11月16~17 日 対人関係療法を活かした臨床の現場から 水島広子先生執筆  その2

        11月16~17 日 対人関係療法を活かした臨床のから 水島広子先生執筆 その2

          臨床の現場の「ほめる」について                    

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                                時節はずれのグラジオラスです

       その1の終わりの箇所の「筆者の「病気だけでフルタイムです」の言葉の背景には、

   有名なパスカルの「パンセ」の"人間は考える葦である"で引用しているもとは、旧約聖書

   イザヤ書にある「私の愛するしもべ、痛んだ葦を折ることもなく、灯心をけすこともない」

   その箇所を私は想起しました。(ここのしもべとは、キリストのことを指しています)

         心が折れ、消えかかるロ-ソクの炎のような障害者の希望の喪失に対する思いやりのある

   言葉です。そしてその2の冒頭に出ている「ノ-マライズ」は、北欧で生まれた福祉でよく

   使われる「ノ−マライゼ-ション」と関わっています。

   「自分はこんなこができない。」に対して「誰でも長所、短所をもっている。でも

    ある程度努力すればあなたもやれるよ。」ノ-マライズとはこのような自責の念から

    氣を楽にすることを意味します。

    「ノ−マライゼ-ション」とは元来北欧から生まれた精神遅滞者の処遇について

    主張された考え方で、障害者を特別視したり、特別扱いするのでなく、平等に

    扱う考え方です。 

 

    ▲ IPT治療者の姿勢 

    筆者がいうには、IPT全体が「ノ−マライズ」の治療法であるといえる

    「こんなふうに考えるのは、おかしいのではないか」と自虐的になっている

    (自分を責める)患者に対して「それは人間として当然の反応」(あなたのみが特別

    でなく、そんなことも考える人だっている。) 「病気なのだから、こういう症状が

    出るのは当然ということを伝え、身近な他者の力も借りて」(自分の考えの理解者)

          患者の自己肯定感を高めていく。このことが、患者の罪悪感(ないしは自責の気持ち)

          を減らし、治療的信頼関係を強め、患者にこのやり方に従えば治るのではないか」と

    いう希望を感じさせる」と。要するに本人の心に生じ易い負の感情の浄化(ガス抜き)

           ことににより治療効果を高めることになります。

    もう一つ、IPT治療者の特徴は、患者にとって「チァ-リ-ダ-」になるということ。

    これはその1のアスベルガ-の青年の抑うつ対策と例示したことと関連します。

    慢性の抑うつ症状によって自己肯定感がさがり、対人関係に一歩踏み出す勇気を

    出せない患者に対して「この自信のなさは気分変調の抑うつ状態であり

    あなたの暗い性格などでない。症状を改善していくためには、少しずつ、自分の

    希望を少しずつ相手に伝え、理解してもらえるという体験を繰り返していくことが必要」

    というこを説明し、共に作戦を練り、ロ-ルプレイをし、実際にやってみて

    「人は案外理解してくれる」という成功体験を繰りかえさせていく。

     (手法がCBTに似ています。伊藤絵美先生のCBTの講座にも治療者とクライアント

    で作戦チ-ムをつくることが出ていた記憶があります)

           この手法で少しずつ成功体験を治療者と共有する

    ことが自信とモチベ-ションアップにつながります)

           このような手法は「やればできるという希望を失わない」チァリ-ダ-の役割を

    治療者に与えるということです。

     ▲  筆者の考える「ほめる」ということの真髄

    このことについて筆者は、以下のように述べています。

    多くの人が相手をほめている。患者の中にも、ほめられてきた人は少なくない。 

    (中には、どれほどの成果を上げても満足してもらえなかった、という人も多い)

                患者がほめられてきているのは、「成果」なのである。努力してやっと出せた

    結果(良い成績など)については、ほめてもらえる。でも、これこそは、

    「条件付きの肯定」あり、精神的、安定的で健康につながる「無条件の肯定」とは

    似て非なるものである。  

    多くの患者が「確かに成績はほめられました。でもそれは成績が悪くなったら

    見捨てられる、という意味に感じられました」 「成績をどれだけほめてもらっても

    そこの部分を(その部分のみを)ほめられているとしか思えませんでした」という。

    (例えば私の結果をだすに至る苦労などもわかって下さいというような気持ち)

    実は、このような「条件付きの評価」は、患者に不安しかもたらさないことが

    多い。その点を重要な他者が理解しないと、なかなか治療が順調に進んでいかない。

    治療者としては、「成果をほめられるのはきついですよね」と患者の気持ちを

    理解しつつ、成果がどうであれ、患者が頑張ったことは事実である、というところに

    注意を向けさせる。重要な他者の理解も求める。

    IPTでは、「頑張った患者」(結果がどうであれ、結果は相手の事情も反映するので)

            をほめるのも、重要な仕事である。

    ◎ 私の感想 筆者は、成果のみにとらわれず、本人の頑張りを強調していますが

     本人の努力の過程についても洞察することが良き治療のためには不可欠と

     痛感しました。メンタルにハンディのある人々は、なかなかこころの中を

     治療者に言えない人が多いです。ましてや良い成果が出せなかったら

     さらに口が重くなります。特にそのような人についてのメンタルケアの

     配慮が求められます。状況に応じて反省文をかいて頂くことも必要です。

     失敗は失敗で、治療者は本人、重要な他者とのの面接を通してつぎのステップに

     活かせる配慮がとても大切と思います。

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