12月16日 続 障害者の雇用増加に関わる問題点

        12月16日  続 障害者の雇用増加に関わる問題点

         2    ディ-セント ワ-クの続きより

         執筆者は、このdecent workについて次のように述べています。

        企業がこの障害者のディ-セントワ-クを創出すべきことは当然だが、ここで留意

        すべきことは、雇用が困難な障害者への対応に問題ありとの見解です。

        つまり、障害者自立支援法の下で「福祉から雇用へ」という表題が掲げられ、

        就労移行支援と職場への定着支援に膨大なコスト(国費)が費やされた。

        法定雇用率の引き上げや中小企業への対象拡大もあって、福祉施設から企業への

        就職者もここ数年大きく伸びているとのこと。(2013年 10000人で、10年前の

        7・8倍)。しかし、すでに執筆者の指摘のように職場への定着がうまくいかず、毎年

        相当割合の障害者が退職を余儀なくされ、また福祉施設に戻ってきてしまう実情

        に大きな問題が発生しています。現在、企業雇用(一般雇用)でなく、福祉サ-ビスに

        おける 就労系事業 (就労移行支援・ 就労継続支援A型・就労継続支援B)いわゆる

       「福祉的就労」に従事する障害者は22万人~23万人に及ぶとのこと。

        しかし、彼らの月額賃金は低水準で、A型(雇用型)で68'691円、B型で14'190円

        (ともに2012年度全国平均)と企業雇用の場合に比して大きな格差を生じています。

       これでは、最低賃金にほど遠く、decent workなど問題外の感じがします。

       執筆者は、このような事態になった背景として日本の雇用と福祉の二者択一、

       縦割行政の欠陥が指摘されているとのことです。

      つまり、A型、B型の事業所では、企業と比較して、資金、人材等の経営資源が

       乏しいし、国からは、関係する自治体、それらの事業所に関わる機関等に必要に応じて

       きめ細かな支援が必要とのことです。

       ですから、執筆者は、「福祉と雇用の有機的な連携が求められる」と述べています。

 

             3        雇用と福祉の連携

 

           (1) 企業のA型事業の参入

           障害者総合支援法では、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に対して

          以下のような就労系障害福祉サ-ビスを定めているとのこと。

           A型(雇用型)の事業所数は、2010年677から2013年の1934に急増、同事業所の利用者は

           2010年の9117人から2013年の29997人と約3年間で3倍以上に増加しているとのこと。

           とりわけ、企業が国や自治体の福祉予算を得て参入する事例が目立つとのこと。

          しかし、中には人数、勤務日数をごまかして給付金を不正請求し、指定を取り消される

          事態も報じられているとのことです。

             一方、企業が参入したA型事業所で、障害者がたの社員とともに生き生きと働き

         ディ-セントワ-クを実現している事例も多く認められるとのことです。

 

        (2)企業への発注奨励策と「みなし雇用」制度について

        「雇用」への移行に基軸を置きつつも、「雇用」一辺倒でなく、本人の職業能力や適性に

        見合った就労の機会を提供することが重要であるのは当然といえます。執筆者 が指摘する

        ように、雇用契約に基づく就労が困難な障害者に対しては、無理な雇用によるミスマッチは

        本人、雇用主にとって不幸な結果を招くとのこと。

        これに類するトラブルは、障害者、事業所責任者等参加した研修会で障害者から

         雇用実績を上げようと焦る事業所の職員と仲介した職安担当者に怒りをぶつけたことが

         ありました。

         福祉的就労に従事する障害者については、執筆者の見解としては、まずは全体的な

         底上げが必要であり、良質な仕事の発注という形での制度の導入、拡充が合理的かつ

         有効と考えるとのこと。

         障害者優先調達推進法 (2013年4月施行)による官公需の優先発注に加えて、重要に

        なるのは民需の取込みとのこと。特に障害基礎年金と合わせて自立可能な工賃水準を

        目指すためにもっとも期待される制度、施策は企業に対する発注奨励策、とりわけ

        「みなし雇用制度」の導入とのことです。

                      ▲ 発注奨励策

         障害者雇用促進法における在宅就業障害者支援制度(2006年度創設)

        在宅としてあっても、自宅の他、就労移行支援事業及び就労継続支援B型事業を営む福祉施設

        への発注も対象となるとのことです。障害者雇用促進法の労働施策として福祉的就労分野

        にも焦点を当てたもので、雇用と福祉の連携という意味でも画期的な制度と執筆者は

        評価しています。

                    ▲ 「みなし雇用制度」

        直接雇用でなくても仕事を発注した場合にも、当該発注企業に も助成金支給と合わせて

        当該発注企業の法定雇用率に加算計上する制度です。

        執筆者は、このことについて経済的なインテンシブと社会的評価を付与した意義は大きい

        と評価しています。incentiveとは「刺激的」の意味で、助成金や法定雇用率で

        該当企業に利点を与えることなのです。それにより他の企業の参加を刺激したいのが

        行政側の狙いですが、官民癒着したような一時的で、特定の企業のみが恩恵を受ける

       ことではかえって税金の浪費にもなりかねないと若干懸念 します。

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