9月21〜22日 「部下のセルフト−クに責任を持つ」 桜井一紀先生執筆
9月21〜22日 「部下のセルフト−クに責任をもつ」 桜井一紀先生執筆
コ=チAより配信

時節はずれのグラジオラスです
一読してこの記事はCBT( 認知行動療法)の観点から述べていることが分かります。
セルフト−クというのは、その時の問題について、「つぶやきとして自然に本人の口
から出てくる自動思考」のことです。これに伴って「認知」、「感情」、「行動」が出て
きます。自動思考がネガティブなら、認知、感情等もネガティブになりますが
視点を変えて自動思考をネガティブからポジティブに変えることも可能です。
桜井先生の記事は以下の通りです。
人は何か行動を起こす時、その前に自分の内側で自分と対話しています。行動の前
には必ず自分へではの問いかけがあるのです。つまり、自分自身の行動を変えるには、
自分自身との対話、「セルフト−ク」そのものを変える必要があります。
例えば、上司から仕事のやり方を変えるよう指示された場合、部下はその場では
指示に従い行動を変えるかも知れません。
しかし、本人のセルフト−クが変わることなく、単に指示されたからという理由で
やっているのて゛あれば、行動が元の状態に戻るのは時間の問題です。セルフト−クが
変わらなければ行動は変わりません。そして私たちは、一人々がパタ−ン化された
セルフト−クをもっているため、行動にもそのひとなりの傾向、バタ−ンが表れるのです。
やるだけ無駄、どうせだめにきまっている。」
ネガティブなセルフト−クが繰り返されるなら、気持ちは暗くなり、行動は起こり
にくくなるでしょう。やってみなければ分からない。
うまくいくことだってあるかも知れない。」
ポジティブななセルフト−クを繰り返していれば、気持ちは明るくなり、行動的にもなる
訳です。 また、セルフト−クの特徴は、堂々めぐりが起こることです。
自問自答を繰り返していても、同じところを回るだけで、新しい視点、今までと違うそれを
もつことはできません。自分の中で行き詰ってしまうことになります。
コ−チングにより、より高い生産性を実現できる理由の一つは
第三者であり、訓練されたコ−チとの対話を通してより機能的なセルフト−クをつくる
ことができるからだ、ということができるでしょう。
◎ここでいう機能的なセルフト−クとは、ベテランのコ−チングをとおして新しい視点
から気づきが得られ、解決の糸口がみえてくるということなのです。
ベテランのサポ−トを得なからも自ら選択的適応の自立の道を歩むことになります。
XX 次の事例は桜井先生の長女の方の退社のときのことです。
単純な憧れていた会社に入社し、自分がやりたかった業務についたものの、毎日終電で
帰れるか、否かという業務をこなしていく中でセルフト−クがネガティブに変わって
いく。新卒、第一希望で入社した会社を辞めるに至るプロセスは、仕事が嫌いになる
という単純なものでなく、、様々な葛藤の中で、本来の自分を見失い、視野が狭くなっていく
ようなセルフト−クが起こっていたのだと思います。そしてその連鎖を断ち切り
変えていくのは自分の力だけでは難しい。自分自身の力では、視点を変えていくのは
自分の力だけでは難しい。自分自身の力では、視点を変えることができないので
行き詰って行くのです。、
労働条件や待遇等離職の要素は複雑ですが、もしセルフト−クを途中で変えることが
できれば、状況は変わっていたかも知れません。離職する本人は勿論、企業にとっても
社員の離職は大きなダメ−ジがあります。一人の社員が一人前になり、本来ならば
これから会社に貢献できるという矢先に離職が起きるのは社員にとっても、会社に
とっても幸せなことではありません。ではどのようにしたらセルフト−クを変えることが
できるのでしょうか?自分自身の力ではセルフト−クを変えるのは、とても難しいのです。
いくら頑張っても自分の思考のわくの中で自問自答がくり返されてしまうからです。
セルフト−クを変えるには第三者からの問いかけが必要なのです。
もしよい問いかけがあれば、セルフト−クを変えるきっかけになるでしょう。
第三者からの自分自身にはない、良質で新しい問いかけが自分のセルフト−クに組込ま
れるのです。彼女は、離職の気持ちが固まった時、以前の上司に相談しました。
◎ このような難題を抱えたとき、娘さんは、その道の権威桜井先生をさけて
以前の上司に相談したのは賢明かと思いました。当人にとってこんな時の
重要な他者は、仕事上の自分よく知っていて 、自己の責任で決定する際の
ふさわしい相談役としての上司は的を得ていたと思います。親子間ですと
どうしても指示的になりがちですし、本人の心のどこかに甘えが出るかも
知れません。
その上司は、彼女にいくつかの質問をしたそうです。
「君はこの間、何を考えて、何を感じていたのかな?」
「今君にって大事なことは何か?」 「君は何のために仕事をするのかな?」
彼女は、その問いかけに、その場で答えられなかったそうです。そして帰宅して
先生に言ったそうです。
「離職してから自分の考えていることや自分の気持ちとかを後回しにして
たんだと思う。もしもっと早く、前の上司と話していたら、辞めなかったかも
知れない。」 家に帰る途中、彼女の中で上司の問いかけが頭の中を
かけめぐっていたことは、想像に難くありません。上司は、部下をうまく
行かせるために、問いかけ、対話する必要があります。
部下のセルフト−クに働きかけ、より機能的なセルフト−クをつくる。
上司は部下のセルフト−クに責任を持つ必要があるのです。
この2行の桜井先生の要約された言葉は、長女の方の上司の3つの質問を
配慮しての言葉と感じました。
私は、その上司の質問の中に、今後の部下の人生観、職業観の土台にある
「心の軸」に言及していると思います。どの道を選択しようと本人の今後の
キャリア形成の土台に関わる問題提示なのです。
今日、このことについて考えていて想起したのは、実存主義哲学の祖とも
言われるニ−チェの言葉です。「脱皮できない蛇は滅びる」
この「脱皮する」の意味は、「あんた一皮むけた人になったね」という言葉で
表現されるのは、耳にします。人間的にみて「かど」がとれてきた。
仕事ぶりが上手になったとか。でも、ここでいう「脱皮」とはそのようなことでなく
本人の生き方そのものに関わる質的な変化です。
収入、処遇の満足でなく、新しい仕事にやりがい。生きがいを感じるような
満足感なのです。