11月29〜30日 「答えを出すことよりも大切なこと」 稲川由太郎先生執筆
11月29〜30日 「答えを出すことよりも大切なこと」 稲川由太郎先生執筆
コ−チAより配信
◎この記事で稲川先生が提言したいことの要約
とかく、組織ないしは、集団のリ−ダ−は、自分の蓄えた知識、経験を元に
部下に指示 、命令を出して所定の課題の遂行を目指すのが一般によくある
例ですが、今回の提言のねらいは、り−ダ−自ら従来は疑いを全く抱かなかった
ことに疑い、問い直すことで、気づきが生まれ思考の幅が広がり、従来の
価値観を変える(パラダイムシフト)が生じます。これにより直面する問題の解決の
道ガ開けます。
このようなリ−ダ−の思いを部下に伝え、問題意識を共有することで、組織や集団の
メンバ−の気づきによる発想の転換を促し新しい視点、観点から部下も問い直す
ことで総力を結集して課題の解決へと向かうことが可能になります。
具体的な記述内容は次のとおりです。
リ−ダ−は、日々正解がなく、且つ差し迫った問題に追われています。そして多くの
リ−ダ−がその問題に対して無意識の中に、すでに、しかも自分自身で「答え」を
出そうとしています。 何故そうのかというと、次の指摘があります。
● 自分の経験値をもとに「答えを伝えた方が問題に早く対処できる。
● 一刻も早く次の行動をとれば、より良い流れやチャンスを得られる。
● 決断が早ければ、自分のリスクやダメ−ジを最小限にできる。
先生が言うには、「答えを出すことより先に大切なことがあるのではないでしょうか?」
お茶の水女子大学前学長羽入佐和子先生は、「思考のレシピ」で「疑うという思考法
について科学の発展を引き合いに以下のように記されているとのこと。
「地球が球体であることや地動説のように科学は既知の知識を疑い直すことによって
より確かな知を求め、そして新たな知を人類にもたらした。「疑うこと」そして
「問い直すこと」は思考の原点はとも言えるとのことです。そして「疑い問うこと」は
確かなものを見つけ出すための過程で必要で、そのプロセスを踏むことで多様に
思考し思考の幅を広げるという点で大切な 意味をもっていると主張している
とのことです。(ここで述べていることは別に新しいことを述べているのでなく、
フランスの哲学者デカルトが合理論の方法序説で述べています。この書では、すでに
これは、真実と思われることについて、徹底して疑っていく中で、どうしても疑えない
真実に到達し、これを土台にして真理を探究することが出ています。
政治、社会、教育など価値観が混沌として、弁舌のうまい者、マスコミ等を巧に操作する者
に騙されやすい現代において、この17世紀のデカルトの真理探究の姿勢は、時として
我々の惰眠を覚ます契機になると感じました。)
また、稲川先生は、次のような米国の例を挙げています。ハ-バ−トのビジネススク−ルで,
リ−ダ−シップ講座を担当し、プロフェッショナルコ−チとして多くのリ−ダ−開発に関わる
ロバ−ト・スティーブ・カプランの著書「ハ−バ−トの正しい疑問を持つ技術」には、成果を
上げるリ−ダ−の習慣が記されているとのこと。その著書では、「リ−ダ−は問題に対する
すべての「答え」を知っている必要はなく、物事に定期的に距離を置いて状況を深く
考えるよう意識することが重要だ」と述べているとのことです。
先生のコメントによると、むしろ「自かよく分かっている。知っている。実践
できている」と強く確信していることにこそ「疑い」をもつことが大事だということが必要
なのかも知れません、と述べ、、さらにその「疑い」から生まれる「問い」を誠実に追求すれば
問題を解決はする知恵が湧いてくるのです、と指摘し、前述のカプランは、「物事の本質を
突くような深い問いかけと思索は、何度も実践する中に強力な武器として使えるように
なる」とも主張していると。
▲ 私の印象
このような過程を経て確立するリ−ダ−の信念は独善的に陥らず、そこに至る過程を
部下に説明すれば理解され易いし、この方法は部下にも浸透していくものと
期待できます。