10月8~10 日 指導より自分を分かって欲しい 神戸親和女子大 金山健一先生執筆
児童心理 9月号 2018より
筆者は、次のように子供の辛い心理について
子供の自殺が止まらない辛い、苦しい心境を述べています。
「先生に気づいて欲しい。分かって欲しい」という叫びがあるに違いない」
しかし、大人は気づいていない。子供の発する小さなSOSに気づく、察知する力を持た
ねばならない。このことに関しては、厚労省の2017年作成の10代から30代までの
死因上位3項目の実態を示す資料が以下にあります。
第一位 第2位 第3位
10~14歳 悪性新生物 自殺 不慮の事故
15~19歳 自殺 不慮の事故 悪性新生物
20~24歳 自殺 不慮の事故 悪性新生物
25~29歳 自殺 悪性新生物 不慮の事故
30~34歳 自殺 悪性新生物 不慮の事故
35~39歳 自殺 悪性新生物 心疾患
上記の表からみての通り、15歳から39歳までの死因の第一位は自殺である。
特に15歳から19歳の思春期の自殺者の実態の統計を見せつけられると、私にとっては
高校生のある受験管理体制下のある学校での3年連続してあった痛ましい事件を想起して
とても悲痛な心境になります。その中の一人を高2の授業で教え、本人の人間不信の心境を
書いた作文を読んだ後、一度あなたと話したいと声をかけ、拒否されて、3日後に自殺した
ことがあったからです。筆者の指摘されるように、「指導」によりも「自分を分かって
欲しい」という本人の心に沿っていなかったことを悔やんでもどうしようのない心のシミ
stain、高校時代のリ-ダ-の教科書に罪(sin)とはstainのことだと出ていたのを覚えています。
休みがちな本人が久しぶりに出てきても、表面をみて愚かにも「元気そうね」と失言した
ことがあったからです。
筆者は、「誰かが繋がっていれば、誰かが自分を分かってくれれば」救えたかも知れないとの
ことを指摘していますが、痛いほど身にしみています。
続いて筆者は、「自分を分かって欲しい」という願いは子供たちは人一倍もっている。
いじめ、不登校、非行などの問題行動の背後には、子供一人々が抱える様々な課題が
背景にある。指導よりもまず先に、教師が子供に寄り添う言語的メッセージを発する
必要があると。」
「元気がないけれど、どうしたのかな」「辛かったね。話てくれてありがとう」
「そのままのあなたで大丈夫だよ」「困ったことは相談してね」など。
「あなたのこと、大切にしているよ」というメッセージが必要であるとのことです。
子供の心をギュッとつかまないと効果は期待できない。
「この子の指導は厄介だな」と教師が感じた瞬間から、子供は野生のように研ぎ澄ま
された感性でこの教師は敵か味方かを鋭く見抜く。子供は教師にどんなことを望んで
いるのだろうか?
▲ 非行生徒と状態のいい時に関わる 非行生徒の状態のいい時に関わる
〇非行生徒の校舎徘徊の意味を知る
筆者が荒れた中学校に勤務していた時、授業に出ないで、廊下を徘徊するグル-プがいて
手を焼いていた時期があった。授業に参加させようとするが、すぐに逃げ出し、まるで
イタチごっこの日々だったとのこと。彼等が授業に参加せず、校内を徘徊する理由は
何だったのか。彼等は事件を起こし、数名が少年院に入った。彼等が退院して20歳に
なったとき、一緒に酒を飲むことになった。筆者は「中学の時、何で教室に入らないで、
廊下を徘徊していたのか」と聞いた。彼等の答えは、「勉強したらバカばれる。だって
99もアルファベットもわからない」と。授業は自身を喪失させる場でしかなかったのだ。
その会話を機に、非行で手を焼いている子供も、実は勉強したいのだと痛感した。それ以後
対応に苦慮する子供には、学習指導で人間関係づくりを試みた。現在では、「学習指導は
極上の生徒指導」と確信しているとのことです。私は、中学生のときは、そのようなことも
教科の先生に恵まれ、偏差値教育でなく、人間形成に寄与する指導をして頂いて感謝して
いますが、高校時代は受験体制と管理教育の色彩が強く、人間形成に寄与する教育を受けた
印象は殆どありません。
▲不登校・いじめで悩む子供の逃げ道を用意する
〇 正論ばかりが正しいわけでない
不登校、いじめで悩む子供、頑張り過ぎの子供には、「しんどかったら逃げてもいいよ。
休んで戻っておいで」と、逃げ道をつくることも必要である。教師は、「頑張れ」
「自分に負けるな」「応援しているよ」と叱咤激励をしようとするが、全ての子供に有効な
わけではない。不登校の子に「明日学校で待っているよ」、いじめを受けた子に「強くなら
ないとダメだよ」という掛け声は、子供を追い詰めてしまい、逆効果になる場合がある。
ぎりぎりまで追い詰められている子供に対しては、敢て「今日は休んだ方がいいよ。」
「テストは受けなくてもいいよ」と逃げ道を用意することが有効なことがある。
いつも正論が正しいわけではない。
子供にとって、自分から「逃げる」のと、教師に「逃げてもいいよ」と保証されるのとでは
全く意味が違う。教師が逃げ道を保証してあげることで、張りつめた緊張がほぐれて、心と
体を休め、自ら歩み出せることもある。
以上の事例は、本人の張りつめた緊張をほぐす効果として大切なことと痛感します。
その他関連して想起したことは、孤独な心に響く例として印象に残っているのは
かって、心理相談の研修で、その会の役員を務めていた保健師の女性が、職場の自殺未遂の
青年とその父親に同行してクリニックを訪問した時のこと。
本人は当然しょげているし、父親も不機嫌な表情。その時保健師は、彼に「もう一人で
悩まなくてもいいのよ」彼は泣きくずれたそうで、それをみた父の表情が一変しました。
その一言が彼が立ち直っていく力になったようでした。
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