1月22〜23日   続過剰適応という名の不適応

     1月22〜23 日 続 過剰適応という名の不適応

 

     <適応と不適応をめぐる諸問題> 適応するには過剰適応しなさい?

  筆者は、上記のA男の不安、つらさに対し、「私たち大人から見た場合、どう見る

  だろうか 」と問いかけています。

  これについて、筆者は「彼が適切な考え方ができないことや、適度に手を抜く能力が

     不足しているというアセスメントは理論的におおよそ正しい。しかし、そのことだけを

     不登校と  いう状態に起因させてよいのだろうか」と問題を投げかけています。

  それに対して筆者は、大人が会社で十分能力が発揮出来ない場合や、A男のような場合

  環境から求められる対処ができないと、個人のスキルや能力の問題にされがちになる。

  それぞれの場合に応えた努力も必要なのだが、「全てを個人のスキル、能力に還元

  させようとする(うまくいかないと、能力等のせいにする)考え方そのものが、

      過剰適応を生み出す土壌になていることも注意せねばならない」と警告しています。

  この過剰適応は、すでに述べたように、環境(社会、学校、重要な他者といった

      対人関係)から求められてくる枠割や姿に完全に従おうとすることであると述べて

  います。でも、そのような環境、苦難を伴う状況に対処するスキル、能力が不足して

  いるのにどんなに周囲の要請に応えようとして頑張っても空回りするというジレンマ

  に陥ってしまいます。

  自分の気持ちを抑制して、無感覚の状態で生きるしかない状態に追い詰められ、不登校に

  ならざるをえなくなると感じます。事実A男は、小学生から自分の気持ちを押し殺し

  できるだけ何も考えず、目標だけをみてやってきたとのこと。

       それに対して筆者は「人として湧き上がる自然な感情や、気持ちをなかったことに

  するのは余り無理がある。もし、完全にそれを達成しようとするならば、抑圧や解離

  という方略を用いるしかないのだ」と。情動の激しい思春期を考慮すれば、それは明白な

  こと思います。

  「抑圧、解離」とはまさに自分を殺すこと。かってあるメンタル障害の女性と

   カウンセリングしていたとき、この解離状態になると判断力がおかしくなって昼間

   寝間着のまま外に出ていたことがあったと言っていました。ですから過剰適応は

   メンタル不調のリスクを招きます。    

   続いて筆者は、「愚痴一つ、弱音をはけなかったA男が不安な気持ちや、しんどさを

   話せるプロセスそのものか゛、まずは第一の変化だと捉えることができる」と。

   ここでの変化とは、抑圧していた「自分」をとり返す時期到来のことです。

         <不適応からの成長>

   とはいえ、A男が自己開示し出したからといって、すぐ登校再開ではなく、勉強を

   始めるわけでもない。本を読んだり、ゲ−ムしたり、ゴロゴロしていた時間も

   しばらく続いたとのこと。

   筆者は、「登校を再開することだけが、適応ではない。エネルギ−を大きく消耗した

   子が再びそれを蓄えていく過程自体を再出発の一歩とみる必要がある」と。

   A男は、学校に行くことはできなかったが、家にずっといるのでなく、散歩したり、

   休日本屋にでかけるようになったとのこと。周囲の目が気になるので、自分のクラス

   に戻ることは困難だが相談室や保健室に来て、養護教諭や担任などと雑談したり、

   プリントをもらったりして学習も始めるようになった。彼の転機になったのは

   夏休み中に始めたアルバイトだった。

   クラスに戻ることは拒否むしたが、ずっと家にいるのでなく、知らない人たちが

   集まる場所に出ていきたいと話していた。両親からの了解を得た彼は、アルバイト先で、

   同年代の人達やパ−トのおばちゃんなど年長者などそれまで会うことがなかった

   人たちと出会うことになった。

   勉強して期待されるような進学先に向けて努力するという世界しかみてこなかった

   彼にとってこうした経験はそれまでの考え方をとわれる経験であり、とても貴重だった

   ようである。

   私の知り合いにも、管理教育で有名なT高校に進学したけれど強いアレルギー症状を

   起こし中退して6年引きこもったとのこと。しかし、弟さんと旅行に出たのが

   転機となりアルバイトしたり、自分と同じような体験をした仲間の集会のグル−プ

   ワ−クにも参加して経験を積みながら再出発し、今ではそのような経験を活かして

   若者支援事業団の理事として活躍しています。彼は、「6年の引きこもり期間は決して

   無駄でなかった」と語っています。

   なお、A男は、紆余曲折はあったが、最終的には転校という選択をとった。

   それまでの学校より偏差値の低い学校であったが、自分のぺ−スで学習を続け、

   大学へ進学したとのこと。 

   これについては、筆者が言うように、「クラスに戻ることなく転校したのだから、

   適応したとは言えないという意見がにもあるかも知れない。しかし筆者の言う

   ように「適応とは、個人と環境の相互作用から規定される以上、どのような環境が

   自分にマッチングし易いか考えていくのもまた適応なのである。

     −−−私たちも、どんな校風や職業が自分に向いているか、考えたことが

   あるはず。A男も自分が生きていく上で、どのような環境が適切なのかを考え、

   迷い、悩みながら進路を切り開いていった。

   これも適応であり、成長である」と。私も、このような自分が悩みつつも、主体的に

   選択したことに新たな適応による成長と評価します。

   最後に水島広子先生がブログで引用された次の米国の教育観に共感しました。

   EVERY CHILD LEARNS DIFFERENTLY。

   すべての子供は、その個性、特性に応じた環境学ぶ権利がある。このような意味と

   私は理解しています。

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