令和1年 5月25日判例命令 裁量制の女性、適応障害に、長時間残業で労災認定  労働情報メ-ルマガジンより

 

  令和1年 5月25~27日 判例命令 裁量制の女性、適応障害に、長時間労働で労災認定

                  労働情報メ-ルマガジンプラス27日の朝日新聞記事 

  この判例に該当する女性は、東京都内の建築設計事務所で専門業務型の裁量労働制を適用

  された20歳代の人で、長時間残業が原因で適用障害となり、東京の中央労働基準監督署が

  3月18日付で労災認定していたことが5月13日に分かった。女性を支援する労働組合が

  同日、都内で記者会見して明らかにした。労組によると、女性が勤務するのは「プランテック

  総合計画事務所」(千代田区)。女性は2015年4月に入社し、同月から「建築士の業務」

  携わる従業員として1日8時間をみなし労働時間とする裁量労働制が適用された。

  18年6月に休職するまでの間、月100時間以上残業したのは23カ月に及んだ。

  認定発症日は同年4月20日だが、発症1カ月前の残業時間は170時間超だった。

     この本人の適応障害の状態は、「ある程度の状況や出来事が本人にとってとてもつらく

  耐えがたいと感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものである」と。

  専門職としてのプライドを本来もっているはずなのに、いつのまにか機械の一パ−ツに

  過ぎない自己の実態に耐えきれなくなってしまいます。そんな青年にNPOで出会って

  しばらくいろいろとお話を伺うことがありました。しかし、彼は時して自分同様な

  境遇の人々と共に語り合える店を開きたいというような抱負も語ってくれました。

   ところでこの女性の会社側の記者会見では「労災認定は真摯に受け止めている。

  裁量労働制は廃止しており、従業員が働きやすい環境整備に努めていく」と美辞麗句で

  お茶を濁した感じです。どこに問題があって、それをどう改善しているのか、

  問題解決の核心に触れてません。このような問題は、私のブログでも何度か紹介して

  きましたように、いくらでも起きています。それらについて今回のような謝罪らしからぬ

  謝罪で一件落着でよろしいでしょうか。上記の例以外でも適応障害の方の相談を受けて

  ますが、一旦このような心のダメ-ジを受けると以前のような職場復帰はとても困難です。

  今年の4月より「働き方改革」がスタ−トしています。

  しかしその改革に着手する前に政府が取り組むべき課題が今回のことを含めて色々と

  あるのに、何故見切り発車するのか。

  「君の行く手は果てしなく遠い、だのに何故君は行くのか、君は行く、君は行く

   そんなにしてまで」これは、かって私が名古屋市西区の中学3年の担任を

   していた時、合唱コンクールの課題曲として生徒が練習していた曲です。

   今の「働き方改革」について私のこころにぴったりと響いてきます。

        ▲ 27日のこの事件に関する朝日新聞の詳細記事

   <裁量労働制 定額働かせ放題の闇>

        3月18付けで労災申請が中央労働基準監督署がに認められた。女性は、「ようやく

   自分は悪くなかったのだ、と言われたよな気がしてほっとしました」と。同席した

   労働組合「裁量労働制ユニオン」によると労基署は、女性が適応障害を発病する

    1カ月前から6カ月前の間に毎月41時間30分から~173時間15分の残業をしていた

   と認めた。国の基準では発病直前月160時間以上のするなどとしたら、労災が原則

   認められる。女性の月173時間の残業は「基準を一発で超えていた」(ユニオン)

        女性は、新卒で入社。建物の全体の意匠を考える建築設計の仕事を始め、3カ月目には

   残業時間が月100時間を超えた。26時間連続勤務、9カ月連続残業が100時間を

   越え、さらに月180時間残業、帰宅なしで2日間30時間勤務という激務が続いた。ば

   やがて異変が起こりパソコン作業していると突然理由もなく涙が出るようになった。

   無理にものを食べ続け何とか睡魔をごまかした。しかし、寝ようにも寝付けず心身の

   不調に悩まされたとのこと。だが、職場では長時間労働を耐え抜いてこそ「一人前」と

   いう雰囲気を感じた。周囲はこの働き方に耐えているのに、「なぜ自分はうまく

   できないのか」と悩んだ。やがてドクターストップがかかり。休職した。

   なお、彼女は「専門業務型裁量労働制」を適用さていた。しかし、1級、2級の建築士の

   資格がなく、偽装の裁量制労働者として苛酷なサ-ビス残業を強いられていた。


 

 

 

 

 3月11日 リ−ダ-が知るべき2つの共感力 稲川由太郎先生執筆 コ-チAより配信

 

  3月11~12  日 リ−ダ-が知るべき2つの共感力 稲川由太郎先生執筆 コ-チAより配信

  筆者は、はじめに「何故企業で共感力が必要のか」と問題提示しています。

  ▲ 共感力の必要性

  〇 コミュニケーションを通して周囲と関係性をを築く上で誰もが必要とする能力

   カウンセリングでよく出てくる「ラボ-ル」がこれに当たり、共感に基づく信頼関係です。

   あいさつ、共通する関心事など。

  〇 リ−ダ-となると、共感力は社員のエンゲ-ジメント(会社への愛着心、思いやりなど)

