の一つだった製造業派遣の禁止などは見送られましたが

       派遣料金の情報公開の義務化など、一定の規制強化が進むこと

       になります。

        ①   マ-ジン率  公表義務

         これは、派遣元会社に、派遣料金と派遣社員賃金の差額の割合

         (マ-ジン率)の平均を公表するよう義務付けることです。

          公表が義務化されれば、派遣労働者はその会社が適正に給料を

         支払っているか確認しやすくなります。複数の派遣元の率を比べ

         より有利なところを選ぶことも可能になります。

         また、違法派遣があった場合、派遣先企業が労働者に直接雇用を

         申し込んだとみなして、労働者が派遣先の社員になる道を開く「みなし

         雇用制度も始まります。 

          但しこの「みなし雇用制度」は今回の法律施行の3年後施行されます。 

           ②    その他の改正

           ●  30日以内の短期派遣の原則禁止

           ●  同じグル-プ企業内のへ社員の8割超を派遣することの禁止

 

          ◎ 以上の①、②は法の公布6カ月以内に施行されます。 

  

          ③   今回見送りとなった事案

 

            登録型派遣、製造業の派遣の禁止は野党の反対で見送られました。

 

        3月28日  今国会に提出された「労働契約法」の一部改正する法律案

                 の概要について(メ-ルマガ労働情報より)

                  ◎ 有期労働契約を長期にわたり反復更新した場合に於ける無期労働

         契約への転換などを決定することにより労働者が安心して働き続ける

         ことが可能な社会の実現を図る。

         1  有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換

          ○ 有期労働契約が5年をこえて反復更新された場合(*1)は労働者の

           申し込により無期労働契約(*2)に転換させる仕組みを導入する。

           (*1)原則として6カ月以上の空白期間(ク-リング期間)がある時は、

            前の契約期間を通算しない。

          (*2) 別段の定めがない限り、従前と同一の労働条件

 

           2   有期労働契約の更新等(雇止め法理の法定化)

 

             ○ 雇止め法理(判例法理)を制定化する(*)

                       * 有期労働契約の反復更新により無期労働契約と異ならない状態で

          存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続に 

          つき合理的期待が認められる場合には、雇止めが客観的に合理的な

          理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、有期労働

          契約が更新(締結)されたものとみなす。

           **(これは解雇権乱用防止の意図があります)

 

 

         3    期間の定めによる不合理な労働条件の禁止                              

         有期契約労働者の労働条件が、期間の定めのあることにより無期契約

         労働者の労働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や

         配置の変更の範囲等を考慮して不合理と認められるものであっては

         ならないものとする。  

          施行期日: 2については公布日、1、3については、公布日から起算して

         1年を超えない範囲内に於いて政令で定める日。  

令和元 12月5日    電通また違法残業

  令和元 12月5日    電通また違法残業

  広告の大手電通の東京本社(港区)が労働基準法と労働安全衛生法に違反したとし

  三田労働基準監督署から今年9月に是正勧告を受けていたことがわかった。

  社員の違法残業や労使協定(36協定)の違法な延長などを指摘された。   

           法人がとしての電通は、違法残業を防ぐ措置を怠った労働基準法違反罪で2017年に

  有罪判決確定したが、その後もずさんな労務管理が続い時間たことになる。関係者によると

  是正勧告は9月4日付け。労基法違反が2件 、安衛法1件で、いずれも18年中の法令

  違反が対象であった。

  電通は18年残業時間の上限をの上限を原則として月45時間、事前申告すれば、月75時間に

  延長できる36協定を労組と結んだが、上限を超す違法残業を社員にさせていたケ-スが4回

  あった。----上限を月75時間に延長するための必要な事前申請せず、違法に延長したケ-ス

  も6回認められた。さらに社員の安全や健康を確保するために社内に設ける安全衛生

  委員会の運営に際し、最低一人を委員すべき義務があるのに産業医を一人も入れなかった。

  委員の半数を労働側にしなければならない規定にも違反していた。

  経営者側が半数を占めていて経営者側の意見が通りやすいようになっていた。

  電通は朝日の取材に対して「是正勧告を受けたのは事実」。事務手続上の問題は、

  システム対応により速やかに解決を図ったと弁解。 2019年度は現時点までに36協定

  違反は発生していないと回答。(広報)

      電通では10~15年、社員に残業させたとして本社が是正勧告を受けた。労働組合の

  加入者が全体の過半数を超えていなかったため、15年10~12月に本社の36協定が

  無効と認定されたこともあった。

  15年12月には高橋まつりさんが都内の女子寮で自殺し、16年9月に労災が認定された。

  法人としての電通が労基法違反容疑で書類送検され、17年1月に石井直社長が引責辞任。

  その年の10月に罰金50万円の判決が確定した。 後任の山本敏弘社長は18年末までに

  36協定の違反ゼロにする目標を掲げた。(しかし、実際はは上記のように違法残業が

  4回もあったと出ていることと矛盾します。)

