3月19日 続 職場のメンタルヘルスで配慮すべきこと
このサイトでは、さらに義務化予定のストレスチェックを例示し、このような手法の問題点
についてコメントします。
義務化される「心の健康診断」
▲ 義務化予定のストレスチェックの9問
最近1カ月間の状態 以下の頻度の点数は、a、b、cに共通しています。
頻度 殆どなかっbた 時々あった しばしばあった 殆どいつもあった
1点 2点 3点 4点
a 疲労 ひどく疲れた
へとへとだ
だるい
b 不安 気が張りつめている
不安だ
落ち着かない
c 抑うつ ゆううつだ
何をするのも
面倒だ。
気分が晴れない
以上の合計が疲労12点、不安11点以上、抑うつ10点以上のいずれかに該当すはれば「高ストレス者と
判定される。
◎ 前半のサイトのチェック項目と上記の9項目が主な調査対象です。
政府のこのような調査を義務化しようとする意図に私は賛同しますが、次の点に疑問を痛感します。
A このような心理検査の三つの要件-----信頼性 妥当性 客観性について
B このような検査を実施する際の経営者側と労働者側のコンセンサス(合意)
この検査からある程度「うつ予備群」をあぶり出すことは可能ですが、これiによりうつ対策は
できるかというと、その効果に期待が持てない印象を受けます。
ここのサイトの疲労、不安、抑うつの項目を眺めていても、どこかのマニュアルを写している
ような感じがします。具体的などんな状況(仕事、人間関係の中でそのような状況に陥るのか)
これが見えてこないと次の対策につながりません。それこそ検査を受けている労働者に
さらなるストレスを与えることにならないでしょうか?
それからBのことについては、この検査の意味、目的をきちんと企業の担当者から説明を
受けて了解してから実施しないと、被験者は適当に答えておこうという不信感をもって対応する
ことも予測できそうです。実際に時々顔を合わすある社長さんに聞いたところ、このような検査
結果の資料は人事効果には利用しないが、配置転換などには参考にするそうです。
社員さんもそんなことを 警戒しますので、両者間の信頼なくして成果は望めないと思います。
適正な配置転換は企業にとって不可欠ですが、しかし企業によっては悪用することも
聞いています。真面目に働いてきたのに、メンタル不調になると、使い捨ての雑巾の
ように、嫌がらせを受けて退職に追いやられる人もいます。
会社の業績が芳しくない場合などでは、自分は、リストラ対象者にされるのではない
だろうか、と不安がります。またうつ状態になっている社員さんは専門医が話しているように
自己防衛が強く、チェックリストに反発することが予想されます。
関連して懸念することは、個人情報の保護の問題も関係してきます。
定期健康診断のように、個人のデ-タ処理を慎重に扱うこと、外部の専門機関に委ねる
ことも一考察と思います。
すでにお伝えしていますように雇用の際の労使間の「労働契約」の中に、使用者、労働者
共に安全配慮義務があり、うつの防止などに関わる職場のメンタルヘルスも当然該当
します。 ですから、もし上記のようなストレスチェックが義務化された場合は、労使とも
一工夫すべきかと考えます。
a うつについての全社的な学び 、うつ防止策の安全衛生委員会などでの検討会
後者につきましては、職場環境の改善、これがうつ防止と関係してきます。
うつ、過労死など労災訴訟では、過重な残業労働がよく注目されますが、
職場の人間関係---パワハラ、いじめ、嫌がらせなどもよく関係しています。
人間関係はなかなか発言しにくい問題ではありますが、「 安心して気持ちよく働ける」
づくりに乗り出す必要性は高いです。
この人間関係の問題では、認知行動療法について可能なら、これも上司と部下の関係
効果的な学びができれば、両者間の関係改善になると思います。
「あいつ、またやった」 「xx課長いつも本当にうっとおしい」
これではストレスがたまる一方です。こんな時相互に相手を決めつけて反目し合うのみ。
好きか嫌いか、黒か白かの二分法でなく、視点を少し代えることで灰色もみえることが
あります。相手の不快な面とともによい点も見えてくることもあり得ます。
メンタルの安全配慮義務は、労働者側にもこのような自助努力の責任が
あると私は考えます。
b ストレスのチェックリスト これは、指示命令されて、そのまま実施するのでなく、
自社の実情に応じて工夫改善していくことが労使双方にとって得策かと考えます。