(2) 自己概念(本人が自己をどう見ているか)が自己の成長過程で
形成され自己の行動の中軸になっている。この自己概念について、ロジャ-スは
フッサ-ルの現象学の立場より「客観的事実よりも、本人がどう 受け取っているかの心
的事実の受け止め方の方が重要である 」
と述べています。わたしは、この言葉のもつ重み を時々痛い程
感じています。 その人の行動をほめても、劣等感が強い人には通じないからです。
就労支援で時々遭遇します。 てすからこのような定着した認知の歪みに対して
認知行動療法を使うと効果が期待できます。
C リレ-ションづくり( カウンセラ-とクライアントの信頼関係)
両者の関係は、フロイトの精神分析療法の医師と患者という上下の堅苦しい関係でなく、
ロジャ-スは、クライアントの人権尊重の観点から対等な関係づくりを目指しています。
それを土台にして話しやすい雰囲気づくりをします。
その場合、私はセッションの前に心理教育でその辺のことを説明し相手の理解を得たいと
考えています。(私の目指すカウンセリングの心理教育参照)
その時に、狭いカウンセリングの枠に縛られないでコ-チングの承認スキル、アサ-ションの 感謝
スキルなども使用すると、雰囲気がなごむと思います。「それはよい着想てすね」とか
クライアントが「そこまで分かって頂いてうれしいです」(アサ-ションのことを知らなくても)
そういうようなやりとりがあると、両者の心理的距離が縮まって良好な関係が進展する
と思います。 また、時として両者間の話がずれたり、クライアントがいい足りないことがあると
信頼関係はうまくいきません。そんな時にそれらの気配を感じたなら、「話がずれてませんか」
「何か違和感を感じませんか」とか、「言いたいことは話せましたか」の質問をすると
軌道修正ができて信頼関係の回復につながります。
D 積極的傾聴
(1) カウンセラに求められる基本的態度
a 自己一致
カウンセリングをする時になって特別に「カウンセラ-ぶる」のではなく、平素の素顔の
自分でクライアントと接すること(偽りのない自分)を意味しています。
b 無条件の肯定的配慮
クライアントがどんなことを言おうと、どんな態度であろうと 相手を暖かく受容すること
(トップぺ-ジのカウンセリングの理念参照)
「この暖かく受容する」は私が一番ロジャ-スの人間性について注目する箇所です
これは、多くのメンタル障害者にかれが関与して得た臨床現場のきびしい愛の
体験から出た言葉だと思います。この言葉「暖かい---」は実行しようとすると
そのハ-ドルは高い事があります。 私が認知行動療法に接近したのは、この高さを
強く意識したからです。 下記の例がそうです。
C 共感的な理解
「 共感的理解とは、その人の主観的な見方、感じ方、考え方をその人のように見たり
感じたり、考えたりすることである」とあるテキストに出ています。 頭で理解している
つもりでも、実際に一身上のハンディをもった人と接していて「あんたみたいな人に
俺の気持ちがわかるのか」と逆差別されると、最初の頃は当惑しました。
しかし、ここからがカウンセラ-として再出発するよい転機になります。
新しい対処法を探究するきっかけになりますから。
(2) 傾聴の技法
養成講座できびく指導された単純応答(うなづき、相づち、繰り返し)、
感情への応答、要約して返すなど。
しかし、大事なことは、すでに述べましたリレ-ションづくりに留意することです。
このことは、今年の4月22日のカウンセラ-のブログで掲載しています。
セッション中に、自分は、相手に対してどんな関わりをしているか、視点が自分に
あるのか、相手にあるのかということ、さらに第三者からみて両者の心理的距離は
どうなのか。 こんな複眼的見方をもつことが信頼関係にとって不可欠です。
どんな心理療法を使うにせよ傾聴に関する上記の(1)、(2)は基本として大事です。
◎ なおロジャ-スは、面接場面を録音で公開して技法のレベルアップに務めた
業績も彼の功績として評価されている。