1月20〜21日 過剰適応という名の不適応 過剰適応は本当に「不適応」なのか

    1月20〜21日   過剰適応という名の不適応 過剰適応は本当に不適応なのか

                 富山大準教授 石津 憲一郎先生執筆 学校不適応の支援より

                 児童の心理 2016・2月号 臨時増刊  金子書房    

   私は、以前北区のあるNPOで、ある若いスタッフに依頼されて対人関係のコミュニケーション

   について小セミナ−を開いたことがあります。それにつきましては、ブログで述べました。

   その時「コミュニケ−ションの原点は、人も動物も刺激に対する反応である」と言いました。 

        人も動物も心地よい刺激に反応し、不快なそれは避ける傾向があります。

   しかし、人は、時として不快感があってがもストレスに負けず苦難を克服しようと努力したり

   或は、そこから脱しても、それまでの経験を活かして次゛のステップで希望の道が開ける

   こともあります。「不登校は脱落者の道」ばかりでなく、本人はそれまでの体験から学習して

   たとえ遠回りしても、 新たな適応の道が開けることだってあります。この筆者のアピ−ルの

   視点はここにあります。

              < 適応、不適応、過剰適応>

  適応について筆者が所属の学部で学生に尋ねてみると「大学生活を楽しんでいる人」

  「大学に目的意識をもって来ている人」、などの答えが返ってきたとのこと。

  確かに適応しているとは、ある個人が、主に生活する環境の中でうまくやっているとみなす

  ことができると述べています。その一方で学生からは、「サ−クルの人間関係はうまく

  いっているけれど、結構我慢していることも多くて、きつい」 という声が聞こえてくることも

  あるとか。ある環境でうまくやっていても、個人的にはストレスを感じることもあるようと

     のことてす。

  別の学生の話では、「アルバイト先の店長があまり仕事をしない。本人は自由にやっているし、

  仕事は楽しいといっているが、仕事をしないと周りから言われていることに気づいていない

     と思うと言う話もあった。本人はうまくやっていて、 自由に楽しんでいるようでも、

     周囲の評価はまり芳しくないこともあると。

  サ−クルで「結構我慢している」学生に、よく話しを聞くと、その活動は楽しいらしく、

     また前述の店長も自分なりに仕事を楽しめるという意味では、どちらも、それなりに

     適応しているようだ、と筆者はみています。 この適応に関して、筆者は、

   「おそらく適応は、”しているか、していないか”

  というデジタル的に割り切ること(黒か白かの二者択一)でなく、おおよそうまく

   いっている程度と 捉える方がよそさそうである」と。つまり、適応状態の中には、

   うまくいっていない部分(不適応)も含まれていてよい、ということになる。

 しかし、二者択一のデジタル的に捉えた場合、失敗やつまずきは許されず、個人の欲求や気持を

 押し殺しながら、求められる期待像に沿って行かねば適応にならなくなってしまう。

 一寸でもうまくいかないことが少しでもあれば、それは不適応や失敗ということになってしまう。 

 ここで取り上げていく過剰適応とは、まさにそうしたデジタル思考的に適応を捉え、自分にとって

 重要な他者(教師等)から求められる期待や要求に完全に近い形で従おうとすることである。

 それ故、強く求められる適応状態に、ほぼ完全に近づくために、個人は、自分の欲求や気持ちを

 抑えながら失敗せぬよう努力を続けていかなければならない。

 こうした適応様式(適応方略)は、過剰適応と呼ばれ、その適応様式をもつ子供の苦しみに

 焦点が当たってきた。(愛知の管理教育を推進している学校がその例です。私が勤務していた

 ある高校では、受験体制下で不適応症状で不登校になる生徒が学年で2,3名出ていました。)

       < 過剰適応の子供の苦しきとは>

 筆者は、過剰適応の苦しさに迫るため事例を挙げています。

 高校生のA男は、学校にいくことができず、引きこもるようになってしまったという理由で母親に

 筆者の相談室にやってきた。母親は、理由が分からず、困惑し半ば無理やり本人をつれてきた。

 しかし、本人は、特に話すことはないと、面接を拒否した。筆者としては、折角来たのだから、

  少しだけでも話しをしようと誘うと、「何のために学校に行かなければいけないのかわから

  なくなった」という。これまで、常に「しっかりしている」という理由で学級委員や部活の

    部長を務めてきたし、成績もキ−プしてきたが、それも面倒くさくなったとのこと。

    筆者に対して、警戒とも

 不信ともとれる態度で、援助や支援など期待していない雰囲気も滲み出ているようだった。

 それでも、何度か面接を繰り返していく中に、筆者が適応を押し付けない人物であること、

   無理やり何かをやらせようとはしないことが伝わっていったのか、少しずつ、彼の頭に

 「こびりついてしまっている考え」や、それまでのしんどさを教えて、くれるようになった。

 彼の頭に「こびりついている考えとは、「失敗はできない」というものと、

  「評価が落ちないようにやるからにはきちんとやらねばならない」というものだった。

   それ故、例えば学級委員で、一人でも 自分の考えに従ってくれないと強烈な不安に

   襲われるし、テストや課題一つをとっても、しっかりとやらねば先生や親からの評価が

  落ちると思い、いつも必死だったという。周囲からしっかりしている

 とみられていることは、嬉しかったが(同時に負担でもあったようだ)一寸でもうまく

   いかないことが重なったところで、どうしても学校から足が遠のいたという。 

 この事例からして、本当は、不安だったり、しんどさ(負担感)を感じていたりしたにも

   かかわらずそれを表に出さず、A男は、学校や期待されている姿に必死に応えようとして

   きたし、実際に応え続けることで「適応」しようとしていた。しかし、こうした過剰適応の

   スタイルは、不登校という形で崩壊していったと考えられる。(学校の期待に応えて、

   いい子の仮面をつけて演技していた悲愴な自己開示です) 

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