        良いチ-ムワ-クに直結し、業績にも関わってきます。コ-チングでは会社のビジョンに

   にどのように共感してもらえるか、部下との共感を生み出すのにどうすべきか

   など「共感」が大事なテ−マになります。

   ▲2種類の共感

   この分類は、専門家によって分かれますが、認知神経科学の専門家の金井良太郎氏は

   共感には、「感情的側面」と「認知的側面」があるとのこと。

   〇 「感情的側面」とは他者の感じていることを自分の感覚として感じること。

    テレビを一緒に見ていて、喜怒哀楽を共にすることなど。

   〇 「認知的側面」とは相手の立場から見える状況日頃の職場内の発言、行動の状況から

      推測して分析すること。相手の視点、立場を理解することであって、相手に

      同調することではないとのことです。

           キプロス ニコシア大学のある学者は感情の共感と認知の共感の違いを理解し、各々が

    もつ威力を如何にして利用するかを心得ておくべきと指摘するとのことです。

           そして優秀なリ−ダ--ほど「感情の共感」よりも「認知の共感」により重さをおくとの

    ことです。 例えば仕事に行き詰っている部下の中には「大変なんだ、苦しい」と

    自分の感情に共感して欲しいと思う人もいる。また、一方で、少しでも前に進みたいと

    同情よりも「なぜ困っているのか、何が起きているのか」と状況、状態を聞いて欲しい

    部下も多いのでは。「どうなるのが理想か?あなた自身はどうしたいのか?」など

    感情に距離をおいて会話を続けることで本質的な解決策や本人の成長がより早く

    明らかになる可能性が出て来ると。つまり本人の将来に向かっての新たなキャリア

    形成に関わる事項になり得るとのことです。

      ▲ 最後の筆者のまとめ

    リ−ダ-の共感力は、周囲の人々の今後のパフォ-マンスに及ぼすと。それ故リ−ダ-

           として部下の喜怒哀楽に共感することは必須であると。

    しかし、時には感情よりも認知の共感に目を向けることで部下は部下は気になって

    いることに気づいもらえた、認められたと安心感を得て次の一歩に踏み出せるのでは

    と締めくくっています。(部下の新しいキャリア形成に向けての貴重な後押しに

    なると痛感しました)

 

3月3日 エ-ザイ部長の自殺を労災認定 2日共同通信

 

 3月3日  エ-ザイ部長の自殺を労災認定(3月2日共同通信)

     エ-ザイ(製薬会社)の部長だつた50代の男性が2016年自殺したことに対し、大阪の天満

  労働基準監督署が部長昇進に伴う仕事量の増加や月100時間超の時間外労働による強い

  ストレスが原因の過労自殺だったとして労災認定したことが分かった(3月2日)

      認定したのは2月18日付であった。

  遺族側は、昇進直後の長時間労働や亡くなるまでのの8年間で8000時間を超えた残業が

  あったと申し立てたが、労基署は昇進後の長時間だけで労災に該当すると判断。8年間の

  労働の実態については判断を示さなかった。(管理監督者として残業手当なく、残業時間

  制限なし)担当職員に対して、ただ数字で示すのでなく、遺族としては、死に至る8年

  の期間の過重負担からくる辛さを分かって欲しい気持ちを込めて訴えたわけですが

  ウマの耳に念仏としてあしらわれていたのが痛々しく感じられます。

  (現場のことを扱う役人、企業の上層部の血の通った対応が望まれます)

  一人の管理監督者を失っても、その穴埋めに誰かを抜擢すればそれでOKでしょうか?

     残された遺族は、大事な一家の中心を失えばすべてを失う。

  人の血の通っている人間は、このことが分かるのです。

 

 

 

  

31年2月14日 住重社員を労災認定 長時間労働で自殺未遂/労基署

 

  31年2月14日 住重社員を労災認定 長時間労働で自殺未遂/労基署

           労働情報メ-ルマガジンより

  住友重機工業の社員で子会社の住重フォ-ジング(神奈川)に出向していた当時20代の

  社員が2016年11月会社の寮の屋上から飛び降りて自殺しようとしていたのは長時間

  残業による精神疾患が原因であったとして横須賀労働基準監督署が昨年10月、労災認定

  していたことが分かった。代理人弁護士が8月東京都内の記者会見で明らかにした。

  弁護士によると、男性は大学院終了後14年に入社し、出向先で材料管理などを担当して

  いた。労基署は男性が16年5月以後通常勤務に加えて外国の機関による監査に対する

  準備や入社3年目の社員に課す研修などを命じられ月100時間を超える残業や13日間

  連続の勤務をしていたと認定。自殺未遂後、救急先の病院で適応障害と診断されており

  業務で強い心理的負荷があったと判断した。

      弁護士によると男性は全身を複雑骨折したが一命を取り留めた。しかし、現在も精神疾患

  のため出社できず休職中とのことです。


  ◎ 彼の救済策 折角大学院まで進んだのに、これでは雑用に振り回されていたようで

  過労で疲労困憊し、自己の存在感も喪失していたと思われました。

  カウンセリングとコ-チングで自分の将来の方向性を引き出して元気づけていくと

  自信を回復することも可能かと思いました。

  

  




 11月30日  一般社団法人日本能率協会の全国のビジネスパ-ソン1000人の職場や仕事に関する意識調査結果

11月30日 一般社団法人日本能率協会(JMA)の全国のビジネスパ−ソン1000人の職場や

        仕事に関する意識調査結果について(労働情報配信メ-ルより)

                       調査時期は2013年以後

      そのテ-マは「チ−ムの雰囲気」が働く人の満足度やモチベーションにどう影響しているか

  その調査相違結果のトピックスは次の1~4にのとおりです。

  1 現在の職場のチ-ムの雰囲気

  「満足しているは、半数強。50代非正規社員では過半数が満足せず、満足の理由は、「困った

   時の助け合い」「創意工夫」「情報共有や学び合いができるから」

   満足していない理由は「フェアな評価」の欠如。

   「困ったときの助け合い」がない。「本音が話されていない」

       2  魅力を感じるチ-ムは「困った時に助け合える」

   「メンバ-同士の仲がよい」「コミュニケ-ションが活発」

   チ-ムの雰囲気に満足している人は、良好な人間関係を魅力と感じ傾向が強い。

   3  チ−ムの雰囲気に満足している人はリ-ダ-の雰囲気づくりを高く評価するが

    満足していない人は、リ−ダ-への評価が低い傾向にある。

    チ-ムリ−ダ-が職場の雰囲気への満足度に影響か。

    4 上司に言われて嫌だと思う一言

    1位 「使えないな」 2位 「そんなこともできないのか」

    3位 「余計なことはするな」

    一方やる気が出る一言 1位 「ありがとう」 2位 「よくやった」

               3位 「頑張っているね」

             感謝とねぎらいの声かけがモチベーションアップに                        バラP1010098 スカッシュゆりとだいだいの.jpg  

              

