令和1年 5月25~27日 判例命令 裁量制の女性、適応障害に、長時間労働で労災認定
労働情報メ-ルマガジンプラス27日の朝日新聞記事
この判例に該当する女性は、東京都内の建築設計事務所で専門業務型の裁量労働制を適用
された20歳代の人で、長時間残業が原因で適用障害となり、東京の中央労働基準監督署が
3月18日付で労災認定していたことが5月13日に分かった。女性を支援する労働組合が
同日、都内で記者会見して明らかにした。労組によると、女性が勤務するのは「プランテック
総合計画事務所」(千代田区)。女性は2015年4月に入社し、同月から「建築士の業務」
携わる従業員として1日8時間をみなし労働時間とする裁量労働制が適用された。
18年6月に休職するまでの間、月100時間以上残業したのは23カ月に及んだ。
認定発症日は同年4月20日だが、発症1カ月前の残業時間は170時間超だった。
この本人の適応障害の状態は、「ある程度の状況や出来事が本人にとってとてもつらく
耐えがたいと感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものである」と。
専門職としてのプライドを本来もっているはずなのに、いつのまにか機械の一パ−ツに
過ぎない自己の実態に耐えきれなくなってしまいます。そんな青年にNPOで出会って
しばらくいろいろとお話を伺うことがありました。しかし、彼は時して自分同様な
境遇の人々と共に語り合える店を開きたいというような抱負も語ってくれました。
ところでこの女性の会社側の記者会見では「労災認定は真摯に受け止めている。
裁量労働制は廃止しており、従業員が働きやすい環境整備に努めていく」と美辞麗句で
お茶を濁した感じです。どこに問題があって、それをどう改善しているのか、
問題解決の核心に触れてません。このような問題は、私のブログでも何度か紹介して
きましたように、いくらでも起きています。それらについて今回のような謝罪らしからぬ
謝罪で一件落着でよろしいでしょうか。上記の例以外でも適応障害の方の相談を受けて
ますが、一旦このような心のダメ-ジを受けると以前のような職場復帰はとても困難です。
今年の4月より「働き方改革」がスタ−トしています。
しかしその改革に着手する前に政府が取り組むべき課題が今回のことを含めて色々と
あるのに、何故見切り発車するのか。
「君の行く手は果てしなく遠い、だのに何故君は行くのか、君は行く、君は行く
そんなにしてまで」これは、かって私が名古屋市西区の中学3年の担任を
していた時、合唱コンクールの課題曲として生徒が練習していた曲です。
今の「働き方改革」について私のこころにぴったりと響いてきます。
▲ 27日のこの事件に関する朝日新聞の詳細記事
<裁量労働制 定額働かせ放題の闇>
3月18付けで労災申請が中央労働基準監督署がに認められた。女性は、「ようやく
自分は悪くなかったのだ、と言われたよな気がしてほっとしました」と。同席した
労働組合「裁量労働制ユニオン」によると、労基署は、女性が適応障害を発病する
1カ月前から6カ月前の間に毎月41時間30分から~173時間15分の残業をしていた
と認めた。国の基準では発病直前月160時間以上のするなどとしたら、労災が原則
認められる。女性の月173時間の残業は「基準を一発で超えていた」(ユニオン)
女性は、新卒で入社。建物の全体の意匠を考える建築設計の仕事を始め、3カ月目には
残業時間が月100時間を超えた。26時間連続勤務、9カ月連続残業が100時間を
越え、さらに月180時間残業、帰宅なしで2日間30時間勤務という激務が続いた。ば
やがて異変が起こりパソコン作業していると突然理由もなく涙が出るようになった。
無理にものを食べ続け何とか睡魔をごまかした。しかし、寝ようにも寝付けず心身の
不調に悩まされたとのこと。だが、職場では長時間労働を耐え抜いてこそ「一人前」と
いう雰囲気を感じた。周囲はこの働き方に耐えているのに、「なぜ自分はうまく
できないのか」と悩んだ。やがてドクターストップがかかり。休職した。
なお、彼女は「専門業務型裁量労働制」を適用さていた。しかし、1級、2級の建築士の
資格がなく、偽装の裁量制労働者として苛酷なサ-ビス残業を強いられていた。
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