8月27日 子供の悩みを出させ、悩む能力を育てる その3
8月27日 子供の悩みを出させ、悩む能力を育てる その3
<大人の立場で子供の悩みを聞く>
筆者は、その1とその2の例を通して児童期の精神発達について次のように要約しています。
1 客観的にものを考える
7才頃になると、子供は、言語を思考や記憶の道具にして客観的にものを考えるようになる
2 抽象的思考ができ、自分の行動の反省、修正、大人への反抗
11〜12歳ころになると、自我の成長がこのように進む。
(遅くても、10歳ころには、人の気持ちがわかると言われています。)
3 生活空間の広がりと人間関係の拡大
家庭から学校へ、家族から友人や他の大人たちの集団へと拡大
このような環境の変化の中で自制や他者理解を学ぶことでも成長する。
4 児童期の後半の同性の友人による結束力の強い集団の形成
異性を強く意識し、性役割を自覚する
児童期は人の社会化の進む時期であり、その過程で子供は自意識をはっきりともつようになる。
この時大切ななのは、自分を正当に評価し、信頼する力を身につけることである。それが
できないと劣等感を強くし、ものごとに意欲をもって取り組めなくなる。
(エリクソンのいう自己同一性の基礎がこの時期に起因していることがわかります。
ですから、障害者の自立支援を問題にする場合、就職してすぐ役立つパソコンその他の技術の
習得、対人関係の礼儀作法などを指導することも必要ですが、自分の存在価値に自信を回復する
ような教育も不可欠と痛感します。)
それから、「子供の悩む能力を育てる」ことに関して以下のように筆者は述べています。
本誌(児童心理)のような書物では、「子供の気持ちで」 「子供の立場で」といった言葉を
よく目にするが、どうも自分も含めて欺瞞的でよろしくなかった。子供の立場に
立てる大人は少ない。
大人の事情を考え、大人の都合で動いているのが大抵の大人。それをわきまえたうえで、
子供の気持ちを見誤らないように気をつけるながらそれを汲んで話を聴くというのが大人の
態度であろう。聴いた以上何とかしてやらねばならい。しかし、目的はその悩みを取り
除いてやることではない。
その点を要約すると臨機応変にふるまえ。本人の状況に応じて。
劣悪の環境の中に置かれている悩みなら大人たちの力で解決してやる必要がある。
その悩みが誰でも通る未知の上にあるなら、黙って見ていてやればよい。上手に悩めない子
にはものの考え方を教える。強情な子でも言い分はちゃんと聞き、考え方に間違いが
あれば正すなど。
それこそ大人の立場からすれば、子供の悩む力を育てることは重要な課題と言える。
それは、言葉を育てることであり、待つ力をつけさせることでもある。
その過程で、子供は、自分を知り、世の中を知る。子供同士が悩みを語り合える関係づくりも
これまで以上に取り組まなければいけない課題だろう。
大人たちのこうした働きかけが、やがて来る思春期に向けて子供たちとの信頼関係を築く
土台になればよいと思う。
◎ こんなスピ−チの出来る文科省の大臣がいると日本も数倍ましな国になると思います。
悩みの言葉を出すとはCBTでいう【自己の外在化」です。客観的に自己観察できるのです。
それは、「悩む能力」に向かわせ、逆境を悩む同士とともに克服する力」につながります。