                         ゆりとバラの組合わせ


        ◎ 私の感じたこと 

     職場の各労働者がただ上司から指示命令されて動く一歯車でなく、自己の存在価値を

     自覚しながら、仲間(上司も含めて)と共に励まし、いたわり、活動目標に向かって

     モチベーションをあげていくための不可欠な事柄と改善すべきことが提示されて

     いて参考になるかと感じました。

     この記事に関連して次に下記ぺ-ジに一昨日コ-チAより配信されました代表取締役

     鈴木義幸先生の職場を活性化させる「プレイス・メ-カ-」を紹介します。

     職場のコミュニケーションを活性化し色々豊かな発想、提案を生み出す

     「大広間」の設定について米国のカリフォルニア州の事例より述べています。

     

     

12月3日 職場を活性化させるプレイスメ-カ- コ-チA 鈴木義幸先生執筆

 

   12月3日 職場を活性化させるプレイスメ-カ-  コ-チA 鈴木義幸先生執筆


   鈴木先生が有名なカリフォルニアのシリコンバレーに行かれた時のこと。

   最先端のIT企業は組織のパフォマンスを生み出すために何をしているのか、それを自分の

   目で見るのが目的だったとのことです。

   いくつかの企業訪問の中でもっとも鼓舞されたのは、NVIDIAとのこと。この企業は1993

        年に台湾系のアメリカ人のジェンスン・ファンと2人の仲間によって創業された半導体企業。

   自動運転車になくてはならないと言われていたGPU(Graphis Prosessing  Unit)を生み出

   したことで有名で、近年驚異的な成長を遂げていると。

   サンタクララのオフィスに行ってまず筆者が驚いたのは、社屋が「ス-パ-フラット」である 

        こと。何故そのような構造になったのか? 

        1フロア全員が仕事をしている。その人数2500人。窓から見える隣の広大な敷地は新社屋が

   建築中でそこに3000人が1フロアにに入る予定。繋がれば1フロアに5500人。

  

      案内したファシリティ担当のバイスプレジデントに筆者は次のことを聞いたとのこと。

   「何故1フロア何ですか」(素人の私としては、大事な会議の場合、そんな大勢が集まって

   話し合っていたら騒々しくて聞く際の妨げにならないかと問いたくなります。)

       「創業した3人は、たくさんの話しをお互いにする中で新しい製品を生み出しました。

   CEOのジェンソンは"インタラクション"こそがイノベーションを生み出す源になると信じ

   ているんです。」*注 interaction  職場の人々の交流、相互作用、意思の疎通等の

   様々なコミュニケーションのこと。

         〇 MIT(マサチューセッツ工科大学)との共同研究では、同じフロアにいる人が偶発的に 

    お互い出会う確率は96%、この数字はフロアが分かれると5%に落ち、ビルが分かれる

    とほぼゼロとのこと。だから1フロアにこだわった。

   〇 ぱっと通りかかった人とすぐにミ-ティングができるように、すべての従業員の机に

     ホワイトボ-ドを据え付けた。どのようなフロア設計にするとどれだけインタラク

     ションが発生するのか、それをすべて事前に計算し、それから実際の建築に

     移したと。バイスプレジデントは誇らしげにこのように語ったとのことです。

     米国のプラグマティズムの実証的事例です。

     ◎私のこの記事についての印象

     私のような中小企業相手の仕事をする者にとっては何か縁遠いものを感じますが

     鈴木先生の問題提示されているテ−マは、拝読していて発想の斬新さにとても

     興味を抱きました。まさに「パラダイムシフト」の実践です。

     中小企業といえども新しい商品開発のようなベンチャ-的仕事に挑戦する際には、

     今回筆者が述べていますように、従来の自分には経験していない視点、観点に気づ

     いて新しい仕事に邁進できる、そのためのinteraction、つまり職場の人々との交流

     のみならず、異業種の人々との交流も、相互の意思の疎通等の多様なコミュニ

     ケーションの必要性を痛感しました。そしてこのinteractionと隣接する言葉として

     imaginative(発想の豊さ、独創性)も関わってきます。

     私のつたない鈍くさい生け花もその端っこに位置するようにできればと淡い願望が

     あります。関連してすでにNPOで知り合って以来交わりの続いているメンタルに

     ハンディのある青年の最近関心を抱き出した「メディアア−ト」のことも近日中に

     本人から聞きたいと思っています。

 





        






8月31~9月3日 失敗事例から学ぶ 職場のメンタル不調防止策  事例1

 

        8月31~9月3日     失敗事例から学ぶ 職場のメンタル不調防止策   事例1

                    弁護士  金ケ崎 絵美著  第一法規より

  

        ▲ 事例1の概要 

    急ぎのプロジェクトリ−ダ-に無理をさせ続けると?

           参考判例 最ニ小判平26・3・24労判1094号

   Aさんは、B会社に入社して数年後、液晶ディスプレー等を製造する工場に移動となり、

   初めてプロジェクトのリ−ダ-になったとのこと。Aさんは、リ−ダ-になる前から体の

   不調を訴えていましたが、リ−ダ-になった後はトラブル対応にも追われ、1カ月60時間

   から80時間の時間外労慟を行う中、B会社が開設した電話窓口て゛の相談のをへて

   神経症と判断されるようになったそうです。

   Aさんは、毎月の診断ごとに体の不調を訴えていましたが、B会社が、Aさんが担当する

   工程の従業員を減らしたり、Aさんが携わったことのない業務を兼任させたことから

   Aさんは10日以上連続して欠勤する状況になりました。

   そのごもAさんの仕事の負担は変わらず、その結果Aさんはうつ病にかかってしまった

   とのことです。

   ◎  B会社の対応には、どのような問題があったのかと筆者は問うています。

   (この会社のようなリスク対応の欠如が先々会社とってどのような痛手を負うことに

   なるのかを配慮すべきかの事例です)

