この単元では、CBTの著名な先生方の著作の一部を引用ながら述べます。
1 治療契約 治療者は、治療の方針等の概略を患者に説明し、承諾を
得た後に治療契約を結びます。 1回の対話のやりとり(セッション)の
時間は、通例30分から50分で、終了までは、12回程度が普通です。
費用は、公的保険の対象となる場合ですと1回で1300円です。
但し国の規定では、30分以上診察しないと保険の対象となりません。
CBTの専門医が非常に少なくて予約をとるのが大変です。
他方医療機関以外ですと、治療に保険が適用できません。
従って、1回50分で最低6000円が相場のようです。 金銭のこと以上
に大事なことは、治療の信頼性です。「 こんな方法は、本来うつとは
異なった次元で使うのに、大丈夫?」と思えるのがネットで出ています。
CBTがなぜ普及したのか、最初ぺ-ジでエビデンスのこと、科学的
根拠のことをお話ししました。患者がまな板の鯉のように、治療者
にいいように操作されるのでなく、 治療者と患者がチ-ムを組んで
問題点について一緒に考え、患者の気づきを促すサポ-トをします。
2 CBTを進めていく上での基本原則
今後CBTの様々のスキルのことをお話ししますが、その前に
その背後にあるCBTの基本原則について、CBTの数々の
ワ-クショップを指導されてみえる伊藤絵美先生のCBT
カウンセリング初級ワ-クショップテキストから引用しながら
私の見解をのべることにします。
基本原則1 常に基本モデルに沿ってクライアントの体験を
理解する。
すでに私が、例としてCBTの特色の中のCBTの基本で述べて
いますのがその基本モデルです。 このような自動思考、感情
身体の状況、行動の各要素が相互に影響し合っているのを
まとめた図式がその例で、本人を客観的に観察する資料として
大事です。過日千葉大の清水先生が、NHKテレビで「外在化」の
ことをいってみえたのもそのことを意味しています。
基本原則2 カウンセラ-とクライアントは、チ-ムを形成し
信頼関係を通じて実証的見地から協同作業
を行う。(協同的実証主義--ベックの定義)
来談者中心と大きく異なっているのは、聞き手、話し手が固定
せず、状況に応じてカウンセラ-が話し手になって進めていく双方向
の対話法をとっています。 そのような親密で自由な対話により、
クライアントの悩みや抱えている課題に焦点をあてて問題解決を
目指します。 その際に実証的見地に立つことがCBTらしい特色です。
憶測でなく、クライアントの実際の体験(エビデンス)をもとに 問題を
理解し、解決を目指します。 ですから状況の判断のための情報を
正確に入手しようとする時、クライアントからしつこく聴くことだっていくら
でもあるのです。 「しつこく聴く」という言葉は、伊藤先生が話された
そのまま引用しました。私がこの言葉に強い関心をもったのは、今の
NPOの理事にハンディのある青年達のカウンセリングを依頼されて
カウンセリングの困難さを痛感した時でした。精神科医も無理だと
いっているのを聞きました。 その時ヒントになったのは、この双方向
の対話でした。 ただ傾聴するだけでなく、カウンセラ-の「あなたの
苦しみからの出口は必ずみつかる。自分は、そのためにやれること
は、何でもする。」という決意表明、それに至る方法の説明と彼の
理解と承諾(すでに「カウンセラ-として話したいこと 」昨年12月2日)
による公約をしました。その実行をし、彼とのカウンセリングは軌道に
のっています。しつこく質問しても、信頼関係があれば相手も
正直に答えてくれます。
基本原則3 「今ここの問題」に焦点を当てその解決を
目指す⇒問題解決志向
この原則について、伊藤先生の言ってみえることに異存は、
ありません。 現在の問題に焦点を当てるときでも、当人の
過去や将来のことも当然検討する必要があります。就労
支援では、いつもそのことを考えています。
また問題を理解して解決に当ることも
就労支援では不可欠です。自分の適性、能力を理解せず
希望の職種を言って来られても、どうすることも出来なくて
困ることがあります。
基本原則 4 心理教育を重視し、クライアント自身が
自己治療やセルフカウンセリングが出来
るようになることを目指す。それによって
再発を予防する
この原則では、カウンセラ-の治療方針というよりも、むしろ
クライアントのためにどのように教育するかという指針、目標
がよく表現されています。特にクライアントの成長力の発揮
自力による再発予防について強い共感を覚えます。
それからカウンセラ-がクライアントを教育していく上で
必要なきめ細かい心遣いがきちんと述べられていることも
好感がもてました。「カウンセラ-は、口頭で説明することも
あれば、図や絵を描いて提示すること---様々な文書も
渡します。CBTのテキストや病気について書いてある文
献を見せること---コピ-を渡すこともあります。」
このカウンセラ-の熱い思いやりはクライアント
のCBTに対してのレジネス(心の準備)、学ぶ意欲
を高めるのに効果があると痛感しました。
自分自身クライアントによっては、このような配慮
も必要ではないかと思い参考になりました。
基本原則 5 毎セッションおよび初回から終結までの流れを
構造化する
1つのセッションで最初の15分でアセスメントをして、次の20分で
認知の基本モデルについて説明し、図式化の練習してみるという
ように段取りして、今は、どんな段階の時か明確にして、時間を効率
よく使います。それにより各セッションの総括のとき、問題点、課題
を整理し易くなりますし、現在のセッションの進捗状況の把握、その
調整もし易くなります。特にメンタル上困難な問題を抱えている人は
カウンセリングの時間は長くなります。従ってメリハリの効く対応が
必要です。
基本原則 6 カウンセリングにおける具体的目標を定め
その達成のために多様な技法をパッケ-ジ化して
活用する。
ここでいう技法のパッケ-ジとは、色々な場合で利用できるいくつ
かの技法の一つのかたまりの総称してそう呼んでいます。後に
スキル利用のお話でも出てきます。
すでに私がブログで使用していますリラックセ-ション、イメ-ジ
技法、ばくろ法などの行動療法、ロ-ルプレイ、アサ-ションなど。
これらの技法を使用する際には、カウンセリングで目指す目標を
設定し、その目標達成のために必要な技法をいくつか選びます。
なお、伊と藤先生がご指摘のとおり、その目標設定で大事な事は
本人の人生、生活における目標とカウンセリングで扱う目標との
区別です。 つまり、本人が望んでいる目標でも、カウンセリング
として今扱うことが妥当かどうかを検討する必要があるからです。
特にメンタル不調で本人の情緒の安定性、思考力に問題が
ある場合、思いつきで言っているのか、優先順位を考えるともっと
身近に大事なことがないのか等よく確かめる必要があります。
また、私の「カウンセラ-として話したいいこと」今年の4月20日
の青年のように実行したくても前進でない気持ちを受容する
こともとても大切です。 そして状況をみてイメ-ジ技法、ロ-ル
プレイなどで彼のプラス志向を高めていくのが得策と思います。
花畑 十勝岳連峰
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担当:佐野(さの)
愛知県名古屋市・日進市を中心に活動する佐野カウンセリング社労士オフィスです。
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