8月25~26 日 同上(子供の悩み−−−−−) その2

  8月25~26  日 同上 (子供の悩み−−) その2

 

  事例2 悩みを言葉にせず「ひねくれる」子供

 

  「僕が笑っていないと困るでしょう」 小学2年の男子が、プレイセラピイの最中に漏ら

  したこの一言で若い女性心理士Bは動揺した。どうしてそう思うの?問に答えず、

  こうも言った。「楽しんで欲しいでしょう」 何か皮肉にも心理士の心を見透かしたような、

  大人をおちょくったような言い方です。この心理士は教育研究所でこの児童を担当する

  ようになって半年が経つ頃、ようやく関係ができたと感じていただけにショックだった。

  楽しく遊んでいるように見えたけれど、そうじゃなかったんだ、この子。あたしに

  つきあっていただけなの。(子供なりに演技していたに過ぎない)

  児童はADHD(注意欠陥多動性障害)という診断で児童精神科に通院しいた。病院を

  最初に受診したのは、1年生2学期の初めの頃、だった。

  母によると、就学前は保育園に通わせていたが、特に心配はなかったという。発達上の

  問題を指摘されたこともなく、療育の経験もないとのこと。ところが小学校に入学してからが

  大変だった。授業中の立ち歩き、教室からの飛び出し、クラスメイト同士の衝突。

  担任の注意には耳を貸さず体を押さえて制止ししようものならお騒ぎになった。

  担任から初めて報告を受けたとき、母は驚いた。

  家は母子家庭で子供一人。親から見たら手を焼かせる子ではない。ゲ−ムや漫画の他にも

  面白いものを見、一人で遊んでいる。

  心配になった母親は、仕事の休みをとって、授業参観に出かけた。確かに家とは違っていた。

  後ろをちらちら振り返るのは親を意識してのことだろうが、終始もぞもぞと体を動かしたり、

  机に突っ伏したりして落ち着かない。授業は全く聞いていない様子だ。

  担任との面談では、ベテラン風の女教師にこういわれた。「いつもあんな調子なんです。

  教室を出ていないだけまだよかった。」(まさに生徒として見る目なく、お荷物の感じが

  伝わります。ベテランの教師なら日頃どんな努力をして苦労しているかも話すべきでは

  ないかと感じます。)