   Aさんのメンタル不調に至る過程とその対策は以下の通りです。

   <タ-ニングポイント1>(Aさんのどんなことに配慮すべきかの着眼点)

     ◎=望ましい措置   ▲=望ましくない措置 

  

 B会社は、Aさんの体調不良や  健康診断や医師の診断  早期に業務量の軽減等の

 メンタル不調に対してどのよう 報告を受けることで     措置がなされたのでAさんは

 に対応すべきか        Aさんの健康状態を             メンタル不調を回復させる                                   把握し、体調に合わせて         ことができた。                                          仕事内容を調整する。

                         

                  

 ▲ Aさんの健康状態を早期に    ▲ その結果

   確認する体制をとらず、     医師から不眠症や神経症と診断される中、仕事量に

   現在の仕事量について考える   変化がなかったため、体調は改善されなかった。

   ことなく仕事をさせた 

  ◎ 会社の安全配慮義務に関わる問題

  この会社のように授業員が健康診断や医師の診断により精神疾患があるとされていても

  会社がそれらの結果の情報を提供してもらう体制がないと、メンタルヘルスに

  関する相談窓口があっても、現実的に機能せず、従業員のメンタル不調の悪化を生じる

  事態を招くリスクはさけたいところです。

   このような労働者の健康状態に関する情報は個人情報の保護の問題関わりますので

  これらの情報は、できるかぎり本人から提出を受けるのが当然望ましいです。

  事業所によっては、保健師が従業員との信頼関係があると貴重な個人情報も得やすいことも

  心理相談の研修で知りました。ある自殺未遂の青年と面接した保健師の「あなたは、一人で

  苦しまなくてもいいのよ」の一語で彼は泣き出したと語ったのを記憶しています。

  その時、そばにいた彼の父親の硬い表情もほぐれたそうです。

  保健師以外でも、職場で誰か一人でも本音を話せる仲間がいることで癒されます。

  それから、時として産業医の存在も大きいと思います。労働者本人の同意を得て個人情報を

  第三者の医療機関へ提供する場合、職場の状況など熟知した産業医に仲介してもらって

  折衝することも必要なこともあります。

  <タ-ニングポイント2> プロジェクトが遅れた際に考えるべきこととは?

    ◎ このポイントの概略

  Aさんが神経症と診断されたころ、B会社は、液晶ディスプレーの製造ラインを構築する

  プロジェクトを立ち上げ、半年ほどの短期間で成功することを目指していた。

  Aさんは、初めてのそのプロジェクトリ−ダ-になった。

  しかし、休日出勤や夜遅くまでの残業が増え、プロジェクトに様々なトラブルも発生したこと

  から担当する作業が遅れた。そのためB会社は、Aさんに対して対策会議に於いて、工程期間

  短縮の指示や、詳細なスケジュール等の提出を厳しく催促した。このようにして、Aさんは

  リ−ダ-になった後の5か月間、60時間から80時間程度の残業を行った。

  Aさんは、その間の2回の時間外超過者健康診断において、自覚症状として頭痛、めまい、

  不眠が時々ある等と回答したとのこと。

       <タ−ニングポイント2>(Aさんのどんなことに配慮すべきかの着眼点)

    ◎ 望ましい措置    ▲ 望ましくない措置  ▲その結果

 

  トラブル続きで遅れて ◎ メンバ-の健康状態に  過重労働が改善されて健康を回復

 いるプロジェクトを    配慮して労働時間を   でき、プロジェクト全体も見直された

 急いで進める必要が    調整しつつ、人員配置  ため、無理なくプロジェクトを   

 あった。         業務分担、工程等の   達成できた。       

 B会社としてどう     見直しも検討する。 

 すべきか         望ましくない措置     

            Aさんの健康状態に配慮することなく、時間外労働をさせ、厳しい

            指示を出す等して、過重労働をさせた。

             その結果として

           Aさんは、頭痛、めまい、不眠等を感じ、体力的にも、心理的にも

           追い込まれた。こうなってくると会社の安全配慮義務違反が顕著に

           なります。    

  

9月4~6 日事例1の続き タ-ニングポイント3

 

      9月4~6 日 事例1の続き タ-ニングポイント3


       不調が深刻になりそうな人への対応とは?

       著者が記述していない私の気づいた対策もで追加します。(近くの監督署の

   労災課担当者にも説明して了解して頂いた内容です。)

