令和2 2月20日 コ-チA 桜井一紀先生執筆 主観が未来をつくる
桜井先生には名古屋で2回セミナーでご指導して頂いたことがありますし、このコ-チAでは
しばしば、記事で参考にさせて頂いています。特に名古屋の八事日赤病院では、医師
看護士、事務局のスタッフを含めて指導されたことの記事につきましては、日頃お世話に
なっています名城病院の親しい麻酔科部長のO先生にその記事のコピ-を見て頂いた
ことがあります。今回も多分参考になるかも知れないと思っています。
「君の気持ちなんてどうでもいい。やるべきことをやってくれ」マネージャーになってから
部下にこのセリフを何回言ったか分からないとあるマネージャがつぶやいたと。
トップダウンの企業の一般的傾向として当然と言えそうです。しかし、マネージャーは
組織の目標や未来、部下に対して実績を上げるためにこのセリフを言うと思うとのこと。
これは何も特別な例でなく、日頃私たちの日常には、生産性と引きかえに、本人の「気持ち」
「想い」といった主観をなおざりにすることが時々起っているように筆者は思うと。
ではなぜ主観がなおざりにされるのか?
ビジネスの世界では、特に主観的なものを排除して客観的なものごとをみることが求め
られると傾向があるのではないかとの筆者見解です。
ここで筆者の言う「客観的」というのは、あくまでも企業サイドに立って、私的感情
思いを抜きにして冷静に客観的に企業の在り方をみていくことと思われますます。こういう
観点に立てばトップダウンで上司がいってきても、部下は上司の言っていることの必要性の
理解もしやすくなって、対話がかみ合うことも可能になり得ると思われます。
とはいえ、私たちは主観に基づいて生きています。もし自分の主観が大切にされ
なかったならばどうでしょう。それは自分自身が大切にされていないと感じるものと
同じと筆者は述べています。
次に「離職率の上昇を止めた部長は部下に対して何をしていたか」を例示しています。
以前の部長(スタッフが半分退職した)は他の部署の人たちや患者さんからは、「明るくて
やさしい」と評判だったマネージャーが部長になったそうて゛、彼のマネジメントは
以下のようでした。
〇 ミーティングはできるだけ短時間で終わらせる。
〇 発言したり、結論を出したりするのは、限られた一部のスタッフに限る。
〇 半期に一度の面談をやらないこともある。
〇 部下のキャリアプランについては本人よりも部長の主張が強い。
〇 面談後部下は「丸めこまれた」と。
〇 話したことを全く分かってくれないと思う事がある。
以上の実態からその年にstaffが半分退職したのです。そこで別の部長が就任しました。
この新部長のマネジメントは次の通りです。
● 私は「この部署を〇〇にする」と自分の実現したいことを示す。
● それについてstaff全員に発言の機会を与える。
● どんなに忙しくてもこのミーティングの時間を十分確保し、話し合うことを大切にする。
● 半期の面談以外に廊下で会うと少しの時間でも話す。
● 相手の話に重きをおいてstaffの主張を一生懸命に聞く。
というものでした。この年は一人も離職者は出なかったとのこと。
筆者が言うには、メンバーの離職を左右したのは、「明るい、優しい」や「厳しい、怖い」
といった部長本人の雰囲気やイメージではなかったのです。部下の間で意図的に「会話して
いる」という点が大きく影響したのではないかと。
つまり、表面的な外見の問題でなく、部下各人の内面に筆者が注目している主観に焦点が
あったということです。
「主観を大切にする」とは
このテ-マに沿った筆者が例示するのは、全国に店舗を展開している企業で「店長の
コミュニケーションを調査した資料」です。
それによると「売上げが高く、離職の少ない店長」の特徴に「インフォ-マルな会話を
している」、「レスポンスが早い」「個別対応をしている」「考えさせる質問をしている」
「権限を委譲している」といったものがあったと。
とても先進的な取り組みをしている企業と思います。「インフォ-マルな会話」とは自分
自身のことや、体調、プライベートといった仕事以外の話題。つまり自分自身のこと。
「主観」について、部下が話せる状態をつくっているということなのです。
「考えさせる質問」とはまさに社員の持っているリソース(潜在する資質、能力)を引き出す
のにとても大切なのです。これが可能になるは、日頃の部下とのインフォ-マルな対話が
あるからです。さらに信頼関係があればこそ権限移譲もできます。
こんな企業一度少しで見学したくなります。ついで筆者の対話についての説明があります。
感情や想い、考え、意図、解釈などの主観と私たちは「言葉」というシンボルを使って
相手に伝えようととします。お互いの理解を深めるために、そのシンボルに込めた背景、
想い、意図、解釈などを具体的に聞く必要がありますと。
そうした対話を可能にするのは、「自分の主観を言っても大丈夫。相手の主観を聞いても
大丈夫」という心理的安全性をお互いの間につくることです」と。
相手の想いを聞く、自分の想いを話す。そしてお互いを理解する。
特に主観と主観がぶつかり合うことがあるかも知れませんと。しかし、お互いの主観に
価値を置き、まずは相手の想いを受け取る。この対話のプロセスの中でこそ、それぞれ
の主観は影響し合い、変容していくことが可能になると。
「一人の想い」が形を変えてお互いの「新しい想い」に変わる。
「相手の問題」が二人の「共有すべき問題」に変わる。
「部下の成長、課題」が部下本人の課題でなく、上司と部下が協力し合って取り組むべき
「二人の課題」に変わる。上司も部下も彼らの自我が何かしら融和して課題を共有できる
( 信頼関係ができてこそ)「2人の課題」に変わるものと感じます。
「自分一人のささいな思いつき」だと思っていたことが対話を経て発展し「会社全体の
取り組み」に変わる。相手を人として大切にする。
それは、未来に向けて変化を起こすことにつながると筆者は思うとのことです。
◎ 私が今回桜井先の記事を通して感銘を受けたこと
主観の個々の問題、課題などに踏み込んでいく姿勢は従来の私の学んだコ-チングでは
今回のような問題等を共有することは、私の浅学かも知れませんが、今回のように深入り
することはなかっ たように感じました。
何となく最近医療の精神医学のオ-プンダイアロ-グの影響ありの感じを受けました。
この対話法では、企業にも影響があり、企業組織の強化のためのこの対話の本も
出版されています。
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