    ▲ わたしのコメント

  このような法違反を繰り返す体質の企業は氷山の一角にすぎないと思います。

  この企業に似た隠ぺい体質の企業に私が関わっていて、労災事故は毎年のように起きて

  いましたし、特にベルトコンベア関係のメンテナンスの仕事はきつく、真夏でも送風機

  も冷房設備もなく、クモ膜下出血で倒れ、植物人間になって帰郷した職人もいました。

  この人をはじめかなりの一人親方がいました。しかし、実際は正社員と勤務状況は同じ

  でも、労災保険料は会社でなくもこの職人さんに支払わせ、日報は書かせないで

  勤務の実情は隠す手口で、この重大事故の人も証拠となる記録もなく労災保険の適用は

  できませんでした。社員は何か外部から聞かれても口合わせでごまかす体質の企業

  でした。

 令和元12月11日 セブンイレブン未払い長年放置

  令和元12月11日 セブンイレブン未払い長年放置  12月11日朝日新聞より

  セブンイレブンは残業代の未払いを長年放置。コンビニの最大手の本部は、24時間営業を

  めぐって店主と対立し、スマートフォン決済は廃止に追い込まれた。

  店主や従業員からの信頼はさらに下がりそうだ。

  今回の未払いはアルバイトらの残業代だ。デ-タが残る2012年3月以後の未払いについては

  遅延損害金も含めて一人当たり1万6千円になる。セブンでは、欠勤せずに働いた

  アルバイトや、リ-ダ-役らに、店主の判断で支払える手当てがある。

  この手当は残業代を計算する基礎に反映させることになっており、具体的には手当や残業

  時間に1・25をかけてかけて加算する。しかし、誤って0・25ををかけていた。

    問題は根深い。この計算式は、01年10月に導入されたがが、残業代の未払いは

  すくなくとも1978年から続いてきた。残業代の一部を固定給の従業員も含め、そもそも

  払っていなかった。こうした事態が2001年、労働基準監督署から加盟店への指摘で

  判明。これを本部も把握し、支払うようにしたが、計算式を誤った。

  これ以前の未払いの対応もできていなかった。

   01時点で、適切な対応をなぜできなかったのか。本部は過去の役員への聞き取りを

  したが、鈴木敏文氏(現セブン&アイ・ホ-ルディングス名誉顧問)は承知していないとの

  回答。 未払いへの今後の対応にも課題がある。加盟店には負わせず、本部がすべて負担

  する方針というが、本部にデ-タが残っているのは12年3月以降のみ。

  それ以前の未払い額などは「今の段階ではわからない」(セブンイレブンジャパン

  社長永松文彦氏)という。

     ◎私の印象  国内の最大手のセブンイレブンがこんなにも超ずさんな企業とは

  第三者からみて呆れるの一言。一般企業毎年の決算締めで不合理なことは究明

  されるはず。社内で悪質な奴等がごまかして大金を着服しているような気がしてならない。

  それにしても、とう不当に安く働かされていた従業員さんが気の毒でならない。

  アルバイトしてかなり残業して働いていた人々の補償を早くしないと。

  たまに立ち寄る千種区のこのセブンに外人の青年が働いていたので、聞くと

  ネパ-ルからきた留学生とのこと。また彼に会ったらどんな言葉で慰めていのか、

  とても怒りと共に悲痛な思いに駆られます

令和2年 3月11日 「追い出し部屋」法廷闘争へ 朝日新聞より

   令和2年 3月11日 「追い出し部屋」法廷闘争へ 朝日新聞より 

   東芝の主要子会社に社員から「追い出し部屋」と呼ばれる部署がつくられた問題が

   法廷で争われることになった。背景にあるのは、景気が不透明を増す中、前倒しで人事

   削減を進める企業の動きの広がりだ。希望退職を募った上場企業は2019年に判明した

   だけで36社。かって厳しい批判を浴びた追い出し部屋のような例は表面化していないが

   募集人数は6年ぶりに1万人をこえた。今回は東芝子会社が提訴される。

   <原告「らちあかず」>

   問題の部署は、東芝が100%出資する東芝エネルギーシステムズ(ESS、川崎市)が昨年

   4月に新設した「業務センター」。9日に配属の無効などを求めて提訴した小里正義さん

   (51)は記者会見し、「スキルやキャリアが全く生かせない仕事に回された。

   会社に抗議したが、誠意ある回答が返ってこない。提訴しないとらちがあかなくなった」

   と説明した。小里さんは東芝に入社後、IT技術者として主に原発関連のシステム開発を担当。

   分社したESSに売っ移っても似た仕事を任されてきた。

   ところが、ESSが45歳以上を対象にしてむ昨年3月末での希望退職を募ると、環境が一変。

   上司との面談で「あなたの職場がなくなる」などと応募(退職)を促され、拒み続けると

   業務センターに異動になった。(追い出し部屋勤務)

       名目上では、研修で会社の構造改革を理解してキャリアの変化を前向きに考えるよう

   求められた。研修後は倉庫で働き、他社製の医療機器の部品の箱詰めなどをさせられている。

   最大10キログラム程の段ボ-ル箱を積み上げる作業もあるという。

   (これは、嫌がらせで退職に追い込むハラスメント)

        会見に同席した弁護士(代理人)は「やめてもらえなかったら追い出し部屋に行かせて

   重労働させた。一連の行為に違法性があるかがポイントだ。」と指摘した。

   当人所属のESSでも希望退職を募ったが、応募したのは427人で想定の800人に

   届かなかった。東芝グループ全体では黒字の経営環境で、会社側が一方的な整理解雇に

   踏み切れば、違法になり得る状況だった。希望退職という建前で、特定の社員を選んで辞めさせようとし

   たかどうか、。小里さん側は、それも裁判で明らかにしたいと考えている。

   ◎ 政府としては、高年齢者の勤務年齢延長の方向で進め、企業側もその方向で進めているのに、それに

   逆らって

     特定社員を選別して「嫌がらせ」のハラスメントをして辞めさせようとしている感じがする。

     51歳の小里さんは、培われた技術をいかせるのに、会社の方針に異議を唱える社員はハラスメント

   をして辞めさせる手法が、もし事実とすれば、労働基本権侵害に当たると思います。

    〇   大企業のリストラ手法の進化の過程(参考まで調べてみました)  

