8月31~9月3日 失敗事例から学ぶ 職場のメンタル不調防止策  事例1

        8月31~9月3日     失敗事例から学ぶ 職場のメンタル不調防止策   事例1

                    弁護士  金ケ崎 絵美著  第一法規より

 

        ▲ 事例1の概要 

    急ぎのプロジェクトリ−ダ-に無理をさせ続けると?

           参考判例 最ニ小判平26・3・24労判1094号

   Aさんは、B会社に入社して数年後、液晶ディスプレー等を製造する工場に移動となり、

   初めてプロジェクトのリ−ダ-になったとのこと。Aさんは、リ−ダ-になる前から体の

   不調を訴えていましたが、リ−ダ-になった後はトラブル対応にも追われ、1カ月60時間

   から80時間の時間外労慟を行う中、B会社が開設した電話窓口て゛の相談のをへて

   神経症と判断されるようになったそうです。

   Aさんは、毎月の診断ごとに体の不調を訴えていましたが、B会社が、Aさんが担当する

   工程の従業員を減らしたり、Aさんが携わったことのない業務を兼任させたことから

   Aさんは10日以上連続して欠勤する状況になりました。

   そのごもAさんの仕事の負担は変わらず、その結果Aさんはうつ病にかかってしまった

   とのことです。

   ◎  B会社の対応には、どのような問題があったのかと筆者は問うています。

   (この会社のようなリスク対応の欠如が先々会社とってどのような痛手を負うことに

   なるのかを配慮すべきかの事例です)

   Aさんのメンタル不調に至る過程とその対策は以下の通りです。

   <タ-ニングポイント1>(Aさんのどんなことに配慮すべきかの着眼点)

     ◎=望ましい措置   ▲=望ましくない措置 

 

 B会社は、Aさんの体調不良や  健康診断や医師の診断  早期に業務量の軽減等の

 メンタル不調に対してどのよう 報告を受けることで     措置がなされたのでAさんは

 に対応すべきか        Aさんの健康状態を             メンタル不調を回復させる                                   把握し、体調に合わせて         ことができた。                                          仕事内容を調整する。

 

 ▲ Aさんの健康状態を早期に    ▲ その結果

   確認する体制をとらず、     医師から不眠症や神経症と診断される中、仕事量に

   現在の仕事量について考える   変化がなかったため、体調は改善されなかった。

   ことなく仕事をさせた 

  ◎ 会社の安全配慮義務に関わる問題

  この会社のように授業員が健康診断や医師の診断により精神疾患があるとされていても

  会社がそれらの結果の情報を提供してもらう体制がないと、メンタルヘルスに

  関する相談窓口があっても、現実的に機能せず、従業員のメンタル不調の悪化を生じる

  事態を招くリスクはさけたいところです。

   このような労働者の健康状態に関する情報は個人情報の保護の問題関わりますので

  これらの情報は、できるかぎり本人から提出を受けるのが当然望ましいです。

  事業所によっては、保健師が従業員との信頼関係があると貴重な個人情報も得やすいことも

  心理相談の研修で知りました。ある自殺未遂の青年と面接した保健師の「あなたは、一人で

  苦しまなくてもいいのよ」の一語で彼は泣き出したと語ったのを記憶しています。

  その時、そばにいた彼の父親の硬い表情もほぐれたそうです。

  保健師以外でも、職場で誰か一人でも本音を話せる仲間がいることで癒されます。

  それから、時として産業医の存在も大きいと思います。労働者本人の同意を得て個人情報を

  第三者の医療機関へ提供する場合、職場の状況など熟知した産業医に仲介してもらって

  折衝することも必要なこともあります。

  <タ-ニングポイント2> プロジェクトが遅れた際に考えるべきこととは?

    ◎ このポイントの概略

  Aさんが神経症と診断されたころ、B会社は、液晶ディスプレーの製造ラインを構築する

  プロジェクトを立ち上げ、半年ほどの短期間で成功することを目指していた。

  Aさんは、初めてのそのプロジェクトリ−ダ-になった。

  しかし、休日出勤や夜遅くまでの残業が増え、プロジェクトに様々なトラブルも発生したこと

  から担当する作業が遅れた。そのためB会社は、Aさんに対して対策会議に於いて、工程期間

  短縮の指示や、詳細なスケジュール等の提出を厳しく催促した。このようにして、Aさんは

  リ−ダ-になった後の5か月間、60時間から80時間程度の残業を行った。

  Aさんは、その間の2回の時間外超過者健康診断において、自覚症状として頭痛、めまい、

  不眠が時々ある等と回答したとのこと。

       <タ−ニングポイント2>(Aさんのどんなことに配慮すべきかの着眼点)

    ◎ 望ましい措置    ▲ 望ましくない措置  ▲その結果

 

  トラブル続きで遅れて ◎ メンバ-の健康状態に  過重労働が改善されて健康を回復

 いるプロジェクトを    配慮して労働時間を   でき、プロジェクト全体も見直された

 急いで進める必要が    調整しつつ、人員配置  ため、無理なくプロジェクトを   

 あった。         業務分担、工程等の   達成できた。       

 B会社としてどう     見直しも検討する。 

 すべきか         望ましくない措置     

            Aさんの健康状態に配慮することなく、時間外労働をさせ、厳しい

            指示を出す等して、過重労働をさせた。

             その結果として

           Aさんは、頭痛、めまい、不眠等を感じ、体力的にも、心理的にも

           追い込まれた。こうなってくると会社の安全配慮義務違反が顕著に

           なります。    

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当事務所では、職場や家庭などの人間関係、仕事の重圧などに起因するストレス、悩みに対するメンタルカウンセリング(認知行動療法を含む)を行っています。

また就労、解雇等労務管理上の法的クリア(コンプライアンス)や労働者のメンタルヘルス、労災事故から守る安全衛生対策などの指導、助言も行っています。

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