3月11〜12日「死にたいの理解と対応(1)国立精神・神経医療研究センタ−精神科医松本俊彦先生執筆

         3月11〜12日 「死にたい」の理解と対応 国立精神・神経医療研究センタ−

                                                                                                    精神科医松本俊彦先生

           こころの科学 2016・3より 「死にたい」に現場で向き合う                           

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                            アルストロメリアとアヤメの組合わせです 少し鈍くさいですが

          はじめに 「死にたい」は自殺の危険因子

     松本先生は、自殺希求について次のように述べています。

     最初に断言しておきたい。「”死ね、死ね”という奴に限って死なない」という通説は迷信

              以外の何ものでもない。ケスラ−らの大規模疫学調査は、自殺念慮を抱いた者の34%は

             具体的な自殺の計画を立てており、自殺の計画を立てた者の72%は実際に自殺企図に及んで

             いたことを明らかにしている。つまり、自殺念慮を抱いたことのある者の25%が実際に

             自殺企図に及んだ経験があったわけである。そしていうまでもなく、この25%の 割合は、

            一般人口における自殺企図の経験率とは比較にならないほど高い数字だ。この事実だけでも、

            「死にたい」という発言や考えが、将来に於ける自殺リスクと密接に関連していることが

    分かるであろうと述べています。

     とは言え、精神科臨床の現場では、それとは事態としばしば遭遇するとのこと。

     たとえば、診察のたびに執拗に自殺念慮を訴えながらも、結局死ぬこともなく、何年間も

     外来通院を続けている患者がいると。その一方で、自殺念慮を一言も漏らさないまま、

     「青天の霹靂」のように自殺既遂に至ってしまう患者がいるとの指摘。

     これは、どういうことであろうか?おそらく前者の患者の場合患者の「死にたい」との訴えが

     援助者の注意を喚起することで、奇跡的に、それこそ首の一皮で踏み留まっていると考える

     べきであろうと。一方後者の場合は、決して自殺念慮がなかったわけでなく、語られ

     なかったために、援助者がそれに気づくことが出来ず、自殺へと至ってしまったのだ。

     ◎ 私もそのような悲しく、悔しい思いをしました。最初は、高2の女子生徒の作文から

     危機感を抱いていたのに、上手く対話できず救えなかったこと。もう一つは、昨年かなり

     アルコ−ルが入って床に寝込んでしまった若い女子。少し話をしたことがあり、その時は

     特別問題は 感じませんでしたが、この泥酔の時は、酔いがさめてから少し話を聞くと

     よかったのにと後悔しています。

     筆者は臨床面において防ぎ得なかった自殺の多くは、援助者がその「隠された自殺念慮」に

     気づかなかったことによって生じていると考えます。従って自殺予防という観点から

     何よりもまず、悩める人が胸に押し隠している自殺念慮に気づく必要があると。

 

         ▲ どうすれば「死にたい」に気づけるのか

     筆者は、「直接本人に問いかける」以外はないとのこと。しかし、それにもかかわらず、

     援助者は、しばしばその問いかけをしそびれる。多くの場合、無意識的に起こるとのこと。

     おそらく私たちの心のどこかに、自殺という重苦しい話題をさけ、患者が抱えている困難を

     「大丈夫、たいしたことじゃない」と過小視したい気持ちがあるのだろうと。

     実際松本先生も思いあたる経験があるとのこと。かって自殺したある男性患者を最後に

     診察したときのこと。先生はうまく言語化できないものの、ある種の違和感のような感触を

     覚えた。当時過去数年渋面しか見せなかった患者が、その日に限って不思議と何か悟った

     ような、吹っ切れた表情をしていたからだ。突然の変化に少しだけ胸騒ぎを覚えた

     とのこと。

     脳裏に「自殺?」という考えが一瞬だけよぎったのも、はっきりと記憶しているそうで、

     しかし、まさか」とすぐさま打消し、「次回も気になったら質問しよう」とみずから言い

     聞かせて診察を終えたとのこと。先生はその日、自殺に関する話を持ち出すのは唐突な

     気がしたし、「今日くらい彼を笑顔のまま帰したい」と思った−いやそうでない。正直に

     言うと自分が重苦しい話を避けたかったとのこと。彼が自ら命を絶ったのは、わずか二日後

     のことだったそうで、今でも先生は

     「あの時質問していれば−−−」と後悔の念に苛まれることがあるとのこと。

     もちろん、たとえ彼の自殺念慮に気づいてところで、その背景にある現実的な困難を

     解決することはできなかったかもしれないが、少なくても次の診察日には生きた彼を

     来院させることができた気がする。単なる時間稼ぎ、一時的な延命に過ぎなかった

     かも知れない。しかし、そんなささいな障壁が人の運命を180度変えることもある。

     その例としてかって私も訪れたことのあるサンフランシスコの金門橋のことが出ています。

     ここは自殺の名所としても有名 ですが警察も見張っていてよく自殺しようとする人を

     助けているそうで、警官によって 強制退去された人の追跡調査によると、その約9割は

     7年後も生存していたとのことです。

               精神病院に連れて行かれたのでなく、パトカーで自宅に送り届けられたにすぎないことです。

     先生は、「自殺念慮に気づくには質問しかない」と念を押しています。

     しかし、援助者のなかには、自殺念慮の質問をすることで、かえって患者の背中を押す

     のではとか、もっと精神状態を不安定にするのではと恐れる者もいる。でも専門家は

     口をそろえて質問しなければならないと強調するとのこと。それどころか、その質問が

     意思疎通の通路を開く契機になる場合もあると。        

         ◎ 私の考え 自殺念慮者と疑われる人に対して

     この場合は、躊躇なく質問すべしと専門家の見解として力説していますが、反発し

     口を閉ざす人もいると思います。「北風と太陽」の例話が示すように、本人の

     心に沿った冷静にして、質問する側の感じとった気持ち、相手を思いやる気持ちを

     伝えて反応をみることが大切と思います。これに関しては、次のブログで扱います。

     I left my  heart  in Sanfrancisco  をパソコンで入力して視聴をクリックすれば聴けます。

 

 

 

 

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