             2000年代 「追い出し部屋」  降格させず移動

    2010年代 「追い出し会社」  追い出しを進める会社は関与せず人材会社が当人に「能力開発」と

    称して転職を促す。その実態は、適性テストを繰り返し、新しい能力に気づかせて転職促すという策を

    取ります。

    転職企業の実態もよく調べなくて、ぺ-パ-テストで転職を促すのは、無責任極まりないと感じます。

2019年3月28日 無期限雇用申請の社員解雇 日立「事業縮小」理由に 3月27日 朝日新聞より

  2019年3月28日 無期限雇用申請の社員解雇 日立「事業縮小」理由に

                        3月27日 朝日新聞より

     日立製作所が、5年を超えて有期雇用で゛働き、無期雇用への転換を求めた40代の女性

  社員に対し、今月末での解雇を通告したことが分かった。無期転換は有期雇用で5年を

  超えて働く労働者に法律で認められた権利で、女子社員は昨年6月に「無期転換」を

  申請し、今年4月から無期雇用になる予定だった。日立は事業の縮小を理由に挙げているが

  女性側は「無期転換逃れだ」として解雇の撤回を求めている。

  女性社員は社外の労働組合に加入し、今月19日に日立と初めて団体交渉し、解雇の撤回を

  求めた。労組によると、日立は、事業の縮小で雇用の維持むが難しいと16年に女性に

  説明済みだったと説明。グル-プ企業を含めて異動先を探したが見つからなかったため解雇

  したと主張し、「違法ではない」と繰り返したという。女性側は「日立は新たに社員を

  雇い入れており、仕事はある。解雇は不当だ」と反論。女性側は29日に予定されている

  次回団交で重ねて解雇の撤回を求める。

  私の感じたこと 何となく社外労組(ユニオンでしょうか)に加入したことへの

  見せしめともいえる嫌がらせのにおいもしてきました。

      ◎無期転換の回避 他社追随の恐れ 

  この「5年ル-ル」は有期子よで働く人達の「雇い止め」の不安解消する狙いで設けられた。

  雇用側は転換の申し込みを拒否できない。しかし、人件費の固定につながる「無期転換」の

  申請に対する企業側の抵抗は強い。経団連の会長を出している日立製作所が無期限権を

  行使した社員の解雇を通告した影響は大きい。この問題に詳しい棗一郎弁護士は

  「無期転換を回避するために解雇したと疑われかねない事例だ。申請した社員を狙い撃ち

   にするのは法の趣旨に反する」と批判する。このような無期転換を避けるため新たな

   手法として他企業が追随する怖れもある。

2018年10月26日 障害者雇用の不正な行政当局による水増し雇用(毎日新聞)

     2018年10月26日 障害者雇用の不正な行政当局による水増し雇用(毎日新聞)

    中央省庁の該当の障害者雇用の93%が障害者手帳や医師の診断書なしに水増しされて

    障害者の法定雇用率を達成していたものと偽っていたことの問題の発覚 

    障害者の法定雇用率を上げて建前では、障害者の勤労権を擁護する努力をしているように

    見せかけて、実情は、森友などの不祥事と共にこのような虚偽の垂れ流しが

    安部内閣のもとでなされているのは、法治国家として許されない由々しきことと痛感

    します。 この問題に関する関係省庁連絡会議が10月22日に開かれ、第三者検証

    委員会、委員長松井厳(元福岡高検事長)による検証報告がされた。

    不正計上は昨年6月の時点で国の33の行政機関の28機関で計3700人に上った。

    このうち約93%に当たる3426人で国のガイドラインで定めた障害者手帳や指定医

    による診断書を持っていなかった。

    報告書は、「障害者の範囲や確認方法を恣意的に解釈していた

    (官僚の法を逸脱した権力の濫用を招く法治国家の根源を崩すものと言えます)

           上記の第三者委員会の報告によると、不正算入された3700人の中91人は退職者で

    うち3人は死亡していたとのこと。障害者手帳を持っていても本人の同意なく参入

    するといった不正な手続きもあったとのことです。

    また多くの省庁では雇用率達成のため、障害者の職員が退職しても新規採用せず、

    職員の中から新たに算入できそうな人を選んでいたと指摘した。上の偉いさんの

    顔色を窺いながらこんな姑息なことをしている役人に怒りを禁じ得ません。中小企業

    では、障害者に色々と氣を使って支援したり、雇用率を達成できなければ、雇用しない

    分につき一人当たり5万円の負担をしなければならないのに、その苦労が分かるのかと

    バカ野郎の一言でも当事者の方々なら言いたいのではと痛感します。

 6月6 日 判例命令 不合理判断「賃金ごとに」手当不支給、一部違法

  6月6日 判例命令 不合理判断「賃金項目ごとに」手当の不支給、一部違法

       非正規格差訴訟で最高裁判決(労働情報配信メ-ルマガジン)

        < 判例命令>

      非正規社員が正規社員との賃金格差を是正するよう雇用先に求めた2件の訴訟の上告判決が

  6月1日最高裁第二小法廷でだあった。山本庸幸裁判長は、不合理な格差を禁じた労働契約法

  20条について、「職務内容などの違いに応じた均衡のとれた処遇を求める規定だ」と指摘。

  格差が不合理かどかは、「賃金の総額での比較のみでなく、賃金項目を個別に考慮すべきだ」

  という初の判断を示した。その上で、一部手当の不支給について違法と判断。

  一方で定年後の再雇用であることも格差が不合理かを検討する上で考慮すべき事項に当たると

  指摘した。各地で相次ぐ同様の訴訟や政府が進める「同一労働同一賃金」の議論にも影響を

  与える可能性がある。

  同小法廷は手当不支給の是正を求めた裁判で、「出勤者の確保」(皆勤手当)、「安全運転

  及び事故防止」(無事故手当)といった支給の必要性や性質の点から正社員と非正規社員

  との間の差がない手当の不支給を不合理だと判断。(皆勤手当、無事故手当は正規と非正規

  との間で差をつけるな) 住宅手当は「正社員には転勤が予定されているから」と非正規社員

  との違いを指摘して不支給を認めた。(時事通信6月1日より)