  この対話からは、この子に対しての悩みを共有する姿勢は全くなく、親が叱責されている

  みたいです。私も中学生の担任していた時、特殊学級へ移すことを考えていたとき、

  その子の父親と面談しその移すことは、父子の主張を配慮し、とりやめました。

  その後がらりと本人の態度が変わり、社会科の授業の中でも参加し、指名して質問すると

  彼なりに答えていました。

  何といっても面談の後父親が「一杯飲みに行きませんか」この言葉にほっとしました。

  父親との意思の疎通が大きかったと想起しています。少し脱線しましたが、この問題の子

  については2学期になっても、学校の様子は変わりなく、夏休みに予約していた

  児童精神科のクリニックへ子供をつれていった。何回かの診察と検査の結果、医師から

  ADHDと言われ、治療薬が処方された。

  前後して教育相談所にも通い始めた。母子別々に担当の心理士が1名ずつついた。

  検査では、知能は全般に悪くがないが、目でみたものより、耳から聞いた情報が入り

  にくい特徴があった。 算数の点も低いということだった。勉強がわからないから

  学校が楽しくないのかも知れない。

  母親はそう考えて、子供を補習塾に行かせることにした。 また、学校側の勧めで

  2年から特別支援学級にも週に半日通うことになった。新学期にクラス替えがあったが、

  担任は変わらず、母親は落胆した。そんな母親の苦労にもかかわらず、息子の学校での

  態度は改善の気配すら見られなかった。

     上記の息子についた心理士Bは、筆者の大学院の教官のころの教え子で、現場に出てからも、

  たまに相談に来ていた。「先生、この子、本当にADHD]なんですかね、どう思います」

  「待て待て、それより気になるのは、さっきの言葉だ。僕が笑っていないと困るでしょ。

  と言って大人を困らせる言い方は、つまらないだの、飽きた、だのと言って

  大人を困らせるより、ずっと手が込んでいる。

  困るでしょ、といって大人を困らせる意図はどこにあるのか。」

  う−ん−−とBは考え込んだ。筆者は、返事を待たずに続けた。「子供がその言葉を

  ぶっつけたいのは母親だろう。普通の男子の気持ちは、ぼくが遊ぶ、ぼくが笑う、

  ママも笑う、ママが嬉しそう、だからぼくも楽しい。ところが、こいつは、多分こう

  思っているね。ぼくは、楽しくもないのに遊ばなきゃけない、

  笑いたくないのに、笑わなきゃいけない、そうしないとママが困るから。つまり、

  この子は、ぼくがつまらいといえば、ママが困る、ことを知った上で、この言葉を口に

  したと考えるべきであろう。逆に言えば

  この子は、ママを困らせたくない、と思っているということだ。」なぜなら−−−。

  「すべての男は、マザコンだから」とここでBが口を挟んだ。

  続けて筆者は、次のように語り出した。そうでなくても(マザ−コンプレックスのこと)

  こいつは、小学生になってからママを困らせる悪い子になってしまったことに、それなりの

  思いがあるはずた。

  (それなりの−−は、私の想像です)じゃあ、良い子にしていればいいのだが、そこには、

  ADHD的特性が 邪魔して、したくてもできないのだろう。

  「でも、この子は就学前まで発達に問題はなかったっていうし、ADHDなら生まれつき

  でなきゃおかしいですよね。薬だってあまり効いていないしみたいだし−−−。」Bが

  話を蒸し返すので、筆者もそれにつきあうことにした。

  子供の行動は環境に左右されるところが大きいなじみの場所。それに対して小学校は

  初めて出会う子供が大勢いるし、様々な刺激にあふれ授業中は一定の時間じっとして

  いないといけないし、たいそう居心地が悪かったに違いない。

  入学後ADHDらしさが開花する子供もいるにはいる。薬はだれにも効くわけではない

  ので効果の程がそれを否定する根拠にならない。しかし、診断には注意が必要。

  それよりも、ADHDであろうが、なかろうが、大事なことは、子供の言葉にちゃんと耳を

  傾けることだ。

  −−子供がひねくれるには、それなりの理由がある。ひねくれた子は間違いなく欲求不満と

  考えていい。

  との筆者の見解。寂しい思いをしているのだ。それは母子家庭だからではなく、

  「クラスのみんなと同じにできないこと、その悔しさを誰にも分かってもらえないことだ。

  特に一番わかってもらえない相手、母親がわかってくれないこと。それが一番こたえている

  のだろう。」

  母親は、ADHDと言われ、息子を何とかしなくてはという思いばかりが勝って肝心の

  わが子の言葉を聞き損なっているのではないか。また、親担当の心理士も、母親自身の悩み

  に応えるのに熱心で子供が日頃どんな言葉を口にしているのか、具体的に問うのを

  忘れているのではないか。

  ◎ 欠落している箇所を的確指摘されているス−パ−ビィジョンと感服しました。

  ADHDの30才過ぎた青年と面談したことがありましたが、子供の時の発達課題が

  クリアされていなくNPOでの利用者、スタッフ参加の 学びに加えようとしましたが、

  自分勝手に口出しするだけで、話の流れにそって発言することができず、若いスタッフなど

  から注意を受けていました。

  母親との関係が悪く、バカ呼ばりしていました。

  でも、この青年が、語った一語「役者は只演技が上手、下手で評価されるのでなく、

  役者の存在そのものに価値がある。」今でもその記録ノ−トに残っています。

  その存在価値とは、逆境の中でも自分なりに学習する能力があるからと言っていました。

  こんなちょっとした言葉の中にも自立支援の

  潜在的可能性を私は期待していますが−−−−−。

  今の日進市の障害者自立支援の協議会では、この自立支援という言葉を殆ど聞けません。

  年齢に応じた発達課題をクリアしていない青年たちのことをどれだけ配慮しているのかと

  とても気懸かりです。

 

 

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