     B会社は、Aさんが心身の健康を害した以後も業務を軽減することもなく、むしろAさんが

  担当する工程の従業員を1名減らしたり、Aさんが携わったことのない業務を併任させたり

  したことから、Aさんは10日以上連続して欠勤した。復帰後Aさんは業務の軽減を求めたが

  B会社は受け入れなかった。(このような事態から察するに、この会社は、人を目的達成

  ための道具として扱っているみたいで、その背後には(できなければ、やめよといいたそうな

  半ば嫌がらせの感じさえします) 複数回健康診断において、Aさんは、頭痛、めまい、

  不眠がいつもある等と回答していたが、B会社は、Aさんを会議の提案責任者にすること

  により、さらに業務量を多くした。

     Aさんは、有給休暇を利用して数日間の休養をとり、再び出勤しましたが、会社にいる

  ことが嫌でたまらなく、なぜこんなに苦しいのに働くのかと思うようになり、周りから

  みても、元気がなく放心したような状態になったとのこと。このような経f緯があって、

      Aさんはうつ病になってしまい、B会社に対してAさんが受けた精神的苦痛に対する

  慰謝料等の支払いを求める訴訟を提起したとのことです。

      <タ-ニングポイント3>   

    過重労働によりAさんの   望ましい措置       望ましい措置の結果

 体調不良やメンタル不調が  Aさんの日々の状況、申告  Aさんは体調を回復させることが

 継続し、休みがちになる中  内容、欠勤状況等から健康  でき、仕事も少しずつもとの

 B会社はどうすべきか    状況に気づき、業務軽減等   ようにこなせるようになった。

               の回復措置をとる。

 ▲望ましくない措置          その結果

 Aさんの過重労働うに対して  Aさんは心身の健康を損ね、うつ病になった。B会社はAさんに

 何の措置もとらず       対してAさんが被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払う 

 仕事の進捗を優先させて    ことになった。

 さらに業務負荷をかけた。

      ◎このB会社で働いたAさんの会社の扱い方についての私の印象

 ざっと事件の経過を通読していく中で、労務管理、特にメンタル不調防止のリスク対応が

 ずさんな企業と痛感しました。メンタル不調の進行に備えて、ある程度の規模の会社には、保健

 スタッフにカウンセリングができる 産業医、保健師、カウンセラ-などいて対応していますし

 自社と懇意にしている病院に受診させ、そこと産業医が連携して対処することもあります。

 この場合、就業規則でその会社指定を記述し、その際本人の同意を得て指定すれば問題なしとの

 監督署の労災課の担当者から確認をとりました。但しこのような個人情報を会社に知られる

 ことは当人の配転、昇進等にも影響することがあり、臨機応変に賢明に対処すべき問題でも

 でもあります。

(もっとも外部の相談窓口があるそうですが、会社が掌握できませんし、そこの信頼度もアバウト

 の感じもします)  それと本人は新米のリ−ダ-ですので、適時上司が本院と面接して、メンタルの

 専門家と連携して対処すべきと思います。

 なんとかなるというような安易な気持ちでリ−ダ-にしたため、仕事上のトラブル、長時間労働

 でメンタル不調(神経症)になったり、未経験の業務につかせたり、担当部署の人員減らしで

 負担過重でついに10日の以上欠勤したのに、再度出社しても負担軽減もせず働かせるという

 酷な扱いから当然うつになる位のことは常識のある上司なら読めるはずなのにと、

 痛感しました。

 これでは「慰謝料」で決着がすべてつくわけでなく、本人の心の傷が一生残ると思いますし

 会社の受けたダメ-ジも大きいと思います。

  ですから 、会社としてはリスク対応のシステム構築に関わる指定病院との連携が本人の救済に

  時として、とても大事になることを念頭にいれて置くべきと思いました。

 但し、自分の健康に関わる医療機関は信頼できるところで早く治療を受けるのがよろしいが

 ですが、会社に自分の弱みを知られて、後の配転や、昇進等の人事に波及することもあると

 思われますので。(どうすることが得策かは本人が信頼する方と相談して決めることが

          よろしいかと思います)


30年6月10~13日  部下をもつ人の職場の人間関係 水島広子先生執筆 その1

   6月10~13日     部下をもつ人の職場の人間関係   水島広子先生執筆    その1

  通例ですと、職場の上司と部下との関係と言えば上司がすでに蓄積している様々な知識、経験を

  活かして、市場の動向や職場環境のニ−ズに適切に対処するリ−ダ-シップの発揮を

      想像しますが、ここでは、それとは異なって筆者の視点から「望ましいリ-ダ-として

  在り方」に述べていることに注目しました。

   リ-ダ-の指示命令によって部下を動かすのでなく、リ−ダ-として

  機能しているか否かの見極めは、「部下が(上司の意向を汲んで自発的に判断して)目標に

  向かって効果的に働いているか否か」であると私は思いました。 

     バラP1010088 額アジサイと.jpg   

       あじさいとバラ、ラベンダーセ-ジ、アルストルメリアの組み合わせ

    筆者は日頃、クリニックの診療の他に企業の経営者等向けの講演、セミナ-時や、終了後

  色々な人々との交わり、相談などによって得た知見をもとに、一般にリ−ダ-として望まれる

  タイプとして以下のように述べています。(いくつか抜粋しました)

     ▲  よいリ−ダ-(こうあるべき)

       a   毅然としている(信念を貫くしっかり者)   *反面ワンマン、自己主張が強い。

   b   人情味ある人      *情に流されることがある。 

   c 「苦労人」       *その人なりの「あく」があって案外つき合いにくい

   d   皆が嫌がる嫌がる仕事を率先してする。(率先垂範) 例えば、後かたずけ、清掃等

            *部下はその上司についていけばよいと思い、自発性育たず

   このように長短あって、こうあるべきと決めつけれません。ましてや、「人格者であれ」

   「誰よりも長く働くべき」など枠にはめられますと、完璧にやろうとすれば息詰まって

    燃え尽きてしまいます。こうなれば上記の上司も部下も機能しなくなります。

  ▲ よいリ-ダ-の条件 部下に効果的に働いてもらうこと 

   

 前述の「---べき」のタイプの場合、理想像を追求していくと部下とともに疲れ果てる例に

 言及しました。それに対してリ−ダ-部下共にそうならないためには、私は、まずリ−ダ-が

 その任務に必要な情報に偏ることなく、自分のメンタルをコントロールするしてバランスを

 とることが肝要と感じました。それと筆者のご指摘のとおり、リ-ダ-として意識過剰に

 なってしまうと、部下にもストレスを与えることになって身動きがとれなくなります。

  ではリ-ダ-としてどう振る舞えばよいのでしょうか?それについては、後述で筆者は、

 「ファシリテ-タ-」としての役割を指摘しています。

  それは、会議の時、メンバーの状況を判断してうまくかじ取りをしつつ進行役を務める

  任務を担います。このような働きが機能してこそ部署の現状にうまく対応して効果を上げて

  いけるものと私も思います。その結果として部下も安心して気持ちよく働ける職場環境を

  リ−ダ-、部下ともに期待できると思います。

   ▲ よいリ−ダ-になるためには、リ-ダ-としての自分を忘れる

  ここでは、筆者が指摘されるように、新任のリ−ダ-では、経験不足からどうしても、萎縮

  して、不安、恐れが支配しがちになり、自信喪失に陥り易くなります。このことでも

  「自分にこの任務務まるのだろうか」と内向きになるよりも、視点を変えて「よい職場環境

   づくりの力を与えられた(力を発揮できる好機を与えられた)と外向き、前向きに考えた

   方がうまくいくことが多いとの指摘は貴重と痛感します。自分のことばかり気にして

   部下への配慮することが欠けてしまいます。そうでなくて「良い職場環境をつくる好機を

   与えられた」と考えれば周りの部下などに「ここの職場は働き易いか」「やりにくいと

   思う点はどこか」と質問してみるなどしてみるとクリエイティブになるとのことです。

   この「クリエイティブ」の意味は、リ−ダ-部下共に目標を共有してより良い職場づくり

   に参加している連帯感を高めることを示していると痛感します。

   ここでも、筆者の説くフアシリテ-タ-としてのリ-ダ-像が見えます。


 6月18~20日    部下をもつ人の職場の人間関係 その2

 