3月9日 判例命令 異動拒否で解雇は無効 吹田市国循元職員が勝訴/大阪  労働情報メ-ルマガジンより配信

  3月9日 判例命令 異動拒否で解雇は無効  吹田市国循元職員が勝訴/大阪

          コ  労働情報メ-ルマガジンより配信

      大阪府内の国立病院への異動拒否を理由に懲戒解雇したのは不当だとして国立循環器病

  研究センタ-(国循、同府吹田市)元職員の50代男性が地位確認などを求めた訴訟の判決が

  3月7日大阪地裁であった。内藤裁判長は解雇は無効と認めた上で未払い給与の支払いを

  命じた。内藤裁判長は、国立病院機構への転籍には男性の同意が必要と指摘し、異動異動

  命令は無効と判断。これを拒否したことが懲戒解雇の理由にならないと結論づけた。

  また拒否の理由として挙げた妻の病状は深刻で自殺未遂を起こしており、男性に不当な

  動機はないと述べた。

  判決によると国循は2015年9月、国立病院機構和歌山病院に異動するよう命じたが、 

  男性は妻の精神障害を理由に拒否した。国循は再検討の結果、16年2月に同機構大阪南

  医療センタ-への異動を命じたが、男性は再び拒否した。

  男性は、「夫の勤務地は現状維持が必須」との医師の診断書を提出した。国循は男性に

  辞職を求めた後、同5月に懲戒解雇した。  

  ◎ 私の印象 私も、かって教職員の時不当転勤の扱いを受けたことがありますが

  この男性の上司は「嫌がらせ」としての陰鬱な印象を感じます。

  懲戒解雇とは、理不尽な異動拒否なら分かりますが、逆にそんな処分にする方に

  責められる不当な恣意的な人事のような印象を受けました。 

 3月3~4日 判例命令 調理師の過労自殺認める 会社に損害賠償/大阪地裁 3月1日

  3月3~4  日 判例命令 調理師の過労自殺認める 会社に損害賠償/大阪地裁 3月3日

           労働情報メ-ルマガジンより

       調理師男性=当時34歳が自殺したのは長時間労働でうつ病を発症したからだとして

  母親が勤務先の飲食店運営会社(大阪府中央区)などに約8000万円の損害賠償を求めた

  訴訟の判決が3月1日大阪地裁であった。

  北川裁判長は、長時間労働との因果関係を認め、会社側に計約6900万円の支払いを

  命じた。裁判長は、男性を診察した医師の記録に「3カ月休みなく働いた」との記載が

  あることなどから、2008年7月末までの82日間連続勤務したと認定し、心理的負荷は

  強かったと指摘、月100時間以上の残業労働が3カ月連続するという国の労災認定

  基準に当てはまるとして会社が安全配慮義務に違反したと判断した。

  母親は労災認定を求めたが大阪西労働基準監督署は2010年に認めず、国を相手取った

  訴訟でも訴えを棄却されていた。

2月22日 判例命令 日本郵便の正社員と契約社員の待遇差の一部が労働契約法違反 21日大阪地裁判決

  2月22日 判例命令 日本郵便の正社員と契約社員の待遇差の一部が労働契約法違反

             21日 大阪地裁判決 (朝日新聞より)

      今回の大阪地裁の判決は、専門家によると昨年9月の東京地裁と比べ二つの点で踏み込んだ

  判断をしたとのこと。

  一つは、契約社員に扶養手当が支払われていないことを違法と判断した点だ。

  被告の日本郵便側は、扶養手当は「正社員に長期雇用へのインセンティブ(動機付け)

  与えるもの」と主張したが、大阪地裁は「労働者と扶養家族の生活を保障するため、基本給を

  補完する生活保障給」に当たるなどと指摘。非正規にも支給されるべきだとした。

      東京地裁の訴訟では、扶養手当の待遇差は争点になっていなかった。

  政府が2016年12月に公表した正社員と非正規社員のどんな待遇差が不合理となるかを

  示す同一労働同一賃金のガイドライン案も扶養手当には触れていない。政府の指針案に

  ふくまれていない待遇差に、司法が格差是正を促す判断をした意味は大きい。

     もう一つは、住居手当と年末年始の手当について、より多くの損害を認めた点だ

  東京地裁判決は、非正規社員に支払わないのは違法と判断した一方で、長期雇用への

  動機付けの意味もあるとして、損害に当たるのは、正社員への支給額の6~8割とした。

  今回の判決は、正社員に支給される全額を損害と認めた。

  東京地裁の訴訟で代理人を務めた棗一郎弁護士は「扶養手当と住居手当の全額を損害と

  認めた意義は大きい。非正規でも家計を主に支えている人が増えており、非正規労働者

  には朗報となる判決だ」と話す。

  ▲ 労働契約法20条

  非正規社員の待遇改善のため、2013年4月に施行された改正労働契約法に盛り込まれた。

  パ−ト労働や有期契約で働く人と、正社員など無期契約で働く人の労働条件に不合理な差を

  つけることを禁じいる。基本給だけでなく、手当や福利厚生も対象になる。

  不合理かどうかは、仕事の内容や責任の態度、配置転換や人事異動の有無などを考慮して

  判断する。

2月14日判例命令 パ−トの手当格差「不合理」

  2月14日   判例命令 パ-トの手当格差「不合理」

          勤務先に賠償命令/福岡地裁(労働情報メ-ルマガジンより)

       業務内容に大きな差はないのに正社員と勤務手当の支給額が異なるのは違法だとして、

  北九州市のパ-ト社員らが差額の支払いなどを求めた訴訟で福岡地裁小倉支部は13日までに

  勤務先の会社賠償を命じる判決を言い渡した。判決は1日付。訴えていたのは、海産物の

  荷役を担う「九水運商事」(同市)のパ-ト社員4人。正社員と同様の荷役作業に従事して

  いたが、通勤手当は正社員の半分の月500円で労働条件の不合理な格差を禁じた

  労働契約法に違反すると主張していた。判決で鈴木博裁判長は「パ−ト社員が正社員と

  比べて通勤時間が短いといった事情はうかがわれない」と指摘し、手当格差に「合理的な

  理由は見だせない」と判断した。その上で改正労働契約法が施行された2013年4月から

  同社が正社員の通勤手当をパ−ト社員と同額に削減した14年10月までの間について、

  一人当たり計9万5000円の賠償を命じた。同種訴訟では、昨年9月東京地裁が、日本

  郵便による手当格差を労働契約法違反と認定し、賠償を命じる判決を言い渡している。

  時事通信 2018年2月13日(時事通信)

