4月30日~ 5月3日 正社員文化のはざまで置き去りにされている者
4月30日~ 5月3日 正社員文化のはざまで置き去りにされている者
毎日新聞論説委員 野沢和弘氏執筆
2016年7月14日の統合失調のひろばより抜粋
この記事 の「置き去りにされている者」=障害者です
ここでも、「障害者の合理的配慮」の出発点としての2006年の国連総会で採択
された障害者の権利保障と差別解消の採択が起点となっています。
この権利保障のkey word が 合理的配慮なのですか、原語ではすでに述べました
reasonable accomodationで、
このaccomodationは、具体性をもった表現でして、快適な宿泊施設を
意味し、私は、「労働者が気持ちよく働く 職場」=労働者の居場所と置き換えれる
のではないかと思います。そして、職場の環境のみでなく、本人をとりまく
家庭、その他地域社会等の生活の場も本人にとって「居心地のよい」場であるか
どうかが問われると思います。
筆者は、2006年以後の障害者の国際的動向を背景にした雇用改善の進捗状況に
ついて以下のように言及しています。
障害者自立支援法で就労を軸にした政策が展開され、大企業は、主に特例子会社、
中小企業は、就労継続支援A型事業所を設立して障害者の雇用を積極的に進める
ようになった。法定雇用率が2013年に1・8%から2・0%i引き上げられると都市部
中心に労働不足がみられ、企業は、それまで余り馴染みのなかった知的障害者や
精神障害のある人の雇用にも乗り出すようになったとのこと。当時、厚生労働省の
調査研究をになっていたNPOが東証一部上場企業にアンケ-ト調査を行ったところ
すでに多数の企業が知的障害者の雇用を進めており、「積極的に雇用したい」という
意欲を表している企業が全体の約3割、「雇用する予定がある」と答えた企業も3割近く
あったとのこと。----------- しかし、このような雇用率uPのみの表面のみを
みるのでは、就職はできても、一年以内に離職する障害者、中には3カ月以内の離職者も
結構いることが報告されています。そのようなことの原因に関する事例として、筆者の
重度の知的障害者の自閉症の長男のことが出ていました。
しばらくは、正社員として働いていたそうで、しかし、本社内の障害者担当者が次々
代わり、「重度の障害者もチャレンジし、それを本社挙げて支える」という設立当初の
理念が゛薄れていくように感じるようになったとのこと。本人は、些細なことで
パニックになり、支援職員の手や腕に爪を立て傷つけ、家庭でも他害行為をするように
なった。本人は、相手の言葉は理解できないが感情を読み取ることは非情に繊細な面が
あるそうで、プライドも高く、疎外されたり、馬鹿にされたりすることに対しては、
人一倍敏感に反応し、爪を立てて職員を傷つけるだけでなく、このような些細なこと
までチェックされ、「問題行動」として否定的な視線にさられ、行動障害を助長して
いることが筆者の目から明らかだったとのこと。
しかし、担当者は、「福祉の場ではありませんから。給料をもらっている社員ですから
きちんとしてもらわなけば困ります」「指導して改善した社員もいます」の一点張り。
2016年春からは、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が施行され、職場での
合理的配慮が会社に求められるようになった。そのことについて筆者が言及すると
「過度な負担になる場合は義務になりません」という。
実にまずい言い訳と私は感じます。(まさにpoor excuseなのです)
障害者の目線にたって彼らの人格を尊重した対応をするのが本来の合理的配慮なのです。
何となく、面倒なことを避けようとする方便のような気がします。
筆者の次の意見「建設的な対話して現実的な解決策を模索することなどが定めている」
以前ブログで私も述べました。障害者に関わる大事なことは、「私たちを抜きにして
決めないで 」の主張に通じるものを感じます。
このようなことを理解してもらうことの困難さを筆者は嫌というほど味わうことに
なったそうです。