5月13〜14日 あるストレス対処法の提言 精神科医 保坂 隆先生執筆
5月13〜14 日 あるストレス対処法の提言 精神科医 保坂 隆先生執筆
THE 21 6月号より
「3分の1には嫌われていい」の割り切りで、心はラクになる
仕事をしていると何か、対人関係で問題を感じたとしても、その都度、双方が冷静に
話し合えばストレスにならなくても済むのに、突然人前も憚らず大声でわめくような
大人げない人に接しているとストレスが募ります。
一読してこの筆者が指摘される通り、「3分の1if嫌われていい」の割り切りで
いかないとたまらない気持ちになることがしばしばあります。この人にも
、あの人にも好かれようと気遣いをするのを捨てる処世術の必要性を痛感します。
▲ 三分の一の人からは何をやっても嫌われる
30代から40代は、人生のコアな部分です。責任ある仕事を任され、
中間管理職として経営層と部下との橋渡しを担う年代です。−−−−−ただ、
それだけに人間関係によるストレスが最も溜まりやすい時期でもあります。
人間関係のしがらみをを捨て、一人でやればいいともいきません。
ならばせめて「適切な距離感」で人と付き合う方法を身に着けて欲しいと思います。
これについては、私は、「三分の一理論」というものを考えています。
周りにいる人のうちの三分の一は、自分に好意を抱き応援してくれますが、
残りの三分の一は、何を行っても批判的です。そして残りのもう三分の一は、
その中間派です。自分を嫌う三分の一がゼロになることはあり得ません。だったら、
自分と気が合わない人や、敵対的態度を示す人の存在に気を病んでも
仕方がない。「まあそういう人もいるよな」くらいに考えたほうがいい。
それよりは、自分を支持してくれる三分の一の人を大切にしながら、
中間派の三分の一をどう自分の味方に引き入れていくかを考えるほうが建設的です。
(まさに現実に沿った認知の仕方の感じがします。学閥、組合員、非組の
分裂ぶりを私は、いやというほど味わいました。会議の時でも事前に結論が分かって
いて、話し合う気力が削がれました。)
▲ 「空を流れる雲」を想像してみよう
これは周囲の雑音を気にせず禅宗の修行に似た達観した境地を目指す試みです。
芍薬とアルストロメリアの組合わせです
筆者は、もう一つの勧めとして人物相関図の整理に言及しています。これをすると
「うちの部署の雰囲気が悪いのは、彼と彼の仲が悪いからで、その原因は−−−−」
というふうに因果関係がはっきりしてきます。(ソシオメトリ−のこと)でも
、中には考えても仕方ないこともあります。仕事をしていると、上司やお客さんから
不条理なことを言われたり、納得のいかない指示命令されたりすることの連続です。
「なんであの人は、あの場面であんなひどいことを言ったのだろう」と考えたところで
答えは出ません。(一人よがりの傲慢な人など)
そもそも不条理とは、理屈では答えがでないこと。こんなときは考えるより
怒りを鎮めることが大切。気持ちを整理するために、自分の感情を俯瞰して
眺めましょう。
*俯瞰とは、自分の感情を客観的にながめることです。雲を自分の感情に見立てて、
自然に流れて消えていく様子をながめることです。
筆者は、患者さんに、ただ雲が流れている動画を見せることがあるとのこと。
雲の流れをながめるように、自分の怒りや憎しみの感情を客観的に観察すると、
やがてそうした感情も自然に流れて消えていくのです。人間ですから怒りや憎しみが
こみ上げるのは仕方のないことですが、必要以上にとらわれないことが大切と
指摘しています。
、 ◎ もう一つ私が想起したのは、対人関係の専門医の水島広子先生の療法。
「相手が怒っているのは困っているのだ」この発想も自分のことも振り返ってみると
自分の感情を和らげ、対話の視点を変える糸口にもなり得ると感じました。
ついで筆者は、ストレス解消法として、スポ−ツ、食事、読書、趣味を
推奨しています。
私の場合、軽い運動(腹筋を鍛える)、上記にも貼り付けました鈍くさい生け花です。
▲ 人は、人に傷つけられ、人に救われる
この表題に、「自分も人を傷つける」を追加したいと思いました。
これは水島先生の療法と関わることもあるからです。
ここでの筆者の提言は以下の事柄です。
1 情緒的サポ−ト。愛情面でつながっいる人間関係 「この人と一緒にいると
ホットする」「いやされる」
家庭内でも、職場においても。最近「障害者への合理的配慮」が叫ばれています。
必要なもの、施設のみでなく、ここでいう「情緒的支援」の結果安心してくつろげる
居場所になるのです。
水島先生が対人関係療法で「あなたにとって重要な他者とは誰か」これに
私も注目することがあります。家庭で心を開いて話せる人がいない場合、職場
その他の場て゛、おやじ、おふくろ 兄貴と言える存在の人いると、
苦しい時でも「アットホ-ム」になって気が楽になる、すっきりするなどで
いやされることは、特に障害者の人々にとって貴重なことです。
XXセンタ−があっても、このような受け皿になりうるか、スタッフの人間力
に左右されます。
2 本人に何か問題が発生したとき、具体的に手助けしてくれる存在のことです。
例えば、作業療法士、理学療法士、介護ヘルパーなど。
3 情報的サポ−ト 問題の解決に有益な情報やアドバイスをくれる存在。
いざというとき、家族のみでは、対処が困難です。やはり、2と3のことも備えを
することが不可欠です。そして2、3に関わる担当者も1のことも関係する
ことと思われます。