      ◎ 最近の目まぐるしく変わる法改正に中小企業の事業主側は、それについて行けず

    こんな事例が色々とありそうです。その防止には、最新の労働情報を掲載した

    専門誌などに着目することが不可欠かと痛感します。 

 2018年2月10深夜勤務後に事故死(バイク死) 会社の配慮義務認定  地裁川崎支部 遺族が和解

  2月10日 深夜勤務後に事故死(バイク)会社の配慮義務認定 地裁川崎支部

        遺族が和解  (朝日新聞2月9日より)

  深夜の夜勤後の帰宅中にバイク事故で死亡した会社員の男性(当時24歳)の遺族が会社に

  損害賠償を求めた訴訟の和解が8日、横浜地裁川崎支部で成立した。会社が遺族に謝罪し、

  約7600万円を支払う内容。遺族の代理人の川岸卓哉弁護士によると、帰宅中の事故死で

  企業に安全配慮義務があると裁判所が認めた例は極めて珍しいという。

  亡くなったのは、観葉植物などの装飾を手掛ける会社、グリ-ンディスプレイ(本社東京)に

  勤めていた渡辺航太さん。長時間の深夜勤務を終え、横浜市の職場から都内の自宅に

  バイクで戻る途中の2014年4月24日午前9時過ぎ,電柱にぶつかる単独事故を起こして

  死亡した。母敦子さんらが翌年、長時間労働が事故の原因だとして約1億円の損害賠償を

  求めて提訴した。同支部の橋本英史裁判長は和解勧告で、勤務中の事故の原因は居眠り

  だったとして、過労状態を認識していた会社側が公共機関を使うよう指示するなどして

  事故を避けるべきだったと指摘。和解金の支払いに加え、終業から次の始業までの

  休息(11時間)の確保) ▼深夜のタクシー利用を促す-など、事故後に講じた再発

  防止策に引き続き取り組むことを和解条件とした。

  過労による事故死が多数発生している可能性にも言及し、「本件を契機に「過労死事故死」

  の労働災害の事故の類型が公になり、今後、過労死、過労自殺とともに社会全体として

  防止に向けた対策が十分に推進されていくことが期待される」とる述べた。

  龍谷大の脇田滋名誉教授(労働法)は「会社の指揮命令下から外れる勤務中は、事故が

  起きても会社に責任がないとされるのが一般的。直前までの過重業務を裁判長が重視し

  帰宅中の事故でも会社に安全配慮義務があるとしたのは画期的で、他企業にも警鐘となる

  ケ−スだ」と指摘する。

  ◎ 私の感じたこと

  この記事を読んでいてふと想起したのは、社労士の勉強をし始めて最初に私の心に

  響いたのが「労働の人間化」という言葉でした。

  この言葉は1970年代のILOでも積極的に使われ推進されたとブリタニカ百科事典でも

  明記されています。日本の高度成長の時代です。

  毎日同じ作業を繰り返す定型作業にしろ、高度な技術を用いた作業にしろ

  労働の社会的な存在価値を生み出す労働者の労働の価値は、「人間として生きるに

  値する基本的人権の一つである」ということです。

  すでにブログで述べましたように、たとえベルトコンベアの苛酷な条件(真夏の最中でも

  薄暗い、冷房のない中で作業し、くも膜下出血で倒れても、簡単に他者に取り換えれて

  故郷に送還されるときの見舞金がたったの1万円、偽装下請の件で私に依頼した

  一人親方のリ−ダ-の証言でした。でも、今回の地裁の橋下裁判長のような現場の

  労働者の立場を理解して下さる方がみえると知って感激します。

  また脇田先生のご指摘にも感謝します。

  「安全配慮義務」とはただ上司が言葉で注意するのみてでなく、実行しているかどうかの

   確認が人命を左右することもあり得るのではと思います。

  今働き方改革だのと喧伝していますが

  現場を知らずして騒ぐだけの空虚さを感じます。

2018年1月18日  派遣切り 今年9月以後多発の恐れ 朝日新聞より

  2018年1月18日 派遣切り 今年9月以後多発の恐れ 朝日新聞より

  2015年9月 期間一律3年の法改正により今年9月から施行されます。

  なおこの派遣切りの件につきましては、この記事の最後の箇所に相談窓口のHPを紹介

  致しますのでご利用下さい(所定のHPアドレス先にご自分の悩み等を入力、送信されると

  弁護士等の専門家が届くとのことです。窓口のアンケートを通じ、派遣の実態調査をする

  狙いもあるとのこと。

  派遣社員を雇い止めする「派遣切り」が今年、多発する可能性がある。直接派遣労働者の 

  雇用を促す目的て、派遣期間を一律3年に限る改正法の施行から秋で3年を迎え、その後

  雇用契約した人たちが、派遣先の直接雇用か、雇い止めかの分岐点に立つためだ。

  弁護士や研究者は、「2018年問題」と注意を促し、ネット上で無料相談を受け付けている。

  弁護士等が懸念するのは、例えば次のようなケ−スだ。大手企業で十数年、文書ファイ

  リングの仕事をしてきた派遣社員。派遣元とは1年ごとに契約を更新してきたが、派遣先

  からは今年中の雇い止めを示唆された。派遣社員側には「長年働いてきたのに、今後は

  はたらき続けられないのか」との思いが残る。

  このケ-スのような文書ファイリングのほか、秘書、翻訳など政令で定められた26の業務

  には従来派遣期間に制限がなかった。厚生労慟省によると15年9月に労働者派遣法が改正

  される前には約134万人の派遣社員の4割が、これら26業務に就いていた。

  しかし、同法の改正で、企業が同じ派遣社員を受け入れられる期限が一律3年までと

  なった3年と期限をつけた改正案について政府は「正社員を希望する人にはその道が開かれ

  ようにする。」「派遣元の責任を強化し、派遣就労への固定化を防ぐ」としていた。

   しかし、最終的には、「抜け道」もできた。例えば3年経ったら別の派遣社員に切り替え

  られる規定がある。企業にはこうした措置に際して、労働組合の意見を聞くことが義務づけ

  られているものの、直接雇用せず、派遣に仕事をさせ続けることが可能だ。

     期間期限が裏目に出て26業務に従事した人達が法改正から3年の今年の9月以後、相次いで

  雇い止めになる恐れがある。(労働者が雇用継続希望を出しても、その継続のことは、会社の

  意思で決まるから) この例と比較して、有期雇用者の無期限転換の場合は、有期労働契約が

  5年を越えて反復更新された場合、2013年4月の改正労働契約法の施行により、2018年

  4月1日以降から通算で5年を越える有期契約者が発生する。(一年ごとの更新で)