     6月18~ 20日         部下をもつ人の職場の人間関係 その2

     <  「リ−ダ-」についての誤解     >      

       1     機能するリ−ダ-

  すでにその1でのべましたように、リ−ダ-としてのタイプ(性格)とし「毅然としている人」

  「人情味がある人」、「苦労してきた人」などは個性であって、肝心の「リ-ダ-として

   本質的に必要であるものは何であるか」には該当せず、リ−ダ-としてのよし、悪しは、どんな

   タイプ、性格がよいとか特定せず、いずれにせよ「リ-ダ-として機能するするか否か」

   による、そのことなのです。その成否は部下の働きが上司の意図をくみとった効果的なもの

   であるかによるとその1に述べました。

   2  叱ることの意味

   きちん叱れるリ−ダ-がよいと言われることもありますが、しかし筆者はそれでリ−ダ-としの

   機能を高めることになるかとの筆者の問。

   叱るの意味は「目下の者の言動の良くない点などを指摘して、強くとがめる」

  ( 国民を代表する地位にありなから、批判に耳を傾けたかのような下手たな演技をし、次々と

   嘘を垂れ流して平然としている政治屋はそれ以上の咎めを受けるべきです)

       次の精神科医らしい筆者の言葉は、職場のパワハラと思しき上司の方々に傾聴して頂き

  たいと思います。「批判的に、且つ強く、相手の非をとがめること」

  「 目上から強くとがめられることは、人の心身に衝撃を与えます」

  「衝撃とは、「心が受ける傷」ということもできます」と。 

       私自身もパワハラと思しき八つ当たりに近い叱責を受けたことがありますが、色んな人の

   いる前で、「やる気がないとか、何々が下手とか」何を根拠にそう思ったのか、只

   その時の虫のいどころが悪くて怒ったみたいで、強い反感しかのこりませんでした。

   こんなタイプの人は、組織を取り仕切る資格なしと直感しました。

   まさに、以前元トヨタ自動車の産業医の浦上先生が「自分の心をコントロールできない

   人は役員として推薦しない」の言葉に合致します。

   ここが大切なポイントと思ったら、双方向の対話が不可欠です。筆者にもご指導して

   頂いたI messageなのです。「あなたの日頃のこんな努力に感謝します。でも今回の

   こんな対処の仕方について、私はxxのように思いますがどうでしょう。」

   このような双方の立場を尊重する民主主義社会で交される対話がアサ-ションなのです。

 

      3   ほめることで人は伸びるのか

   上記とは逆に、褒めればいいのか?についての問題提示です。

   叱るよりも「ほめて育てる」という考え方が確かに浸透しています。

   しかし、「褒めることは万能ではない」との筆者のご指摘。このことについての筆者の

   以下のような見解があります。

   何らかの成果を単にほめると「さらに高い成果を上げなければ」 「常に同じレベルの

   成果を出していかないと失望されてしまう」などと自分を追い込んでしまう人もいるから

   とのことです。そのプレッシャーが、そのまま仕事のストレスとなって、心の病気につながる

   ことすらあるとのことです。こういう例が現実に多く存在するそうです。

   次の筆者のアドバイスはとても参考になります。

   「部下の力を伸ばすためにほめるのであれば、成果でなく努力のプロセスをほめる方が

    安全です。」たとえ期待した成果が出なくても。

   このような場合ですと、コ-チングスキルが有効と直感しました。

   上司の本人の努力過程の質問について部下が答える方法の実態に上司が寄り添って

   随時質問しつつ共に考える中で部下に気づきが生まれ、次の機会にステップアップする

   道が開ける可能性があるからです。暖かい傾聴と質問の成果です。

 

     ▲ ある人の成果をほめた場合、他の人はどう思うか

   このような心遣いもなるほどと感服しました。

   特に女性同士ですと、しっともありますし、なかには落胆する場合もあり得ると思います。

   自分も頑張ろうならいいのですが、「どうせ頑張ってみても自分はだめ」「上司は出来の

   良い人しか関心がない」など。

   しかし、うまく成果が上げられなかったが、その過程の努力をほめること。この対応の

   もっていき方ですと、「自分も頑張ってみよう」という促し効果が期待できそうな気が

   します。これも部下の育成で参考になります。

   それと「今回成果が発揮出来なかった人にも上司が期待を寄せていることを示した方が効果的

   です。」の一言も胆に銘じておくべきことと痛感しました。

 

            4  人を従わせるのがよいリ-ダ-か?

        リ−ダシップの発揮とは、そのリ−ダ-が目指す方向に強引と言われようと、部下を従わせる

   ということと誤解されがちとの筆者の指摘。時として緊急な時など、そのようなことも

   必要なこともありますが、それが日常に於いて常態化すると「指示されていないから

   やらない」という部下の無力化、無気力化、消極化に陥り、本来部下に備わっている

   能力を損ねてしまうと筆者の指摘通りになりかねません。

   言われたことしかやらない部下になっしまうしまうことになります。

     すでに筆者が言及した「怖れ」にとらわれているリ−ダ-は守りに入りがちになって

   指示命令スタイルの硬直化です。

   この怖れとは、「もしもXXしたらどうしよう」という不安な強迫観念に振り回されて

   しまいます。こうなれば、リ−ダ-が仕事を抱え込んで過労になったり、部下に、自分の

   やり方を押しつけたりします。それでは、当然部下は自発的に動くことは出来ませんし

   仕事を任せることにはなりません。怖れにとらわれたリ-ダ-は、いらだち、焦り、不安

   無気力感、猜疑心(信頼できない)、警戒感を抱くことになります。

   それらはリ-ダ-部下共にストレスになり、リ−ダ-としての機能は発揮できません。

 

