2018年2月10深夜勤務後に事故死(バイク死) 会社の配慮義務認定 地裁川崎支部 遺族が和解
2月10日 深夜勤務後に事故死(バイク)会社の配慮義務認定 地裁川崎支部
遺族が和解 (朝日新聞2月9日より)
深夜の夜勤後の帰宅中にバイク事故で死亡した会社員の男性(当時24歳)の遺族が会社に
損害賠償を求めた訴訟の和解が8日、横浜地裁川崎支部で成立した。会社が遺族に謝罪し、
約7600万円を支払う内容。遺族の代理人の川岸卓哉弁護士によると、帰宅中の事故死で
企業に安全配慮義務があると裁判所が認めた例は極めて珍しいという。
亡くなったのは、観葉植物などの装飾を手掛ける会社、グリ-ンディスプレイ(本社東京)に
勤めていた渡辺航太さん。長時間の深夜勤務を終え、横浜市の職場から都内の自宅に
バイクで戻る途中の2014年4月24日午前9時過ぎ,電柱にぶつかる単独事故を起こして
死亡した。母敦子さんらが翌年、長時間労働が事故の原因だとして約1億円の損害賠償を
求めて提訴した。同支部の橋本英史裁判長は和解勧告で、勤務中の事故の原因は居眠り
だったとして、過労状態を認識していた会社側が公共機関を使うよう指示するなどして
事故を避けるべきだったと指摘。和解金の支払いに加え、終業から次の始業までの
休息(11時間)の確保) ▼深夜のタクシー利用を促す-など、事故後に講じた再発
防止策に引き続き取り組むことを和解条件とした。
過労による事故死が多数発生している可能性にも言及し、「本件を契機に「過労死事故死」
の労働災害の事故の類型が公になり、今後、過労死、過労自殺とともに社会全体として
防止に向けた対策が十分に推進されていくことが期待される」とる述べた。
龍谷大の脇田滋名誉教授(労働法)は「会社の指揮命令下から外れる勤務中は、事故が
起きても会社に責任がないとされるのが一般的。直前までの過重業務を裁判長が重視し
帰宅中の事故でも会社に安全配慮義務があるとしたのは画期的で、他企業にも警鐘となる
ケ−スだ」と指摘する。
◎ 私の感じたこと
この記事を読んでいてふと想起したのは、社労士の勉強をし始めて最初に私の心に
響いたのが「労働の人間化」という言葉でした。
この言葉は1970年代のILOでも積極的に使われ推進されたとブリタニカ百科事典でも
明記されています。日本の高度成長の時代です。
毎日同じ作業を繰り返す定型作業にしろ、高度な技術を用いた作業にしろ
労働の社会的な存在価値を生み出す労働者の労働の価値は、「人間として生きるに
値する基本的人権の一つである」ということです。
すでにブログで述べましたように、たとえベルトコンベアの苛酷な条件(真夏の最中でも
薄暗い、冷房のない中で作業し、くも膜下出血で倒れても、簡単に他者に取り換えれて
故郷に送還されるときの見舞金がたったの1万円、偽装下請の件で私に依頼した
一人親方のリ−ダ-の証言でした。でも、今回の地裁の橋下裁判長のような現場の
労働者の立場を理解して下さる方がみえると知って感激します。
また脇田先生のご指摘にも感謝します。
「安全配慮義務」とはただ上司が言葉で注意するのみてでなく、実行しているかどうかの
確認が人命を左右することもあり得るのではと思います。
今働き方改革だのと喧伝していますが
現場を知らずして騒ぐだけの空虚さを感じます。