4月17日 認識を変える 鈴木義幸先生 コ-チA配信より
今回では、上司が部下から学ぶことにより、新しい視点から認知を変えるという
「パラダイムシフト」が焦点として例示されています。
上司は只過去に修得した経験、知識の貯金のみで部下を指導して行こうとしても、両者の
意思の疎通は上手くいかず、信頼関係は築けません。それに対してどう対処したらよいかの
ヒントが提示され、すでに上司として活躍中の方、今後そのような立場に立つ方にとって参考
になる事例かと思います。
「教えるとは教えられることでもある」という逆説の真理も時として、リ-ダ-として貴重なことと
私自身ずっと胆に銘じてきたことでもあります。
"リ-ダ-"としての成長とはなんでしょうか。
知識が増えること、仕事を効率よく進められるようになること、
より多くの人を働かせるようになること、そうならば「人の動か仕方が問われるでしょうか?
それとも「動かせる人数が増えればいいのでしょうか」
ハ-バ-ト゛教育大学院教授のロバ-ト、キ-ガンもこれらの問に対して1つの方向性を与えてくれる
とのことです。 教授は「成長するというのは、世界(物事)に対する認識の仕方が変わること
である。」と。たとえば「部下を自分の戦略を遂行するための駒としてしか見なかった人が、
部下のキャリアに対して意識を向けるようになる。」
どちらの見方がすぐれているということでなく、認識の仕方が変わったということは、彼の言葉に
従えば「そこに成長があったと言えるでしょう。」と。
例えば日本国内だけのマ-ケティングをどうみるか考えていた人が、アジア全体という拡大視点で
それを位置づけるのも成長と言えるとのこと。
ではそのようにすれば世界に対する認識の仕方を変えるかとなると、難しいのは、自分の認知
の世界の仕方は、多くの場合、無意識、無自覚のため、自分のことは、中々気づかないとの
ことで、ここに大事なポイントがあります。
一方、他人がどう世界を認識しているかは案外よくわかるとのこと。
例えば、上司について「あの課長は視野がせまい」とか「部下をものとして扱っている」など。
このように部下は上司自身よりも分かっている可能性があるということです。
しかし、分かっていても、部下が上司に向かってこのような上司の認識の傾向や思考のくせ
(上司にとって弱点と思えること)を直接伝えることは並大抵のことではありません。
「上司を怒らせてしまうかも知れませんから、部下の側には大きな勇気を必要とします。」と
鈴木先生は述べています。
先生は、友人のラガ-マンを例にしてこのことを次のびように述べています。
彼はラグビ-の代表チ-ムのコ-チとして二人の/監督に仕えたとのことです。
二人目の監督は、現役のときには、輝かしい成績を収めて引退直後監督になったそうで、
彼は誰よりも先頭に立ち、自分が模範を示すことで選手に技術を教えようとしたとのこと。
鈴木先生の友人は、その指導方法に違和感を覚えたとのこと。
すべてのプレ-のモデルになることは決して監督の仕事ではない。他にやることがある
はずだ。その監督は、ス-パ-プレ-ヤだった人。
誰も彼の指導方針に異議を唱えることは簡単ではありません。先生の友人は悩んだ末
自分の思いを監督に伝えたとのことです。
「この先年齢とともに、あなたのプレ-の精度は必ず落ちてきます。---今のような指導法は
通用しなくなるでしょう。あなたは監督として大成して欲しい。監督の仕事は、決して
プレイングマネジャ-をつとめることではありません。」
監督は先生の友人の言葉を真剣な面持で聞き、友人をじっとみて「わかった」と言った
そうです。その後彼は「練習マネジメントすること」が自分の責任であると考えるように
なったとのこと。マスタ-プランを考え、それがどうすればコ-チ陣によってうまく運用される
かを追及するようになりました。まさに認知のパラダイムシフトの実践でした。
その結果彼の監督としての力量は今とても高く評価されているとのことです。
この記事を読んでいて、名選手、名監督ならずの言葉を想起しました。
人を束ねる指導者としは、それ相応の人間力が不可欠であるということ。
感情のコントロールができる「腹のすわった人」とか、
謙遜で包容力のある人などです。