6月13〜14日 「失敗を活かす人になる」粟津恭一郎先生執筆
6月13〜14日 「失敗を活かす人になる」 粟津恭一郎先生執筆
コ−チA 配信メ−ルより
過日のトヨタの社内教育と関連して今回の記事も一読していて、上司、部下の方々に
とって何かincentive(刺激的な意味合い)のする印象を受けました。
例え失敗しても心が「痛んだ葦」のように折れてしまうことなく、挫折しても、
未来に向かって本人のdongとbeingを引き出すコ−チングを期待したいと
痛感しました。
粟津先生が日頃、周囲から「優れた経営者」だと言われている人々に会うと、いつも
以下のことを思うことがあるとのことです。
それは、「意外と失敗体験が多い」と。大企業の経営者ともなると、いくつもの成功を
積み重ねてCEOに就任するイメ−ジがあるが、実際には、「失敗体験の方が多い」
とのことも優れた経営者の一つの傾向ではないだろうかと感じる程とのこと。
先日、大手のメ−カ−のCEOであるAさんが次のような話を筆者にしたとのことです。
若いころ、Aさんが英文の契約書の重要な部分を見落としたとのこと。それが原因で
提携企業と揉めて部長と一緒に飛行機に乗って謝罪に行ったそうで、開発部長の時は、
Aさんが営業担当と関係が悪かったせいで顧客に間違った製品情報が伝わり、
社長から叱られたそうです。
このような話を次々とするAさんの話を聞きながら、ふと「Aさんは失敗を自責で
捉える力が高い」と感じたそうです。Aさんがすべての失敗の原因を自分の責任で
あるとしっかり捉え、それらの失敗が今どように活かされているかを話したから
とのことです。
▲ 失敗を活かせる人の傾向とは
ハ-バ−ト・ビジネス・スク−ル教授のフランチェスカ・ジ−ノ等は失敗原因の捉え方と
その後の成功の関係を調べるために、被験者に二つの異なる「難しい課題」を
出したとのこと。その結果、
最初の課題に失敗したのは自分の責任である」と受け止めた人は、次の課題で成功する
確率が倍にもなったとのこと。
筆者は、失敗の数は同じでも、、その失敗を「自分が失敗した」と「自責」で捉え
られるかどうかが次の成功に大きな影響をもたらすというのは、興味深い結果と
述べています。
▲ 筆者による「失敗の数」と「自責」との関係図の提示例
↑
(B) | (A)
|
|
失敗数−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−→失敗数
(少ない) | (多い)
|
(C) | (D)
|
失敗を「自責で」捉える力(低い)
横軸に「失敗の数」、縦軸に「失敗を自責で捉える力」をおいたとのことです。
(A)−−最も失敗を活かして成功しやすいのはこのグル−プとのことです。
(B)−−失敗を自責で捉える力が高くても 、その力を活かす
「失敗の数が少ないグル−プ」Aのグル−プに行く潜在力は有りながら、何年も
同じ仕事を担当していたりして、長く新しいことにチャレンジし
ていなかっりするグル−プと言えるかも知れないとのことです。
D)−−多くのことに挑戦して失敗の数は多いものの、自責で考える力が高くないため、
そこから成功につながる学びが十分できないグル−プです。
次から次へと仕事を変えたり、職場を移ったり、役割が変わっても失敗の原因を
「他責」にしていることが多いグル−プとも言えるとのこと。「自責」で捉える力」
を高めれば Aグル−プへ行けると言えるとのことです。
▲ 上記の粟津先生の各グル−ブに関する記事からの私の印象
学校、企業、官公庁などでは、良い人材を送って下さいと、現職の時に
しばしば言われました。
でも、中途採用でもない限りすぐ間に合う人なんていません。
潜在的に優れた能力があっても、育てなければ現場で役立つ能力は発揮できません。
通読していて、部下の資質もさることながら、それをどう引き出すか、
上司としての資質力量が問われる問題と直感しました。
それから、次の二つのことは、とても大事な先生のご指摘と感じました。
(1)部下の役割、責任の範囲の不明瞭
これらが不明瞭な人程自責で物事を捉える力が低い傾向にあったとの指摘。
これは社員教育上で、上司の責任として放置できない問題と感じました。
単なる該当社員の問題だけでなく、その企業全体の責任体質が問われる
ときが出た時、より大きな問題になりかねませんので。
(2) 部下のチャレンジ精神の奨励
たとえ失敗しても、新しいことに挑戦する姿勢を高く評価する仕組みが社内にあれば
その挑戦の後押しになるとの先生のご意見
これは、人事考課、改善提案なと゛に関係するincentive
(刺激的な内容)です。失敗して叱責されているのみでは、社員のモチベーションは
ダウンします。
この未来志向の動機づけは私もつい最近ある事業所の役員の方に話しました。