       ▲  「怖れ」を手放せばうまくいく

   でも窮地からの脱出の道はあります。このような「怖れ」のリ−ダ-の対極には

   「機能するリ−ダ-」があるとのこと。

    「怖れ」のリ−ダ-も冷静さを取り戻し、180度視点をシフトすることで脱出の道が開け

    ます。この時、リ−ダ-が一人で悩んでいてもなかなか脱出は困難です。

    こんなときこそ、カウンセリング、コ-チングを受けると貴重な気づきが生まれ

    光明がさしてくることがあると私は思います。そして上司が方向転換することで

    上司、部下ともに心が癒されて信頼関係も回復出来得ます。

     なお、筆者は他の感情についても次のように述べています。

    人間の感情とは生物としての人間に備わった自己防衛能力とのこと。例えば不安を感じる

    ことは、「安全を確保されていない」ことの知らせ。新しいプロジェクトにとリ汲む

    時などは、不安を感じます。そんな時、リ−ダ-によって明暗がはっきり分かれます。

    怖れのリ−ダ-が、不安から緊張して部下にピリピリと部下にとって不快な態度をとる

    のに対して、「機能するリ−ダ-」は「これは新しい体験だから不安になって当たり前、

    みんなで力を合わせて頑張ろう」と軸をしっかり定めることができ、部下もそれに

    共感して頑張る気になります。(さらにその時この新しい試みをクリアできると

    どのようなステップアップを期待できるのかをつげるとモチベーションを上げれると

    思います)  他の感情についても、まずリ−ダほが自己の内面を振り返り、なにが不満

    なのか、何が心配なのかよく考え、その上で効果的に部下と関わるのが「機能するリ−ダ」

    との筆者の見解です。この効果的に関わるコツこそ、上司のコミュニケーション力であり

    人間力(信念、愛情、誠実さ)である私は思います。



  6月22~ 26 日  部下をもつ人の職場の人間関係  その3

 

     6月22~26 日      部下をもつ職場の人間関係   その3

     その2では筆者は、「リ-ダ-」についての誤解について言及しました。その続きとして

  4、人を従わせるのがよいリ−ダ-に続いて

  再度フアシリテ-タ-に言及します。

        5    リ-ダ-の役割はフアシリテ-タ-

      筆者は、リ−ダ-になる人は必ずしもそのグル-プの中で「最も優秀な人」でなくてもよいとの

  見解です。状況に応じて各自の個性を発揮して、その機能を果たせる人を意味します。

  リ−ダ-の本質的な役割は、フアシリテ-タ-(促進役)とのことです。すべに述べましたように

  会議の進行役のような存在です。「最も優秀な人」として上から結論を押しつけるのでなく

  それぞれの部下の長所を引き出しつつ、それを活かして仕事を進めていく「かじ取り役」です。

  そのようにすれば部下は意欲を出して各自それぞれの発想を自由に発揮できてチ−ムの

  潜在的能力を引き出すことができます。な各人の持ち味、人格が尊重されることでリ−ダ-

      との信頼関係、組織への忠誠心も増すことになります。

    しかし、筆者はこのような発想への反発者も想定しないて、ともすると上下関係の秩序も

  崩れてなれ合いの友達のような関係になるのを懸念する声に対して、その秩序にも配慮して

  組織内で見解の一致が得られない場合でも、リ−ダ-に一任するということで責任をとることにも

  配慮し、皆でよくよく話し合って出た結論なら、リ−ダ-が毅然とした態度で責任がとれると

  述べています。

  またリ−ダ-の上司との関係に於いても、結論について説明してうまくいかない時は、自分が

  責任をとるという毅然とした態度は部下からの信頼を厚くすることになると。

  そして筆者は、「リ−ダ-にもっとも求められる最大の資質とは誠実さと言えるでしょう」と。

   失敗のつけを部下に負わせるようでは、上司の存在価値はありません。

  (政治家も胆に銘じておくべきこと。嘘の垂れ流しでは、そのつけは国民が負うのです)

  筆者が講演などの場で上司について企業の関係者から不満を聞くと「上司に見せる顔と部下に

  見せる顔が違う」とのこと。上層部のイエスマンとして保身を大事にしているからです。

  私もサラリーマン時代、このような去勢された馬のような管理職に何人か遭遇しました。

  

            6    リ-ダ-はそれぞれの領域を尊重しよう


   ここで筆者のいう領域とは、上司と部下という職務上の立場の区分からの視点からみるもの

   であり、また、両者の育った家庭、学校、地域社会等の成育歴や職歴、それらの環境の相違

   などを指しています。これらの領域の相違を踏まえて、筆者は以下のことを問題提示

   しています。

   (1) リ−ダ-は部下より人間として格上なのか?

          例 会議で上司の自分が言った意見について、よく反対意見を述べてくる部下がいる。

   敵対意識の有無は分からないが、どうしたらよいか?

        筆者の見解 : 何故リ-ダ-が反論する部下に違和感を覚えるのか。?

