1月12〜13日   これからの障害者雇用と就労支援 (2)

    1月12〜13日 これからの障害者雇用と就労支援(2)

             筑波大学助教授 宇佐見和哉先生

 

       大人の発達障害への具体的対応   (3)状況に応じた声かけの具体例

    ①  声かけの仕方

  ASD(自閉症スペクトラム)では言葉を字義通りに捉える傾向があり、そのため、

  まずは誤解を与えないような話し方をするがあります。なるべく具体的な表現を用いて、

  主語や目的語をつけて話すことを心がけるとよいとのこと。また、面倒でも、

  必要に応じて言葉だけでなく図式化して指示する心ずかいも必要と思います。 

  発達障害者に注意を喚起する時には、冷静さをもって穏やかな表情で何でも

  聞きますよという 受け皿をもって接しないと、障害者に威圧感をあたえれば、

  益々萎縮して、とても本音を出せず対話が困難になります。 

  「それはおかしいでしょう、よく考えなさい」といった相手を責める

  否定的表現による指導では、効果がないどころか、被害的な感情を増進させる

  とのことです。過敏性が強く、一般の大人なら、ストレスにならないのに、、

  何故注意されたのか 上司の言っていること、上司の気持ちが読めないのでストレス

  と感じて、落ち込みます。

  (このような 正にに発達障害者のコミュニケーションの弱点については

  普通の常識では通じないことを熟知して対処しないと継続的雇用は困難です。愛情をもって

  相手の目線で、手取り足取りの丁寧さが求められます。上司としては、まずは、

  イラつかないこと。大声でバカ犬のようにどなるようでは、即刻閉口して

   出社拒否を招きます)

  指導する側としては、「それはこうしたら、もっとよくなる」といった肯定的、

  具体的な指導が 不可欠ですし、劣等感の強い障害者には、たとえ小さな改善の

  努力でも、褒めて自信を持って頂く配慮が欠かせないと思います。 

  会社の担当者にとっては、手間であっても、日報に書かせ、褒め、時には愛情のこもった

  叱責、アドバイスを積み重ねつつ育成する努力が信頼ばの構築になります。

   それから、本人が仕事のことで、失敗すると、すごく落ち込みます。しかし、その失敗は、

  裏を返せばチャンスでもあるのです。上司はその失敗した状況、原因をじっくり傾聴し

  一緒に考えてみると、その失敗原因が対話の中で浮彫にされ、障害者が「ああ、あの時、

  指示されたことを上司に確認したり、質問したりせず、勝手に判断して失敗した」

  といった気づきも生まれ挽回のチャンスが生まれることだってあります。   

  失敗したら、改善策を安易に教えるのでなく、 このような努力を両者ともにすることで、

  道が開けます。認知の視点を変えてみることです。

  それから筆者は、状況説明の配慮、失敗した時の注意の仕方について述べていますが

  上記の私の述べたことに含まれていますので、省略します。

     ② 問題行動に対して

  筆者はパニックになる、興奮するなとといった状況になった場合、以下のステップを踏んで

  対応することを勧めています。

  (1) ク−ルダウンするまでそっとしておく。冷静さを回復するのを待つという

               至極当然な方法です。

    リストカットして発見された場合などがそうです。但し状況に応じて専門医などと急遽

      連絡をとることも必要になります。 

   (2)落ち着いた時。問題行動を起こしそうな場面を我慢したときはすぐに評価する。

   こうした方がよい場合もあれば、うかつに言葉をかけない慎重さも必要でないでしょうか。

   状況をみて専門家に委ねることを念頭に置くべきと思います。

  (3) 自分の気持ちを言語化できるように促す。

   パニックは、うまく感情表現できないことによっても生じるとのこと。悔しかったのか、

   不安だったのか、イラついていたのか、どういう気持ちだったのか、言語化させると

   よいと、筆者は述べています。具体的には、つらい状態に陥っていることを理解した

   上で、言葉にしないと、どんなことに困っているのか 分からないことを伝え、本人が

   たどたどしくても意思表示が出来るように促すのがよいとのことです。

    私見ですが、「言語化」とともに「感情の明確化」が大事な鍵になると思います。

   事柄の応答のみでなく、言葉の背後にある感情の把握が相手を知る上で大切なのです。

   この記事で想起した一例として、あるNPOのセミナ−でフロイトの精神分析の学習で

   「感情の明確化」のことです。

   それは、この時の講師がある女子高校生をカウンセリングしていた際、突然お母さんと

   寝たい」と言ったそうです。彼女は長女で゛最初は母の愛をひとり占めにできたのに

   妹が生まれると、母の愛が妹に移ってしまったと感じ、その欲求不満が発達課題の

   未達成として残り、高校生になって突然甘え出したそうです。

   「お母さんと寝たい」が感情の明確化の第一歩で、この問題の解決に1年かかったと言って

   いました。このような母との発達課題がクリアされないと、大人としての心理的発達が

   阻害されます。幸いこの問題が解決され、結婚したそうです。この人は障害者では

   ありませんが時として、感情の明確化と発達課題のクリアは大事な関連性を持って

   います。

   話が本筋からそれたかも知れませんが、成長過程でのこのような発達課題の未解決、

   「固着」が問題を残すこともあります。家庭に問題があって、父母、兄弟の愛に

   欠乏していた社員には、会社の誰かがそれをフォロ−することで、本人の潜在的力が

   発揮されることもあります。時にはカウンセラ−も精神科医等その一役を担うことも

   あります。陽性の感情の転移」がそうです。嫌いな父のイメ−ジを払拭して

   こんな父だといいと思う場合がそうです。

 

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