11月13~14日 対人関係療法を活かした臨床の現場から 水島広子先生執筆
臨床現場の「ほめる」について その1 こころの科学 196より
今回のテ-マに入る前に、対人関係療法の基礎となる次の先生の記事を理解して置くと
テ-マの内容の理解に若干役立つと思い、掲載します。
▲対人関係とストレス
対人関係はストレスの一番のもととも言えます。この関係の例としては、家族関係や
職場での人間関係、学校などの人間関係など。それらがうまく、いかないと「うつ」
など心の病気になります。
何故対人関係が心の健康に大きな影響を与えるかについては、先生は、「最も重要な
キ-ワ−ドは「自尊心でないかと考えています」と。
この自尊心が低いと「自分なんか生まれてこなければよかった」とか
自分なんか生きていくに値しない人間なのだ」というふうに思ってしまうとのこと。
こういう人々は心の病気になりやすく、ある人は自殺したり、薬物、売春などに手を
出したり、 事件に巻き込まれやすいとのことです。
では、どうすれば自尊心を健全に育てられるでしょうかとの先生の問いかけ。
自尊心の うまく育つポイント(ないしはそれを回復するポイント)は色々あって、例えば
「自己の存在を他人に認めてもらう」とか「自己の努力を他人に評価してもらう」
ことなど。
このような自己の存在感、自己の存在価値を承認するのはこのIPT(対人関係療法)でよく
出てくるのがあなたにとって「重要な他者」なのです。
▲ 重要な他者と本人との関係
重要な他者としては、配偶者、恋人、親、兄弟姉妹、親友等がまず該当し、その周りでは
友人、親戚、さらには職場の同僚が該当します。
思春期以後になりますと、特にメンタル障害者ですと重要な他者は親など身内でなく、
NPO、その他の集会で親しくなった親友がそれに当たると思います。
治療者の精神科医、臨床心理士、カウンセラ-は、障害者との信頼関係次第では、重要な
他者になっていることもありますが、それはまれであり、重要な他者を補完する役割を
果たしている例もあると私は思います。中には、リストカットのことを言うと
不快な顔をして、出ていけ」と言われる例もあるのことです。
▲ IPTの戦略と技法 (来談者の心理教育)
水島先生は「IPTは技法でなく、戦略重視の治療である」と述べています。
つまり、その時々の対話の内容に応じた傾聴スキルのようなものでなく、治療者の
見立てた治療目標の成果を意図した対話の一貫したプロセスのことと直感しました。
例えば、「患者の役割」について、IPTは、「病気は単なる状態でなく、病気をもって
暮らすことが一つの社会的役割になるという考えである」と述べています。
それは、ただ頑張りなさいというのでなく、将来の回復に向かって、日々の時間を
自分の責任において治療のために有効に活かしていくことを意味していると
感じます。ですからある意味では、患者が治療の主体になり得ると思います。
かって名古屋市北区の就労支援でわたしが働いていたとき、しばしば抑うつ症状に
なるアスベルガ-の青年が「何にもしたくない時がある」と言いました。
それに対して私は「多少なりとも、体が動かせたらどうする?」との質問に対して
「ジムで体をほぐしたり、近くで軽いランニングする」とのこと。
そうすると気分がほぐれるといっていました。CBTでいう選択的適応なのです。
そのようにして気分転換できれば、自分の勉強、日記を書くこともできまとです。
このような意識や行動の変化は、患者の周囲の人々に「患者の役割」を明確に
するこ対人関係でも好ましい影響を与え、良い評価、励ましなど受ければ
気分も改善されます。
次の筆者の言葉にも注目しました。
「仕事がうまくできない」という患者に対して筆者がよく「ほめる」のは
「病気であるだけで、フルタイムの仕事です。」
この言葉の意味は、「病気でありながらよく頑張っています」の筆者のタイムリ-な
患者の心の琴線に響くエンパワ-メントと感じます。
(あなたは、病気なのだから力が十分発揮できない。ちっとも卑下しなくても
いいのよ。)そんな感じがします。
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担当:佐野(さの)
愛知県名古屋市・日進市を中心に活動する佐野カウンセリング社労士オフィスです。
当事務所では、職場や家庭などの人間関係、仕事の重圧などに起因するストレス、悩みに対するメンタルカウンセリング(認知行動療法を含む)を行っています。
また就労、解雇等労務管理上の法的クリア(コンプライアンス)や労働者のメンタルヘルス、労災事故から守る安全衛生対策などの指導、助言も行っています。
安心して気持ちよく働ける快適な職場環境づくりのサポ-トこそ私の使命です。お気軽にお問い合わせ下さい。
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