     その際本人の申し出により無期限契約者になれる。会社は本人の申し出を拒否できない。

  この無期限転換の対象は派遣のみと限定していないが、今回の派遣社員の「期間一律3年」の

  法改正は、会社が一方的に雇い止めする可能性大いにあり。

  ◎ 私の感じたこと 

  法律でどんな響きのよさそうな文言を並べても、労使の力関係からして会社側の意思で

  雇い止めにされても救済の余地なしの恐れがします。

 

  ネット相談を 担当する富田真平弁護士(大阪弁護士会)は「法改正でかえって企業が派遣

  切りをしやすくなった側面がある。今年は多くの派遣社員が難しい岐路に立たされる

  かも知れない」と警鐘を鳴らす。相談口は弁護士や研究者らでつくる「非正規労働者の

  権利実現全国会議(堺市)が担い、改正法の内容や直接雇用されるのはどんな場合なのか

  解説する。ネット相談窓口(http://haken2018.hiseiki.jp/ )に悩みを入力・送信

  するとメ-ルで回答が届くとのことです。

11月30~12月1日 労働情報メ-ルマガジンより配信  

  11月30~12月1日   労働情報メ-ルマガジンより配信

        パナソニック「時間制正社員」」導入 介護事業で業界初

  過日 日進市の障害者自立支援協議会の席上でケアマネジャークラスの仕事をしている

  幹部スタッフが、介護事業は、景気が良くなると人手不足になって困ると言っていました。

  今回の上記の子会社は、そのようなことも配慮した打開策と感じました。

     パナソニックエイジフリ-(大阪府門真市)は11月22日、一年以上勤務したパ−トタイマ-の

     介護職員を対象に「時間制正社員制度」を導入すると発表した。

  勤務時間を選択できる働き方は変えず、通常の正社員と時間当たりの賃金を同水準にする仕組み。

  人手不足が深刻化する中、優秀な人材を確保するのがねらい。こうした試みは産業界初という。

  来年4月に導入する。時間制正社員を選択すると無期雇用となり、大半のその類の社員は現状より

  時給が上昇する見通し。但し月20時間以上の勤務を条件とする。

  能力、経験、勤務時間に応じた昇給がある他、正社員と同じ福利厚生制度を利用でき、

  退職金も支払われる。従来の正社員は、この時間制正社員を選択することもできる。

  (しかし、この正社員を選択すると、賃金など労働条件が改善されても、どのよう責任が

   追加されるのか、ここが問題と感じます。)

     同社の介護職員は約3000人、パ-トタイマ-は約1500人で、このうち半数程度が

  新制度を選択すると会社はみている。(時事通信 2017年11月22日)

2017年10月4日 NHK、佐戸記者の過労死公表

   2017年10月4日 NHK、佐戸記者の過労死を公表

 

      4年前 超過勤務 月159時間超過(10月4日時事通信)

      NHKは、4日 東京都内の自宅で死亡した首都圏放送センタ-所属の記者佐戸未和さん当時31歳が

  14年5月に過労死認定されていたと発表した。

  渋谷の労働基準監督署が認定した死亡前1カ月間の時間外労働は過労死基準を大幅に上回る

  約159時間で、休日は、2日だけだった。NHKは、記者に事業場外みなし労働時間制を適用して

  いたという。同制度は勤務状況の把握が疎かになり長時間の温床になると指摘されている。

  NHKによる佐戸さんは当時東京都庁担当として都議選や参議院選など取材。

      選挙終了後の13年7月25日、連絡がとれないことを不審に思った知人が自宅を訪ね倒れている

  佐戸さんを発見したという。死因はうっ血性心不全だった。

  NHKは当初は、公表を控えていたが、「(政府が推進する)働き方改革の徹底を図るため、

  過労死の事実を全職員に伝え、外部に公表することが必要だと判断した」という。

  ◎ 今回のNHKが3年余り経過して過労死認定を公表したことについての私見

  何となく時の政府にNHKが公共機関としての自律性、中立性が脅かされている感じすらします。

   3年前以前から過労死、過労死自殺が社会問題として注目されていましたのに、どうして公表を

   躊躇ったのでしょうか? ある新聞によるとこの佐戸さんの両親が公表をしないように願ったと

   出ていましたが、両親のNHK通じての次の公表時のコメントを読めば、本当の願いが分かると

   痛感しています。「志半ばで駆け抜けていった未和の無念さ、悔しさ、遺族の悲しみを決して

   無駄にすることなく、再発防止に全力を尽くしてもらいたい」この強い気持ちと矛盾している

   のは明白ではありませんか。(何となくNHKの政府への気兼ねを私は感じましたが、

   どうでしょうか)

        そのことと対照的に今回のNHKの「働き方改革の徹底を図るため---」の声明は政府の思惑を

   意識しているのが何となく伝わってきます」

   クロ−ズアップ現代の名キャスタ-国谷さんを辞任に追い込んだことを想起しながら

   由々しき気持ちに駆られます。権力者側に干渉されるNHKになり下がったら「日本の

   民主主義」は崩れていくと私は懸念しています。

 9月15日 判例命令 非正規労働条件格差不当 (時事通信)