        「部下のくせに」という上からの目線があるからです。

   職務上の上下は職務を効率化するために作られた仕事上のシステムです。

   主に責任の範囲を明らかにするのがその役割とのこと。従ってそのことと、人間としての

   価値の高低とは全く関係がない。但し、人間はどうしても社会的地位と人としての価値を

   結びつけがちなので、その現状に流されず、筆者は「リ−ダ-が率先してロ-ルモデルを

   示していく必要あり」との見解です。(つまり日常の地位格差に捉われず模範を示すこと)

        そのような振る舞いが「機能するリ−ダ-の条件」とも言えるとのことです。

   それに反して部下に対して、とても人道的とは思えない(パワハラのような傲慢な態度)を

   とるのは、「怖れのリ−ダ-」の証拠とも言えるとのこと。筆者は、「怖れのリ−ダ-」は

   基本的に自信がないから」と述べています。まさに劣等感の裏返しです。

   ですから「自分は人間として格上」という態度をとりたがるのです。逆に目上の上司には

   必要以上に媚びへつらい、自分の部下に同じようなこびを要求する「怖れのリ−ダ-」も

   いるとのことです。このような偽りの虚勢を張った上司では、部下に見抜かれメンタル不調に

   になり得ると感じます。

   筆者は「リ−ダ-なのだから人格者でいなければ」という思い込みを捨てることを説いて

   いますが、双方の板挟みで苦境に立つ上司の対処法の困難さもあり得ると痛感します。

   職務上の上下関係と人間としての価値は無関係という筆者の指摘は、別の観点にも

   繋がるとのことです。

   その例 リ−ダ-向けの啓発本などで疲れる。そこに、「部下より人間として格上に

   なるように」というメッセ-ジを感じ取り(あおられてしまう)からとの筆者の見解です。

   筆者は、「リ−ダ-だって欠点があり、人間としての限界もあるのです」とのこと、

   そのことで気負ってしまうことへの忠告をしています。

     「部下のくせに」と逆に「自分は人格者でなければ」と負担を背負いこむ必要もない

   こと、職務上のこと共に、人間としても上下の関係ができてしまうと、職務上にも色んな

   弊害が出ることにも注意を喚起しています。(会議で 自分の意見を控えねばならない

   ことなど)

   従ってリ−ダ-から「我々は人間としては対等」という姿を率先して示していくことが

   重要とのことです。このことは、決して部下への機嫌取りのような卑屈さを示すもので

   ないと感じます。

   (2)  リ−ダ-はそれぞれの「領域」を尊重する

   すでにこの単元の6の初めに述べましたように、ここでの領域とは「上司、部下の職務上

   立場の区分からみるものであり、両者の成育歴、学歴、職歴及びそれらに関わる環境の

   相違などを指しています。自分の領域は自分しか分からないし、相手のそれのことは

   分かりません。職場の人間関係では、共に長く過ごす時間が長くても相手のことを

   よく知らないことが色々とあるのが実状です。ですから、相手のすべての理解は

   できません。成熟した健康な人間関係のために必要なことは、相互に相手の「領域」を

   尊重することとの筆者の指摘の通りです。

   相手の領域については決めつけない。自分の領域については自分で責任をとる。

   それが「領域」の尊重の基本とのことです。

   この原則はリ−ダ-にとっても同じことです。

   部下のことを勝手に勝手に決めつけるのは「機能するリ-ダ-」でなく「怖れのリ−ダ-」の

   姿勢と筆者は述べています。

   多くの場合、部下の領域について決めつけたような発言をすると相手を傷つけたり、相手

   から反撃をくらい一気に信頼を失ったりするわけです。リ−ダ-になったらからといって

   つい相手の領域に入りこんで決めつけないことは、要注意と感じます。

   私自身も、サラリーマン時代には、根拠もなく憶測で、しかもまた聞きと思える

   ことで軽率な上司に時々怒りを感じました。筆者の指摘の通り、「その「領域」は

   不可侵なもので、その意識(自覚)こそリ−ダ-としての機能を高める」に痛感します。

   ここの機能は、「部下のモチベーション」に関わることなのです。

   そして次の箇所の筆者の見解も共感します。

   リ−ダ-からみて相手が不可解な行動をとっているとしたら、まず「相手は何故そんな

   ことをしているのか」を聴いてみるという事実関係の把握は、信頼関係に関わる大事な

   事柄と思います。『なる程」という感覚が得られるまで話を聴くことを筆者が強調して

   いるのは、その道の専門家らしいところですし、そういう努力があってこそ、一歩々

   信頼関係が築かれると思います。

   

   6 の(3)    リ−ダ-はジャッジする(審判官、裁判官のように裁く人)ではない。

   一般の企業、官庁等の組織内の服務規律に慣れている方々にとっては、違和感を感じ

   られるかも知れませんが、この個所でも「個々の人々には、色々な事情、見方、考え方が

   あって、それを個々の領域として尊重していくのがと健康で成熟した人間関係」と筆者は

   リ−ダ-と部下について力説しています。

         しかし、世間では、リ−ダ-は部下をジャッジしてもよい(それが指導の一環であると

   思われていると私も感じています)

        でも筆者は、主観的な評価をジャッジメントと読んでいるとのことです。。

   このジャッジメントは、同じ現象をみても人によって異なるし、同じ人でも、年代や、その

   時の気分などによって異なるものとのこと。

   それに対して客観的な評価を「アセスメント」と読んでいます。血圧の測定、スピ−ド

   メ-タ-による違反の取り締まりなど。

   従って公正なジャッジが求められます。


   ▲ 自分のジャッジメントを相手に押し付けないこと

   部下へのジャッジは相手の領域について自分の側の「領域」の判断基準で勝手に決めつけて

   しまうことがよく起きます。

   筆者の見解が以下のように述べられています。

   「相手の(心の)領域に土足で踏み込んで決めつける暴力の行使と表現しています。

   これは「怖れのリ−ダ-」に典型的な姿勢と言えるとのことです。

   「色々な可能性に心を開くのでなく、自分がみている狭い世界を「真実」と思い込まないと

   自分の(信念)が崩れてしまいそうな恐れがあるのでしょう」と。

   「自分の方が人間として格上だと思っているので、何でも自分が決めつけてよいという

    感覚があるかも知れません」と。(まさに傲慢の一言、こんな人に日本の政治、企業

    官界、教育などが支配されれば、国民の先々が憂慮されます)  

           ここまで通読していて、水島先生の説くアサ-ションスキルの実践が家庭、学校、企業など

    身近な場所で自他の人格の尊重という風潮を高めることの大切さを痛感させて頂き

    ました。それこそ民主主義の基盤であり、健常者、ハンディをもった人々を含めた

    共生社会の実現のための不可欠な大事なことに含まれていると痛感しました。