10月19日 失敗から学ぶ精神障害者の就労支援
湘南医療大学保健医療学部 鶴見隆彦先生執筆 精神科臨床サ−ビス16巻3号より
私自身障害者に関わる仕事に従事していますし、すでに西区の小田井メンタル
クリニックの院長鬼頭先生と臨床主任鶴田先生からの心理療法のご指導して頂ける
段取りが始まっていますし、以前勤めていたNPOの私も関わった利用者の不満を
公けの場で聴いたことを想起しつつ、この記事に関心を持ちました。
1 はじめに
筆者の臨床を外観すると、公的機関での若年層から壮年期の統合失調症を中心とした地域の
リハビリテーション全般の臨床とのこと。この臨床経験の中で、いくつかの就労支援の事例を
重ねてきたそうで、恥ずかしながら自己を振り返って吐露すると能力不足や未熟さから多くの
支援上の失敗を重ねてきたと、謙遜な気持ちをこめて語っておられます。その体験の経緯の
中で、自己の就労支援の失敗経験を開示し、その経験も含め筆者が学んだ重要なポイントや
臨床上の工夫に触れたいとのことです。。そのようなご配慮が私のような臨床の現場に
うとい者にとって大変参考になると痛感しました。
2 就労支援の基本姿勢
現在の精神障害者の職業リハビリテーションは、対象者の多様な働き方を支援する方向性で
構築されようとしているといえるであうとの筆者の見解。またその対象者への就労支援は
「生きる」方向性を投射した支援でなくてはならない。この言葉には、まさに上記の失敗
体験で 筆者自身がつらい思いをして習得した体験が反映されていることが理解できます。
次の事例がそれに該当します。支援者 と利用者の安易なマッチングが禍のもとに
なっています。
本人の就労のニ−ズがあっても、「あの人は具合悪くなると大変な人だから、この福祉的
就労の場でいいよ」など支援者の価値が優先され、投影されるものであってはならない
はずである。
これを現場のレベルで考えると、就労支援を行うスタッフの支援の原則として、上記の本人の
生き方を反映した多様性のある働き方が優先されるべき支援であること、また、就労支援が
本人のニ−ズや生き方を反映するものであり、支援者側の価値が優先されていないことが
支援の原則であることを確認して置きたいと筆者は強調しています。
それは(支援者の価値の優先の有無)は、具 体的には臨床上支援スタッフにかかわる
スタッフは組織での日頃のスタッフミ−ティングの中で、対象者個々への支援の方向性を
報告(自己開示)しスタッフ自身の価値が優先される支援になっていないか他者評価を受け、
支援の客観性を担保していることが原則である。あるいはスタッフ自身で今行っている
支援が対象者の生き方を投影したものであるかを自身で日々点検する姿勢があることが
原則であるとのこと。
◎ この記事でも筆者の責任感をしっかりもった対応ぶりが伝ってきます。
しかし、私の狭い知見かもしれませんが、巷のNPOの就労支援事業所の支援者の
中には、国の助成金のことにこだわって、支援対象者の意向をしっかり確認もせず
相手が求人に少しでも関心があれば、半ば強引に職安に連れていって、職員との
でも、職安側も実績のノルマがあるせいか、本人にいくらかの不安や不満があっても
同意させようとすることがあるようです。例えば若者支援事業団の支援者、
支援対象者の研修会で、支援者、職安とも自分たちの業績アップに目線が
いっていて、対象者のことをないがしろにしているとの強い不満の言葉が述べ
られていました。
ですから、就労支援事業所の支援の実態のなかで、特に対象者のメンタルケアの
資質に行政当局のチェック体制がどうなっているか疑問を感じます。
3 就労支援の失敗を概観
就労支援のスタッフは上記の基本姿勢を保持しながら、就労支援での方法論には
* 「place−then−trainモデル」を基本に
① 就労の準備性支援
② マッチング支援
③ 継続性支援 ④ 離職・転職支援など各段階の支援がある。
*この方法では、ジョブコ−チによる支援などを受けて早く仕事ができる。
それに対してtrain−then−placeは、まず保護的な場で訓練を
受けてから就職する伝統的なやり方
①準備性支援においては医療側も主体的に実施している場合もあり、支援者側の職種も多様で
あり、マンパワ−も多いであろうとのこと。しかし、②マッチング性支援、
③ 離職・転職支援と段階が進むにつれ、支援者側のマンパワーが限られる傾向、
或は支援機関の連携が複雑化するこ となどから、支援の即応性や多様な支援が
実施にくい構造があるのが現状であろう、
とのことです。また、それは、段階が進むにつれて支援者一人にかかってくる役割や
責任の重さが増大し、支援の困難性が増してくるのが現状である。−−−−−
これら就労支援においては、前述の①〜④の各段階で支援の失敗は起こっているわけだが
段階が進むにつれて支援の困難性や連携の困難性が増し、また、マンパワーの少なさから
支援の即応性に欠けるなどのために当事者の病気の再発につながる場合が多いと筆者は
感じている。リハビリテーション、本人のリカバリーの過程は、小さな失敗の積み重ね
からの学習過程とも言えるが、再発を含む大きな失敗に繋がらないよう支援していく
ことが原則である。これらを概観すると、就労支援上の失敗は
、②マッチング支援〜④離職・転職支援の段階でより起こりやすいと筆者は考えている
とのことです。
4 失敗を防ぐ臨床上の工夫
就労支援の段階が進むにつれて支援者側の困難性が増し、そのことによって対象者
本人の病気の再発を含む大きな失敗のリスクを減ずる手立てを支援者側が実施して
おく必要がある。
就労支援を実施していく上での前提とも言える。以下の点は特に重要な要素と筆者は
考えているとのことです。
以下の重要な要素は、この「失敗から学ぶ精神障害者の就労支援」の続編で述べます。
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