   9月15日 判例命令  非正規労働条件の格差不当(時事通信)

          日本郵便に92万円賠償命令/東京地裁 9月14日 メ-ルマガジン労働情報より配信

    最近同一労働同一賃金をよく耳にしますが、その視点を視野に入れて出された判例

    として今後の動向が注目されます。

    仕事の内容が同じなのに、正社員と労働条件(賃金等の処遇)が異なるのは、不合理な

    格差を禁じた労働契約法に違反するとして日本郵便(東京都千代田区)k契約社員3人が

    同社に約1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。

    春日茂裁判長は、住宅手当など一部の格差を不当と認め、同社に約92万円を支払う

    よう命じた。

    労働契約違反を認定したのは、年末年始勤務手当や転居を伴う異動のない正社員に

    支給される住居手当。春名裁判長は、「契約社員に全く支払われていないのは

    不合理だ」と述べ年末年始は正社員の8割、住居手当は6割を損害額と認めた。

    夏期、冬期と病気を理由とした有給休暇についても「契約社員だけ付与しない

    合理的な理由は見当たらないと述べ、不当と判断した。

    一方で夏期、年末の手当の賞与などは「人事上の施策として一定の合理性がある」

    として請求を退けた。同一の労働条件適用を求めた地位確認も認めなかった。

    原告3人は郵便配達などに従事する時給制の契約社員。日本郵便の非正規労働者は

    約19万人に上り、判決は影響を与えそうだ。

    判決後記者会見した弁護団は、「非正規労働者の未来に希望をともす画期的判決だ」

    と歓迎した。 原告の浅川喜義さん(46才)は「年末年始の繁忙期に、全く同じ

    ことをしているのに、一円の手当も出さないのは許せなかった」と話した。

 8月11~12日   有期労働契約の無期転換制度の適用について

  8月11~12日    有期労働契約の無期転換制度の適用について

             労働基準朗報7/11 岡村光男弁護士執筆より

  まず学生アルバイトの労働契約の更新のQ&Aから始めています。

  仮に夏季、春季に帰省していても、契約が相続している以上はその期間も含めて通算される

  ことになります。 なお、介護、育児休業等で休んて゛いて仕事を中断した場合でも同様の

  扱いを受けます。

 

    <無期転換制度とは>

 

     平成30年4月1日から、無期転換の本格的な発生が見込まれており、この制度に対する

  労使双方からの関心が高まっています。この制度のしくみについては以下の確認が

  必要です。

  (1) 概要

  平成24年の労働契約法の改正により、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、労働者の

  雇用の安定を図るため、無期転換制度が新設され、翌25年4月から施行されました。 

     この無期転換制度とは、有期労働契約が通算で5年を超えた場合において、労働者が希望

  するときは、企業の意図を問わず、それまで有期であった労働契約が無期に転換される

  という内容です。(労働契約法18条)

      *労働者が希望するときは、企業側に申し出ます。(就業規則等による)

       無期転換後の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は別段の定めのない限り

  直前の有期労働契約と同一になります。 

  労働協約、就業規則、個別労働契約等において別段の定めをした場合には、それに

  従うことになります。

     (2)  ク-リング期間

  通算契約期間は,連続している場合に限らず断続的であっても構いません。もっとも法令で

  定めるク-リング期間に相当する空白期間が生じた場合、ク-リング期間以前の契約期間は

  通算の対象から除外されます。この場合、ク-リング期間後新たに通算契約期間が5年を超え

  なければ無期転換権は発生しません。

   このク-リング期間の具体的長さは、直近の有期労働契約の契約期間が1年以上の場合には

  6カ月がク-リング期間の長さにになります。直近の有期労働契約の契約期間が1年に

  満たない場合には、その半分の期間を基礎として省令が定める期間がク-ニング期間の長さ

  になります。直近の有期労働契約の契約期間が1年に満たない場合には、その半分の期間を

  基礎として省令が定める期間がク-リングの期間の長さになります。

  (3) 無期転換制度の対象者

   この制度の対象者については労働契約法上は何ら制限は設けられていないとのこと。

   ですから、パ−ト、アルバイト、契約社員、嘱託社員など、いかなる契約形態であるかに

   かかわらず、有期雇用契約者であれば原則として誰でも対象になります。 

     但し、以下のとおり、特定の範囲の労働者に関しては、この制度の例外として

   以下の2つの特例が設けられています。

   ① 平成25年12月の研究開発力強化法及び大学教員任用法の改正によって、一定の

     研究者教員等については、無期転換する期間が5年から10年に延長されています。

   ② 平成26年11月に成立した有期雇用特別措置法(正式名称は専門的知識等を有する

     有期労働者等に関する特別措置法)では、専門的知識を有する有期雇用労働者や定年後

     に継続雇用された高齢者に関して特例が設けられています。

 

         ▲ 無期転換制度の適用に伴うトラブル防止策

 

   この件につきましては、向井蘭先生がご指摘されているように、企業としては

   この制度の適用に備えて、就業規則、労働協約などの周到な準備が不可欠かと思います。

 

   企業の要員計画上どうしても、この制度では支障がでてくるような場合には、企業が該当

   する労働者の無期転換権を買い取ることで本人の了解を求める解決金の支払いという

   和解策も取らざるを得ないことも頭の中に留めておくべきと考えます。

 2017 7月8~9 日 電通の残業協定「無効」東京地検 (8日 朝日新聞より)

   2017   7月8~9  日  電通の残業協定「無効」 東京地検 (8日朝日新聞より) 

                                    社員が一時違法状態に(7月7日地検発表)

