9月14 日 改正派遣法 30日施行 (9月12日朝日新聞より)
9月14日 改正派遣法 30日施行 (9月12日朝日新聞より)
過去2度も廃案になり、政府が三度目の正直で国会に出していた改正労働者派遣法が
11日、衆議院本会議で可決、成立した。
企業は、人を代えれば派遣社員を使い続けられるようになった。たが働き手からみると
3年ごとに職を失う危機に陥りかねない。この改正派遣法の社説は以下のとおりです。
<改正派遣法> 権利を守る改正が必要だ
改正労働者派遣法が成立した。悪質な派遣会社を排除するため、全て許可制にする
など派遣会社への規制を強化したことが特徴で、派遣社員として働く人達にとって
有益な点も含まれている。 しかし、派遣社員の権利をどう守り、強化するか、という
視点からの改正ではなかったために、積み残された課題か゛多い。さらなる法改正が
必要だ。 これまでは、派遣社員を受け入れられる期間が業務によって規制されていた。
専門的とされる「26業務」には制限がなく、それ以外は原則1年、最長3年だった。
今回の改正では、業務によって違う期間にすることをやめて、派遣可能な期間は
一律「原則3年」となった。これまでの規制のもとでは、26業務であるかのように
偽って、それ以外の仕事に就かせて期間の規制をすり抜ける不正も起きてきた。
その余地がなくなる点でも評価できる点ではある。
しかし、改正によって、労働組合などの意見を聴いた上で人を代えれば、同じ仕事を
派遣社員に続けさせることも可能になる。この点が国会での論議の焦点になり、野党は
「不安定な派遣労働を広げる」 「生涯派遣で低賃金の人が増える」と反対してきた。
そうした危惧が生じるのは、派遣社員の権利が強化されていないことに原因がある。
確かに、派遣会社には 様々な義務が課せられ、派遣社員の能力を向上させ、
雇用を安定させる仕組みが改正法案には盛り込まれている。しかし、派遣社員の処遇を
改善するには、「均等待遇原則」を明示して法律で裏打ちする必要がある。
(派遣先の社員と同質の仕事をしているなら、当然それに見合った社員と同じ賃金にする。
また、地位も正社員として処遇するのが当然と思われる。)
派遣法と同時に成立した議員立法では、同じ価値のある労働の賃金を同じにする
[同一労働・同一賃金」を進めるために調査、研究を進めることになった。こうした調査
研究を生かして派遣社員が派遣先の企業で働く人達と同等の待遇を求められるよう
法改正をすることが、次の課題だろう。派遣社同さん員が派遣先と団体交渉をする権利を
法制化することも検討すべきだ。派遣先は雇用主でないとして、団交を拒むことが多く
その結果、派遣社員が低い労働条件に甘んじることにつながっていた。労働条件に
大きく影響しているのは派遣先の判断だ。派遣社員の正当な主張が通る道筋を
整えるべきだ。派遣労働者の権利を拡大することで、派遣労働の乱用を防ぐ。
そうした視点で、早急に次の法改正を目指すべきだ。
◎ 私の見解
上記の記者の見解はきちんと問題の核心を抑えた見解で、賛同できます。
しかし、憲法学者の忠告を聞かず、憲法の根幹を無視してやりたい放題の
安倍政権にどれだけの人が期待しているでしょうか。朝日の社説の見出しにある
「権利を守る」とは、派遣労働者の勤労権、さらに言えば”人間らしく生きる生存権の
保障”だと私は確信しています。今度こそは何とかこの法案は通したいという
単なる政府の意地なのか?それよりもこの問題に利害関係の深い企業を意識して
の思惑があると感じています。ある厚労省の法案に関わる役人が、このような企業の
会合で、「ものを扱うように派遣切りしている」との発言に対して塩崎大臣が謝罪した
とのことを知りました。自分の狭い経験からで憚るものを感じますが、かって長崎から
出てきてトヨタ自動車の工場で期間工として働いた後、関連会社の派遣労働者として
働いていた青年とコ−チングの実習を数回SCCでしたことがあります。
彼は真面目で仕事ができるため、正社員にならないかと進められたそうです。
その時うれしかったけれど、それでもなれてきた仕事にこだわっているようでした。
かといって派遣の仕事も上司の指示がきつくて仕事を投げ出してしまいそうなことも
話てくれました。政府関係者、各政党の審議に携わる方々もこのような現場の方々の
実態をよく理解した上で法案の作成に誠意をもって対処して頂きたいと思います。
例えば専門性の高い26業種の派遣労働者が3年で契約解除になり、何かものの
使い捨ての感じがします。3年に達しても、派遣会社が直接雇用するようお願いする
とか、新たな派遣先を提供する義務があるとのことですが、何か言葉だけのことで
効力に疑問を感じます。しっかり現場の方々の目線で責任のある対策を
講じて欲しいと切望します。これらの専門職の方々、現場で働くその他の専門の
技能者の方々のプライドを傷つける扱いはやめて欲しいと痛感します。