令和元 11月30~ オ-プンダイアロ-グについて(OD)
対話の言葉 オ-プンダイアロ-グに学ぶ 問題解消のための対話の心得
井庭 崇先生 長井雅史先生共著よりこのODについて本書より引用しながら
コメントいたします。
この用語は1980年代に開発された精神疾病に対する治療法です。北欧フィンランドの
ユヴァスキュラ大学のヤ−コ・セイックラ教授らが中心になり、実践を通じた試行
錯誤を経て、対話による精神疾患の治療として確立したとのことです。
当初フィンランドの西ラップランド地方、トルニオ市にあるケロプタス病院で始め
られのが現在ではその信頼すべき成果から公的医療サ-ビスに組み込まれ、近年
増々世界的に注目されるようになってきたのです。
日本では医療の世界の上下の関係がきびしくて、患者、家族友人、医師等の専門家
などが対等で対話するなどあり得ない話なのですが、この国でもいろんな抵抗を
受けつつも、そのような対等な立場に立って対話する治療の仕組みが達成され
ました。
このODの特徴は、対話を中心としたミーティングにを重ねていくことで治療を
積み重ねていくことにあると。入院や投薬などにより症状に対処しようとする
アプローチとは異なり、丁寧な対話により精神疾患のもとになっているものに
迫り、その問題を解消することを目指します。その過程では、医師が診断した結果
に従って治療方針をきめるという一般スタイルでなく、患者本人のみならず家族や
友人といった周囲にいる重要な人も交えて対話を重ねていき、対話を通して一人
ひとの体験に光が当たり、お互いの体験が共有されていくことで根本にある問題が
融解して共有し得る新たな理解が生まれ、治療に至るとのことです。
その他医師、臨床心理士等専門家も対話に加わって新たな理解を共有しあいます。
(私の独断かも知れませんが、職業、肩書、立場など異なると心底相互理解など
とてもできないと思いますが、それを可能にするのは、この国にも根づいている
キリスト教にも起因しているのではと思いますが--。)
フィンランドのオ-プンダイアロ-グ最初による治療では、最初に相談を受けた
専門家(医師、セラピストなど)が責任をもって治療チ-わ招集し、依頼を受けてから
24時間以内に初回ミーティングを実施するというシステムで運用されていると。
このなるべく早く開始するということが、患者が体験していることを症状を
うまく表現するための言葉をもたらす対話につながっていくとのこと。
(この患者の気持ちにそった心遣いに思いやりを感じます)
そしてそのミーティングでは、すでに述べましたように、患者の家族、親族、友人等
本人に関わる重要人物にも参加してもらいます。
これは本人の症状、問題の原因を周囲の人たちに見だしたり、関係改善に介入する
ためでないとしています。
それと異なって、治療をもたらす多角的(ポリフォニック)な対話をともにしていく
パ-トナーとしてミーティングに参加してもらうためにそうするとのこと。
(参加者が様々な視点を共有し合うことなどがねらい)
参加するメンバーが集まったら、車座になって座り、本人たちが話したいことを
中心としながら対話をします。専門家は話すことを決めてそれに沿って話を進めて
いくのでなく、本人たちが話したいことを話し合っていけるような場をサポートする
とのこと。「治療する人として」として特別な立場に立つのでなく、自らも対話の
一参加者として関わります。今後の方針や治療計画なども、専門家のみで決める
ことはせず、本人たちと共にミーティングの場で決めていくとのことです。
国連の障害者差別撤廃条約が批准されたころ、このような障害者主体の宣言が
各国でなされ、nothing about us without us(障害者抜きで私たちのこと決めないで)
との 言葉が彼等から叫ばれました。それよりずっと前にフィンランドで実行され
ています。 (治療に関わるミーティングに参加された方々は患者さんも含めてその
ご尽力はまさにノ-ベル賞に値しますね)
なお、このODでは、精神疾患の症状はモノロ-グ的な認識、語りによって生じている
と考えられています、(統合失調症患者の方など何かぶつぶつとと一人で言っています)
そういう凝り固まった「しこり」のようなものがODでは「多角的」話し合いに
よって融解し治療すると考えられているとのこと。
色々の方々の温かい傾聴が継続してありますと、一対一のカウンセリングよりも
さらなる効果が期待できそうですね。
このODの効果ですが、これに参加した統合失調患者と通常の治療を受けたその患者
の比較によると再発率の低下や入院期間の短縮など治療成果が有意に異なるという
結果がでていると。具体的には、西ラップランド地方の統合失調症患者の入院治療
間は平均1期9日間短縮されたこと、2年間の予後調査で再発率が71%から24%に
抑えられていることなどがあげられているとのことです。
現在フィンランドでは公的な医療サ-ビスとして無料で受けられるほどの信頼をうる
治療法になっているとのことです。
このオ-プンダイアロ-グの記事を少し訂正してyoutubeを見ていると丁度フィンランド
のシベリウスのフィンランディアのコンサ−トを鑑賞できました。
ロシアとの戦争に負けても気力を取り戻す意気込みが「静かに待てわがたまよ」の
合唱の中に感じることができて感動しました。
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