   高橋さんの過労自殺を出したあの電通の違法残業事件で、東京地検は7日法定労働時間を

   超えて社員を働かせるため結ぶ36協定が労働基準法の要件を満たさず、無効だったと

   発表した。一時期社員が違法残業の状態にあったことになる。電通のずさんな労務管理が

   改めて浮き彫りになった。

    東京地検によるとむ、電通の本社では、残業時間の上限を1カ月あたり50時間とする

   労使協定を結び、労働基準監督署に届けていた。労働基準法36条は、「事業場の過半数で

   組織する労働組合、または過半数を代表する者」と協定を結ぶ必要があると定める。

   しかし、地検が厚労省の押収した資料などを調べたところ、2015年10~12月、本社の

   本社の労組の加入者が従業員の半数を超えていなかった。地検はこの期間の36協定を無効

   と認定した。東京地検は5日 法人としての電通を労基法違反の罪で略式起訴し、本社の

   部長だった3人を不起訴(起訴猶予)処分にした。3人については、「協定が有効であると

   誤診していた」と判断。(きちんとチェックするのを怠っていたのに 地検側の判断は腑に落ち

   無い印象を強く感じます)   地検はね3人が有効だと有効だと思っていた協定の上限を超える

   時間に限り、部下4人違法残業をさせていたと認定。協定が無効で、本社の社員が違法状態

   にあったことは事件化しなかった。

   電通広報部は取材に対して「正社員の労働組合には過半数が加入していたが、非正規社員が

   増えたことで全従業員に占める加入者が半数を期ってしまった」と説明。

   昨年11月の厚労省による強制捜査後指摘を受け、選出した従業員の過半数代表者と

   36協定を結び直し、現在は違法状態を解消したとしている。

      大手企業では異例

  電通のように、労働法のル-ルを熟知しているはずの大手企業で36協定が向こうと指摘される

  のは極めて異例だ。---経営者側は適性な手続きを経て協定を結ぶ責任があり、労組は協定の

  内容を厳しくチェックする必要がある。内容が不備なら締結拒否することもできる。

  労組に過半数の従業員が加入しているいるかどうかは、チェック項目の中では基本中の基本。

  この企業の労使がそれを見逃していたいた事実は、「漫然と前例踏襲で協定を結んできた

  結果」(森岡孝二関西大名誉教授)と見られても仕方ない。 

   なお検察は、東京以外の電通の各支社の違法残業事件で書類送検された関西(大阪)、中部

  (名古屋)、京都(京都市)の幹部についてもいずれも不起訴処分にしている。

 

  ▲ このような電通幹部の不起訴の実態についての高橋まつりさんの母の談話

 

  過労自殺した高橋まつりさん(当時24歳)の母幸美さん(54)は7日、代理人弁護士を通じ

  地検の判断を批判した。

  「入社して半年の新入社員に対して、正社員に登用したした日から連日の深夜労働や徹夜

  勤務、休日出勤をさせたことは絶対に許せない、悪質な行為」と述べ、まつりさんの

  上司だった幹部の不起訴について「まことにやりきれない思いです」とした。

  (上司のしたことは、知っていてやった悪意の犯罪行為ではないでしょうか)

     都内で同日会見した代理人の川人博弁護士によると,幸美さんは捜査過程での地検の事情

  聴取に「会社も上司も許せない」と伝えていたという。

  川人弁護士は「民事事件では、過労死させた会社の幹部、上司の責任を問う流れにある。

  刑事事件でも、その流れが尊重されるべきではないか」と話した。

 6月3日 判例命令 アリさん引っ越し社 訴訟で和解

   6月3日 判例命令 アリさん引っ越し社 訴訟で和解

      シュレッダー係りの男性、復職/東京地裁で和解成立

   「アリさんマ−ク」の引っ越し社関東(東京)の男性(35)が営業職からシュレッダー

    係りへ不当に異動させられ、同社に地位確認などを求めた訴訟は5月24日東京地裁

    (吉田裁判長)で和解が成立した。

    同社が男性に謝罪し、営業職に復職させるなどの内容で、男性の代理人弁護士らが同日

    厚労省内で記者会見し「全面勝訴の和解」と評価した。

           男性は、2015年、業務中に起こした事故への弁償を求められたことで労組プレカリ−

    ア−トユニオンに加入したが、同年6月に一日中書類を細断するシュレッダ−係りに異動。

    8月には訴訟提起で会社を中傷したとして懲戒解雇を言い渡されたほか、顔写真入りの

    「罪状ぺ−パ−」が全支店や社内報に掲載された。解雇は間もなく撤回されたものの

    待遇は改善されず、復職や名誉毀損による損害賠償などを求めていた。

      和解条項は、元の賃金条件で6月1日に営業職へ復職で、配置転換や解雇、罪状

    ぺ−パ−の貼り出しを謝罪し、謝罪文を掲載した。解決金の支払いなども。

    男性は、この日もシュレッダー業務に就いており、昼休み中に電話で「ほっとしている。

    まだ表に出ていない問題があり改善していきたい。」と訴えた。

    支援した同組合の清水執行委員長は、「理不尽を強いるブラック企業で闘えば変えて

    いけるとし示した」と語った。−−−−−同組合によると数百万円の弁償を負わされ

    退職後も支払いを続ける元社員もいるという。

    ◎ このような見せしめにひどい嫌がらせなどをする事業主から労働者を守る

      堅固なセフティネットも構築する立法化も推進するよう政府に要望します。

 5月 18日 仮眠も労働時間 千葉地裁判決 5/17 (17日ヤフ−に掲載)

  5月18日 仮眠も労働時間 千葉地裁判決 5/17(17日ヤフ−に掲載)

       イオン関連会社に残業代支払い命令

  イオン関連会社で警備業の「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)の

  男性(52)が 宿直の仮眠は労働時間に当たるなどとして、未払い残業代などの支払いを

  求めた訴訟の判決が17日千葉地裁であった。小松裁判長は「労働からの解放が保証され

  ていたとは言えないとして原告の請求をほぼ認め、未払い残業代と付加金の約180万円を

  支払うよう同会社に命じた(朝日デジタル)

  なお、労働時間の定義は、夜間の仮眠時間も労働時間とする判例は多いとのことです。 

                     (出典 厚生労働省)

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